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マナーや安全性の点でどうしてもネガティブな面ばかりが注目されてしまう民泊ですが、遊休資産の活用や地域コミュニティの活性化など、少子高齢化の進む日本ではホームシェアビジネスの可能性は注目されるべきものでしょう。

そんな中で行われたAirbnb Partnersの発表は、民泊や旅行関連の事業者以外からも驚きをもって迎えられました。東京オリンピックによる民泊需要も高まっていくとみられ、さまざまな業種の企業がパートナーとして参画しています。

本記事ではAirbnb Partnersの施策や参画企業について解説するとともに、大手企業やスタートアップ企業の動向などもご紹介していきます。

目次

  1. 日本独自の制度Airbnb Partnersとは
    ・新たな制度の狙い
    ・7つの施策とは
    ・参画企業について
  2.  民泊新法施行で動き出す企業
    ・大手企業の動向
    ・スタートアップの動向
  3.  まとめ

1.日本独自の制度Airbnb Partnersとは

AirbnbPertners01

http://tsite.jp/r/cpn/airbnb/corporates/partners.html

新たな制度の狙い

住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行される前日の6月14日、民泊仲介プラットフォーム大手の運営するAirbnbは、新たなビジネス戦略としてAirbnb Partnersを発表しました。これはAirbnb初の試みとなります。

Airbnbでは単に宿泊場所を提供するだけでなく、たとえば宿のオーナーが持つ日本酒のコレクションを旅行者が楽しむなど、現地の人と触れあう “体験型の旅”ができることが大きな特徴だとしています。

しかしそのためには、部屋の管理や清掃、移動、金融などのサービスの提供は不可欠です。さらに安心や安全といった要素も重要なものとなってきます。

そこで各分野の企業と組むことによって、Airbnbだけではカバーできない領域のサービスを充実させるというのが今回のパートナー制度の狙いです。

発表時点では36社の日本企業が提携。みずほフィナンシャルグループ、損害保険ジャパン日本興亜、エボラブルアジア、ビックカメラ、ニトリ、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)など、それまでシェアビジネスとは関連のなかったような企業も参画しています。

今後もコンビニや教育、伝統工芸などあらゆる産業とコラボレーションし、日本の文化を体験できる旅の提供やホームシェア関連市場を成長させていきたいとしています。

関連記事:

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7つの施策とは

パートナーシップ制度の取り組みとして、日本独自の7つの施策を挙げています。

  1. Airbnb Plus を東京、大阪、京都に拡大

    Airbnb Plusとは、高い評価を得ているホストが提供するハイグレードな住宅を集めたプランです。すでに東京では提供されており、年内には大阪と京都にも拡大するとしています。

  2. ロイヤリティプログラムとして、Tポイントに加盟しAirbnbをより身近に

    AirbnbでTポイントが利用可能になります。

  3. Airbnb ワンストップサービスをフランチャイズ化し全国展開

    これまで東京や大阪を中心にサービスを提供していたワンストップサービスを全国展開します。ワンストップサービスとは、部屋の登録や写真撮影、清掃など、宿の導入や運営に関わる業務を一括して請け負うというものです。

  4. ホストを楽しむ育成プログラムを拡大

    ホストに興味がある人を対象に、新ルールへの対応方法やホストとしての楽しみ方、部屋の準備方法などを学べるプログラムを提供。ホスト育成プログラムはすでに株式会社パソナと提携して実施しており、今後さらに地域や内容を拡大する形です。

  5. コミュニティ活性化プロジェクトの実施

    地元の企業やコミュニティとの連携を通じて、地域密着型の宿泊施設を提供します。京都山間地域で日本の伝統文化に触れたり、渋谷区原宿でポップカルチャーを体験したりといった例が挙げられています。

