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民泊サービスでは必須の鍵の受け渡し。これに頭を悩ませる施設運営者は多いのではないでしょうか。また、民泊事業参入を検討はしていても、受け渡しにかかる手間や不安から慎重になっている場合もあるでしょう。そこで本記事では、「KEY STATION」「KeyCafe」といった鍵の受け渡し代行サービスと、サービスに続々と参入を表明した企業について事例を交えながらご紹介します。民泊新法への対応や導入の効果・動向についてもまとめていますので、ぜひご一読ください。

目次

  1. 主な鍵の受け渡しサービス
    ・KEY STATION
    ・KeyCafe
    ・KeyCafeのSmartboxとは
    ・TSUTAYAを展開するCCCもzensと連携
  2.  大手も続々と参入中
    ・セブンイレブンとJTBが共同で整備
    ・ファミリーマートとAirbnbが業務提携
  3. 鍵の受け渡しサービスがもたらす効果
  4. まとめ

1.主な鍵の受け渡しサービス

KEY STATION

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https://key-stations.com/

対応場所:店舗、コンビニ

対応エリア:東京18箇所、大阪4箇所

利用料:使い放題プラン/月額3,000円、都度課金プラン/月額1,000円(1回利用/500円)

民泊黎明期からサービスを展開しているKEY STATION。2018年3月には、同年6月施行の民泊新法に対応したチェックインシステムをリリースしました。メトロエンジン株式会社と共同開発したこの新システムの導入により、新法で求められる本人確認及び安全な鍵の受渡しを担保しています。

新システムでのチェックインの流れ

①KEY STATION(キーボックス)に設置されたタブレットで、「メトロチェックイン」(メトロエンジン社:Airbnbなどの予約サイトと連動)にログイン。

②宿泊者情報とパスポート画像を「民泊ダッシュボード」(メトロエンジン社)に事前登録しておくか、現地で入力。動画通話にて照合・本人確認。

③本人確認完了後、発行された鍵の取り出しパスワードを使って鍵を取り出す。鍵の取り出し情報は、瞬時にホスト(管理者)へ通知される。

また上記機能以外にも、ワンタイムURLを活用して、宿泊者ごとにカスタマイズしたハウスルールなどの各種情報を提供できる『ウェルカムガイド』、チャットと電話でコンシェルジュが遠隔サポートを行い、旅に必要な事前予約や緊急対応などのサービスを包括的に提供する『24時間コンシェルジュ』といった機能も提供されており、民泊事業者にとって、運営の効率化やサービスの更なる向上を図ることができるようになっています。

KeyCafe

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https://www.keycafe.com/

対応場所:カフェ、コンビニなど

対応エリア:東京22箇所、大阪1箇所、長崎1箇所

利用料:アンリミテッドプラン/月額1,980円、ベーシックプラン/月額790円(受け渡しごとの利用料/290円)、使った分だけプラン/月額0円(受け渡しごとの利用料/690円、保管日数による利用料/+50円)

※月額はすべて「鍵ごと」の料金

Keycafeは、2018年1月に日本に上陸した、民泊時などの鍵の受け渡し拠点を設置しているカナダのベンチャー企業です。Keycafeは民泊仲介サイトでは世界最大手のAirbnb(エアービーアンドビー)のホストアシストパートナーとなっています。2018年6月15日の民泊新法施行日にあわせ、新法で必要とされる旅行者の本人確認および宿泊台帳の記帳に対応する民泊チェックインサービスを開始すると発表しています。

チェックインの流れ

①民泊事業者は、宿泊者のメールアドレスと電話番号をKeycafeに入力し、鍵の情報を送信する。

②宿泊者は、旅行前にKeycafeのアプリをダウンロードしておく。

③利用当日、宿泊者は鍵が保管されているKeycafeのSmartboxまで行き、鍵のアクセスコードをKeycafe Smartboxのタッチパネルに入力して鍵を受け取る。鍵の受領・返却時には事業者にメールが自動送信される。

新法に対応した本人確認サービスでは、宿泊者が予約確定時にアプリで旅行情報・パスポートの写しをアップロードし、鍵の設置場所で本人確認を行います。このサービスは鍵の受け渡しサービスの契約を前提としており、別途料金として、月額使い放題で1鍵あたり1,980円、その都度課金の場合は1回300円が必要になる予定です。

追加で費用は掛かるものの、リアルタイムな顔認証の実施と、利用者の情報入力や本人確認、鍵の受け渡しを一貫して自社アプリ・端末で提供できることから、より簡単で安心な民泊チェックインが可能となっています。また、民泊事業者にとっては、新法で必要とされる旅行者の本人確認・宿泊台帳の記帳など、旅行者のチェックインに関わる業務を一貫してKeycafeに依頼できるメリットも大きいでしょう。

KeyCafeのSmartboxとは

Keycafeが運営するキーボックス「Keycafe Smartbox」とは、民泊向けの鍵の受け渡しIoT端末のことです。

民泊向けとはいえ、不動産管理業の鍵管理などを対象とした専用利用端末も用意されており、スタイルにあわせた利用ができる点も魅力の一つとなっています。また、KeycafeがホストアシストパートナーとなっているAirbnbで予約が入った際には、自動的に宿泊者へ鍵のアクセス権を付与することが可能となっています。

この「Keycafe Smartbox」は2018年5月より、設置するロケーションパートナーを日本全国で募集しています。機器代・設置費用などは無料で、24時間のカスタマーサポート付き。店舗側は場所と電源の提供のみで、シェアリングエコノミーのハブ拠点としての集客を見込めるメリットを享受できます。新宿や渋谷をはじめとする、訪日外国人が多い地域ではすでに導入されています。

