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シェアリングエコノミーサービスの発祥の地シリコンバレーでは、P2P(Peer to Peer)型のシェアリングサービスが主流です。ところが日本ではP2P型シェアリングサービスの事例数は多くありません。この現状を踏まえて、今回は国内国外のP2P型のカーシェアサービス事例をご紹介していきます。P2P型では、企業はどのようなことに注力して事業を展開しているか、ユーザーはどんな体験しているのか、みていきましょう。

目次

1.Peer to Peerのカーシェアサービス「Turo」とは

  • そもそもPeer to Peerとは
  • スマホ一つで車を共有し、旅を所有する

2.車をレンタルしてお金を稼ぐ方法

  • 貸せば良いという問題でもない

3.P2Pカーシェアの国内市場に関して

  • 日本での事例「Anyca」

4.まとめ

1.Peer to Peerのカーシェアサービス「Turo」とは

そもそもPeer to Peerとは

turo

Turo」公式HPより。

「Peer to Peer」本来の定義は、ネットワーク上で対等な関係にある端末同士が直接通信できるシステムを意味しており、通信などの業界で使われる言葉です。あまり聞き慣れないかもしれませんが、この概念は昔から社会に存在していて、回覧板をまわすご近所付き合いに似ているかもしれません。

そこで「借りたい人と貸したい人を直接結びつける」サービスを、Peer(対等の者)間の関係性という観点からPeer to Peerと呼んでいます。シェアリングサービスの事業者はプラットフォームを提供しますが、あくまで目的はPeerにあたるユーザー同士の資源の共有です。

休遊資産を共有するシステム「シェアリングエコノミー」は世界的に注目を集めており、さまざまなサービスが活用されていますが、国内では法規制のためにP2Pと呼ばれるサービスが少ないのが現状です。

 

スマホ一つで車を共有し、旅を所有する

2009年サンフランシスコで創業したTuroは、旅行者が旅先で車を使いたいとき、現地の住民から車を借るサービスです。ebayやAirbnbのようなオンラインマーケットプレイスに触発されたシェルビー・クラークが、休遊自家用車を資源として利用するシェアリングモデルを提案し、ハーバードビジネススクールの仲間と起業したRelayRidesが礎となっています。2010年ボストンでスタートしたサービスは現在、アメリカ国内やカナダの2,500都市、300を超える空港での利用が可能で、大きな広がりを見せています。

Turoでは800を超える車種が登録されているため、旅行者の多様な車両への希望に応えるだけでなく、地域のコミュミティー内でも、 引っ越し用のトラックやお出かけ用の高級車、ロードトリップに写真映えするVWワゴンなど、目的に合わせた車を選んで使えるようになったと掲げています。

料金面でも既存のレンタカーサービスとの比較で、30%ほど安く利用できると公表しています。その影響からか、平均利用日数は5日間で長期利用の需要が高いことも特徴として挙げられています。

安全面ではレンタルごとにTuroの保険が適用され、個人が加入している保険は使われません。この保険では100万ドルまで保障されます。またTuroでは、所有者が顧客に直接車両を届けるので、利用者同士が顔を合わせてコミュニケーションを取ります。顔見知りになることで信頼関係が生まれることで、既存のレンタカーサービスより保険料を低く抑えることができているのだそうです。

2015年には米フォーブス誌で「最もアツいオンデマンドサービスのスタートアップ企業14選」にもUberやLyft、Airbnbなどと並んで選出されており、今注目のP2Pシェアリングサービスなのは間違いないでしょう。

 

2.車をレンタルしてお金を稼ぐ方法

貸せば良いという問題でもない

aged and old railroad bridge silhouette in the night

旅行者や車を持たないドライバーに新しい選択肢が生まれた一方で、車を持っている人にもカーシェアサービスに所有する車を提供して追加収入を得るという選択肢が生まれました。車を複数所有している人や毎日車を使わない人には、副収入として魅力的な選択肢です。

しかし車の貸し出しによって得られる収入が発生する反面、その収入は車の減価償却費や日ごろのガソリン代に値するか、十分に検討する必要があります。もし事故があった場合、事故対応は保険でまかなわれるかもしれませんが、事故があった車は価値が下がるため、買い替えの下取りでの差額まで補償されるのか、などのリスクもあります。また貸し出しにあたってその前後の清掃や給油など、自家用として使用する以上に管理に手間や時間がかかります。

Airbnbなどの民泊サービスでは、清掃や宿泊者からの問い合わせなどに自身で対応できない場合、代行サービスに依頼する方法が広まりつつあります。時間に余裕がない人や物件が多い人だと清掃や物件管理が難しく、そういった業務を外注しているケースがあるのです。

 

ある程度の単価があればそういった代行サービスを使っても利益はでますが、「Turo」の場合はどうでしょうか。自分で手間をかけられない場合、そういった外注費用が発生することも頭に入れて置かなければなりません。

カーシェアサービスに車を貸し出す際には、得られる収入だけではなく、自家用車の維持費や購入費、貸し出しに伴う車の管理面など対応しきれるのか、事前に十分な検討が必要でしょう。

 

3.P2Pカーシェアの国内市場に関して

日本での事例「Anyca」

anyca

Anyca」公式HPより。

Anycaは2015年9月からDeNAが始めた日本のP2Pカーシェアサービスです。Turoに近いビジネスモデルで、車の所有者が休遊時間をほかのドライバーに貸し出すというもの。2016年4月時点で、東京を中心に1500台以上の登録があると発表されています。

料金面では、プラットフォームの登録料や会員料金はなく、契約が成立した際に車の所有者に10%の利用手数料が発生します。また利用時にはドライバーに1日、1,500円の保険料が請求されます。Anycaではユーザー間の現金のやり取りを禁止しているので、ガソリンについては使用した分を給油して返却するように定められています。

法規制の面では、Anycaはカーシェアを自家用車の共同使用と考えているので、所有者とドライバーはAnyca内の条件設定機能でクルマの管理方法を設定して、その内容に合意することで契約成立となります。またカーシェアで得た所得はその他雑所得に区分するとAnycaは説明しており、20万円以上の場合は申告が必要としています。

スタートアップということもあり、2016年6月現在、Anycaは車の所有者の獲得のため、頻繁にオーナー向けサービス説明会を行っています。ウェブサイトでは、Anycaに車を貸し出すことは単なる車の貸主になるだけではなく、カーシェアを通してほかのドライバーとつながるきっかけになるというメリットや、自分の車についてコメントを受け取る喜びを語るオーナーの姿を見ることができます。今後は登録車数の増加と、どのように全国展開していくのかに注目が集まっていくでしょう。

 

まとめ

今回は国内のP2PのカーシェアリングサービスとしてAnycaをご紹介しましたが、厳しい法規制との兼ね合いもあり、カーシェアリングに限らず日本で展開されているシェアリングエコノミーサービスは多いとは言えません。規制緩和にはまだ時間がかかりそうではあるものの、現政権が緩和に向けてアクションをとったことからも、P2Pのシェアリングサービスが日本でも増えていく可能性は高いでしょう。

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