  6. Airbnb公式デザイン「旅人を迎え入れるフレンドリーな住居」の開発

    小山薫堂氏率いるオレンジ・アンド・パートナーズと提携し、ホームシェアリングを前提とした住宅の開発に取り組むというものです。

  7. 日本独自の保険プログラム

    損害保険会社と連携して、日本に適した形での保険プログラムを提供します。

参画企業について

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http://tsite.jp/r/cpn/airbnb/corporates/partners.html

 

パートナーシップ企業は、3つのカテゴリから構成されています。

1つはデマンドパートナーと呼ばれるもので、CCCANA、peachなど、Airbnbに掲載されている宿泊施設を利用した新サービスを提供する企業です。自社の旅行プランにAirbnbの宿泊や体験を組み合わせたパッケージ販売や、マイル特典の提供などを行います。

次にサービスパートナーは、行政手続きやメッセージのやりとり、チェックイン、清掃などホストのサポートを行う企業です。エボラブルアジアなどがこれに当たり、民泊運営の手続きや準備を一括サポートするワンストップサービスを提供しています。

サプライパートナーは、個人や企業の所有している資産をホームシェアへ活用する企業です。株式会社オープンハウスなどの不動産開発業者や自治体、旅館、ホテルと提携して、より幅広い宿泊施設を開発します。

関連記事:

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2.民泊新法施行で動き出す企業

大手企業の動向

民泊新法の施行については、コンビニや保険会社などの大手企業も民泊関連ビジネスに乗り出す動きが見られています。

セブン-イレブン・ジャパンやローソンなどのコンビニ大手では、店舗が民泊の鍵を預かるサービスの提供を始めています。ファミリーマートは6月15日から民泊の鍵専用の受け渡しボックスを稼働しており、鍵の受け取りや返却をきっかけとしたコンビニ利用の促進が期待されています。

損害保険大手の三井住友海上火災保険やあいおいニッセイ同和損害保険は、ホスト向けの保険商品を販売。宿泊者による損害の補償や、騒音などで近隣住民から求められた賠償請求にも対応しています。

また、セキュリティサービス大手のセコムでは、民泊向けに火災の監視と非常時の駆けつけに特化したサービスの提供を開始しました。

賃貸不動産の開発分野でも民泊としての活用は関心を集めており、これからも各企業の持ち味を生かした民泊関連事業は拡大すると考えられます。

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スタートアップの動向

スタートアップ企業でも、民泊事業に関するサービス展開やそれにともなう資本提携が動き出しています。

クラウドシステムを活用した宿泊施設管理サービスを提供する株式会社SQUEEZEは、3月28日にケネディクス株式会社と資本業務提携を締結し、約8億円の資金調達を実施しました。この提携によって、ケネディクス傘下のスペースデザインが運営するサービスアパートメントで、民泊とのハイブリッド運用へ取り組むとしています。

また、民泊事業者向けにサービスを展開しているmatsuri technologiesは5月23日、数億円の資金調達を実施したことを明らかにしました。同社では民泊管理ツールとして「m2m Systems」を提供していますが、この資金調達によって機能を拡充していくとしています。さらに株式会社ファンドクリエーションと資本業務提携を行い、民泊事業者の資金面でのサポート体制も整えるという方針です。matsuri technologiesではAirbnbメッセージ代行サービスや、民泊と短期賃貸を組み合わせて貸し出しを行う集客支援ツールなど、民泊事業者向けの新しいサービスを次々と提供しています。

 

4.まとめ

Airbnbによれば、パートナーに参画することによってAirbnbが提供するツールを優先的に使用できる、先行的な商品や最新情報の提供を受けられる、Airbnbブランドの活用による認知度向上、といった3つのメリットがあるとしています。

民泊新法の施行直後は市場の縮小もあるかもしれませんが、東京オリンピックによる需要が見込まれることもあり、今後も異業種からの参入が増えていくのではないでしょうか。目先の利益を追うだけでなく、価値の高い体験の提供や遊休資産の活用など、利用者と地域住民の双方にとってより良い形で民泊が発展していくことが望まれます。

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