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パリのVelibやロンドンのSantander Cyclesで知られる自転車シェアリングは、台北や上海・北京などアジアの都市にも波及しています。

国内ではドコモ・バイクシェアが自治体や民間事業者と協業して、各地に自転車シェアリングを広めています。2016年には東京都内の5区で自転車シェアリング・コミュニティサイクルの広域相互利用が始まり、2017年1月時点でこれに文京区が加わりました。自転車の貸し出し・返却ができるポートは6区で200箇所以上設置されています。そして同年2月にはこの相互利用できるポートとしてコンビニのセブンイレブンが加わり、今後も拡大を進めていくと発表されました。

都内に2,400店舗を構えるセブンイレブンとドコモ・バイクシェアの協業など、盛り上がりを見せ始めた日本の自転車シェアリングを見ていきましょう。

目次

  1. 都内自転車シェアリングの広域化を図るドコモ・バイクシェア
  2. 盛り上がる日本の自転車シェアリング
  3. まとめ

都内自転車シェアリングの広域化を図るドコモ・バイクシェア

2016年に千代田区・中央区・港区・江東区・新宿区で開始された自転車シェアリング・コミュニティサイクルの相互利用を可能にする自転車シェアリング広域実験。2017年1月に文京区が加わり、さらに対象地域が広がりました。

ドコモ・バイクシェアが提供するサービスの特徴のひとつとして、電動アシスト自転車を使用していることが挙げられます。海外では車両の故障や盗難に備えて、安価で丈夫な車両が選ばれていて、1台十数万円する電動アシスト自転車を使うことができるのは日本の治安の良さがあってこそかもしれません。

また、自転車シェアリングが普及した諸外国の都市と比べると利用料金が割高なのも特徴的だと言えます。

自転車シェアリングが普及しているパリのVelibでは、市民も観光客も30分までの利用であれば一日何度でも無料です。一方ドコモ・バイクシェアの都内でのサービスは非会員で30分150円。電車やバス、地下鉄、タクシーなど公共交通機関が発達している東京において、自転車シェアリングが今後選ばれる移動インフラになるには、料金も重要な要素になるのではないでしょうか。

盛り上がる日本の自転車シェアリング

東京都は2020年の東京オリンピックに向けて高度に発達した利用者本位の都市インフラの整備を掲げ、その一環に総合的な自転車政策として自転車シェアリング、通行環境、条例の整備などを推進しています。自転車シェアリングはこういった行政の動きが背景にあり、民間企業を巻き込み、展開されてきました。

2016年12月からセブンイレブンはドコモ・バイクシェアと協業して、港区の2店舗で自転車シェアリングサービスをスタートしており、2017年6月末まで都内エリア100店舗を展開、500台の設置を目指すとメディアで発表されています。ドコモ・バイクシェアが進める自転車シェアリング広域化実験では、都心部でのポート設置場所の増設が利便性を上げるために不可欠でしたが、東京だけで2,400以上の店舗を持つセブンイレブンとの協業によってポートの増設が実現されそうです。

コンビニとの協業という点では、セブンイレブンに先駆けて2016年8月にドコモ・バイクシェアは青森県でローソンと組み、復興庁のモデル事業の一環として東北自転車旅という自転車シェアリングサービスを展開しています。サイトでは観光客、特にインバウンドをターゲットに、自転車観光に適したモデルコースも紹介しています。

ドコモ以外ではソフトバンクの子会社オープンストリートが2016年11月よりハロー・サイクリングをリリースしました。ハロー・サイクリングは自転車シェアリング運営事業者と協業し、中野区でシェアペダル中野を運営しています。こちらはイベント期間料金ですが1時間100円と、ドコモ・バイクシェアより手ごろな料金に抑えられています。

まとめ

環境問題や渋滞、人口集中が問題になりやすい都市部では持続可能な都市の交通インフラとして、地方や観光地では旅行客に向けた新しい観光資源として、自転車シェアリングは国内でも注目されつつあります。

自転車先進国のオランダやデンマーク、自転車シェアリングで成功モデルのあるパリやロンドン、台北のように、日本の自転車シェアリングが社会に浸透する日は来るのでしょうか。

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