民泊の鍵の受け渡しの煩雑さを解消すべく、これまでさまざまな鍵の受け渡し代行サービスが利用されてきましたが、「Keycafe Smartbox」のような「インターネットにつながっていなかったモノをつなぐ」サービスが普及することで、民泊利用における利便性は更に高まりそうです。

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TSUTAYAを展開するCCCもzensと連携

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http://tsite.jp/r/cpn/airbnb/host/check-in-service.html

対応場所:蔦屋書店、TSUTAYA

対応エリア:東京、大阪、福岡、各1箇所

利用料:使い放題/月額10,000円(1物件)

蔦屋書店やツタヤなどの運営を手掛けるカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)は、2018年2月から民泊事業を手掛けるZens株式会社と連携し、店舗カウンターでAirbnbの鍵受け渡し代行サービスを開始しました。対象店舗のカウンターでは、Airbnbの鍵の受け渡しや台帳の代理取得、ハウスルールへの合意署名の取得、周辺のスポット・アクティビティをまとめたマップの提供などといった、ホスト業務を代行して提供しています。また、店舗によってはウェルカムドリンクや荷物預かり等のサービスの提供も行っています。

この蔦谷書店とAirbnbをつなぐZens株式会社は、2013年9月に設立。民泊運用代行事業や集客コンサルティング、民泊向けWi-Fiのレンタルサービスなどを手掛けています。2014年にAirbnb運営代行サービスを日本でいち早く開始し、Airbnb運営代行実績300件以上、世界平均は8%と言われているスーパーホスト率が40%と、着実にAirbnb運営代行サービス導入件数を増やしている活躍中の会社です。

 

2.大手も続々と参入中

セブンイレブンとJTBが共同で整備

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http://www.sej.co.jp/services/vrbo_checkin.html

セブンイレブンとJTBは、共同で民泊のチェックイン機を開発。2018年6月15日よりサービスを開始しており、これから全国に設置店舗を順次拡大していく予定です。

この「フロントデスク24」は、民泊利用者が全国各地に広がるセブンイレブンの店舗を活用し、24時間365日安心してチェックインと鍵の受け渡しができるサービスの提供を目指しています。

「フロントデスク24」が委託を受ける業務は、宿泊名簿作成、本人認証、鍵の受け渡しの3つ。宿泊者は端末からパスポート情報を登録し、本人確認をすませると部屋の鍵を受け取ることができ、チェックインが完了します。また、訪日外国人のチェックイン時のトラブル対応については、24時間対応の多言語コールセンターを設置してサポートしていくとのこと。全国に20,000店以上の店舗を有するセブンイレブンだからこそ、宿泊者にとって安心で利便性の高いサービスを提供することができそうです。

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ファミリーマートとAirbnbが業務提携

2018年5月、株式会社ファミリーマートとAirbnbが業務提携を発表しました。Airbnbとコンビニエンスストアとの業務提携は、日本国内では今回が初の取り組みとなります。

今回の提携によってAirbnbで民泊施設を予約した人が、ファミリーマート店頭のタブレットで本人確認を完了させ、設置された「鍵ボックス」で鍵の受け取りと返却ができるようになりました。

使い慣れたコンビニを鍵の受け渡し拠点として活用することで、利用者と家主・事業者に安心感を提供し、民泊とコンビニの相互利用促進を狙っています。

 

3.鍵の受け渡しサービスがもたらす効果

2017年の訪日外国人による「有償での住宅宿泊」の利用率は12.4%、違法民泊まで含めた民泊市場規模は16年比約2倍の1251億円で、民泊へホテルの宿泊客が流れている状況になっているようです。

このように民泊の利用者数や市場規模が拡大するなか、楽天コミュニケーションズ株式会社が民泊運営事業者を対象に実施した『民泊運営に関する意識調査』では、民泊運営で不安に感じることの1位は「騒音問題など近所とのトラブル」、2位は「部屋の清掃」、3位は「鍵の受け渡し」でした。また、女性の民泊事業者に限定した場合、「鍵の受け渡し」が運営上で最も不安に感じているという結果が出ています。

ホストや民泊代行業者様にとっては、利用者による又貸しや鍵の受け渡しの煩雑さをいかに解消するかが大きな課題となっています。

本人確認を求める民泊新法の後押しもあり、簡単で安全な鍵の受け渡しサービスの充実は、こうした民泊事業者自身が抱える不安や課題の解消、新規参入の増加に大きな効果をもたらすでしょう。違法民泊が減少して市場が健全化していくと、民泊市場をさらに活性化するものと思われます。

 

4.まとめ

民泊の鍵の受け渡しは、安全性と受け渡し場所などの利便性がとても重要な要素です。安全性が低いと、予約した本人以外が宿泊していたことでトラブルが発生したり、鍵の受け取りが面倒だと、ゲストの満足度に影響してしまい、施設の利用率が低下したりする恐れもあります。

それだけに、IoTの活用により無人セルフチェックイン機能を実現した鍵の受け渡しサービスは、今後もニーズが大きく、普及して行くものと思われます。

民泊新法との関係では、自治体は実情に応じた民泊営業の制限を検討しているのに対し、政府は過度な規制をせず、民泊を外国人観光客の受け皿のひとつとしたい考えを持っており、引き続き法改正などの動向には注目した方が良いでしょう。

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