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子育て支援は国や自治体にとって喫緊の課題です。子育てを支援する政策はすでに様々なものが行われていますが、迅速に対応できないことや、そもそも対応が難しい事例があることも事実です。そこで、いくつかの自治体では子育て支援を行うシェアビジネスを展開する企業と連携し、実証実験を行ったりサービス利用に助成金を利用できるようにしたりといった取り組みで住民の子育てをサポートしています。今回は、その具体的な施策の内容をご紹介します。

目次

  1. 拡大する子育て支援シェアリングビジネス
    ・市場規模について
    ・佐賀県で実証実験も
  2. 子育て支援の2大シェアリングサービス
    ・AzMama

    ・キッズライン
  3. まとめ

1.拡大する子育て支援シェアリングビジネス

市場規模について

2018年7月、内閣府が「シェアリング・エコノミー等新分野の経済活動の計測に関する調査研究報告書概要」を発表しました。この調査では、日本のシェアビジネスを5つの分野に分けています。その中でも注目に値するのが「スキル・時間」のシェアビジネスです。労働人口の減少、女性の出産や育児によるキャリアの分断が問題となっていますが、シェアビジネスの発展により個人のスキルや時間を売買できるようになったことで、これらの問題を解決し、また新しい働き方を叶えうる方法としても注目されています。

「スキル・時間」のシェアビジネスは2016年時点で150〜250億円の生産額規模があるとされていますが、シェアビジネスは全体的に今後も成長していくと推測されているので、「スキル・時間」のシェアビジネスもいっそう生産額規模を伸ばしていくのではないでしょうか。

さらに、シェアビジネスの発展に伴い、子育ての分野にもシェアビジネスが進出するようになりました。これにより、少子化対策や女性の社会進出をサポートするためのサービスが拡充されることが期待されます。

実際、子どもの送迎や託児などを地域の人に頼めるアプリAzMamaは利用者数が5万人を突破、ベビーシッターのマッチングサービスキッズライン全国42都市に2,000人のベビーシッターが登録しています。また、家事代行などのちょっとした頼みごとを近所の人に解決してもらえるサービスAnytimesは2015年の時点で1万7,000人を突破しています。

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佐賀県で実証実験も

シェアビジネスによる子育て支援を公的に支援する取り組みを行おうとしている自治体があります。

佐賀県では佐賀市、多久市、神埼市、西松浦郡有田町、杵島郡江北町の5つの自治体をモデル地区に選び、この自治体の子育て世代に対して上記に取り上げた子育てシェアビジネスのAsMama、キッズライン、Anytimesに関する説明会を開き、住民のユーザー登録への支援を行います。

また、長崎県島原市も、2018年7月よりAsMamaの導入を目的とした実証実験をスタートさせました。

子育て支援、特に託児や送り迎えに特化したサービスでは、AsMamaが自治体と連携するスピードが速く、すでにいくつかの自治体では公的なバックアップのもと連携が行われています。AsMamaの取り組みやねらいについては、以下に詳しく説明します。

 

2.子育て支援の2大シェアリングサービス

AsMama

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http://asmama.jp/

AsMamaは子育て支援を必要としている子育て世代と、子育てをサポートしたい地域の人をマッチングするサービスです。サポートする側のメンバーは「ママサポ」と呼ばれおり、子育て経験者や元保育士などが多くの割合を占めています。

ママサポが行う子育て支援は、ベビーシッターや保育所への送迎にとどまりません。地域の子育てイベントの広報や地域交流会のスタッフなど、ママサポが持つ様々なスキルを活かして子育てを支援できるのが大きな特徴です。

このサービスを創業したのは、甲田恵子社長が自らの子育てを振り返り、「困った時に近所の知り合いを頼りたかった」「頼れてハッピー頼られてハッピーという人たちが出会える場や頼り合える仕組みがあれば」と思い、地域共助のシステム作りをしようと考えたことがきっかけだそうです。

AsMamaは先に取り上げた佐賀県の市や町以外にも、奈良県生駒市秋田県湯沢市滋賀県大津市と連携し、これらの自治体の子育てサポートに取り組んでいます。AsMamを通して子どもを預けてもらうことで、親世代が孤立しないようにすることが大きな狙いです。また、自治体が抱える保育園の整備が追いつかないなどの問題を解決できる可能性もあり、自治体側にも大きなメリットがあります。

日本では、子どもを知らない人に預けることや自宅に知らない人を招き入れることへの根強い抵抗感があり、ベビーシッターの利用率が依然として低い状態にあります。そのため、甲田社長は機械的にマッチングするのではなく、リアルな交流を通して利用者とママサポが知り合い、安心感を得ることが大切だと考えています。AsMamaのサービスにイベントや地域交流会があるのはそのためです。現役子育て世代を支援することにより、少子化問題を解決する一助になれるのか、注目が集まっています。

キッズライン

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https://kidsline.me/

キッズラインは、ベビーシッターとそれを利用したい親をマッチングするサービスです。マーケティング会社トレンダーズの経営経験などで著名な経沢香保子社長が、育児の負担が母親だけに重くのしかかっている現状を解決し、一人で抱え込まずに楽しく育児をしてほしいとのいう願いと、アメリカのように気軽にベビーシッターを頼めるようになればとの思いで創業しました。

キッズラインは当日や明日の予約、また病児・病後児を託児することもできるなど、忙しい子育て世帯のニーズに幅広く対応しているところが特徴といえます。また、日本では依然として富裕層向けのサービスというイメージの強いベビーシッターですが、キッズラインでは1時間1000円からという手頃な価格で利用が可能です。

さらに、キッズラインは自治体との連携も積極的に行っています。現在連携を行っている自治体は、調布市・渋谷区・品川区・千代田区・福岡市です。

調布市ではベビーシッター代の一部に、渋谷区・千代田区では病児・病後児のベビーシッターの代の一部に品川区・福岡市では産後ヘルパー・産後ケアシッター代の一部にそれぞれ助成金が使えるようになり、気軽にベビーシッターを利用できる環境が金銭面から整えられつつあります。

また、キッズラインはただ単に託児や病児保育を請け負うだけのサービではありません。共働きの親にとって、子どもの夏休みは親の目の届かない時間が増えることもあり、大変な時期です。そこで、キッズラインではご飯の作り置きや子どもの夏休みの宿題を監督するサービスも提供しています。このサービスは夏季限定ではないので、一年を通して忙しい時や自分の時間を確保したい時に利用し、効率的でゆとりのある暮らしを実現できます。

 

3.まとめ

時代の変化に伴い、子育て世代が必要とするサポートは次々と変化し、また多岐にわたります。そこで、シェアビジネスの柔軟性が求められているのではないでしょうか。また、子育て支援という公共性の高いビジネスでは、いかにサービスを維持し続けられるかも課題となります。今回取り上げた企業がどのように収益性と公共性を両立させていくのかもポイントとなるでしょう。今後は、シェアビジネスが子育て分野にどのように浸透し、当たり前のようにある選択肢の一つとなるとよいですね。

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