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欧米を中心に広がりを見せる「シェアリングエコノミー」という新しい市場をご存知ですか? 日本では2016年1月、東京大田区で一般住宅の空き部屋等を宿泊所として提供する「民泊」が解禁され大きなニュースとなりました。本記事では、上記の「民泊」ビジネスも含め、この数年で大きなトレンドとなった「シェアリングエコノミー」について解説していきます。

※編集部注:2016年11月14日に加筆修正しました。

目次

1. シェアリングエコノミーとは

2. シェアリングエコノミー普及の背景

3. シェアリングエコノミーの市場規模

4. シェアリングエコノミーのサービス一覧

5. まとめ

1. シェアリングエコノミーとは 

“インターネットを介して、使われていない資産を活用すること”が基本

そもそも「シェアリングエコノミー」とは何でしょうか? 空き部屋や空き家など、目に見えるものから料理やDIYの代行など目に見えないものまで、「個人が保有している遊休資産の貸出を仲介するサービス」を指します。また、こうしたサービスがインターネットを介して行われることも大きな特徴です。株式会社DeNAの原田氏は「使われていない資産、リソース(中略)を有効活用することで新しい価値を生むもの」と定義しています

 

既存の経済形態では得られなかったメリット

シェアリングエコノミーが生活に取り入れられると、どのような変化が現れるのでしょうか。既存の経済形態では得られなかったメリットが、利用者にも企業にも発生すると考えられます。

まず利用者にとっては、企業の仲介が減少し中間マージンが抑えられ、これまでより低料金でサービスやモノを手にすることができるようになります。家事をご近所の方々に依頼できる「ANYTIMES」や、車の持ち主と借り主が共同管理という名目で自家用車をシェアできる「Anyca」は、企業のマージンを抑え、利用者同士にメリットが高い日本発のP2Pのシェアリングエコノミーです。

次に企業側のメリットに関して、とくに注目が集まっているのはクラウドソーシングというシェアリングエコノミーサービスです。一般に社外からスキルや資金を集めることを指します。たとえば新規のプロジェクトで、自社が保有していないフローやスキルが必要になったときや、一時的に人手が必要な業務が発生した際、外部のそのジャンルに卓越した人に業務を外注することで、自社で遂行するより短期間で高いクオリティの成果が見込めるというものです。

シェアリングエコノミーの発祥は、2008年にいわゆる「民泊」の仲介サービスを始めた米国のAirbnbといわれています。その後も車・ペットシッターと、続々と個人間でのモノの貸し借りを仲介するサービスが登場していきました。

2. シェアリングエコノミー普及の背景

ますます便利になるモバイル・タブレット端末が、普及を後押し

こうしたシェアリングエコノミー発足・普及の背景にはインターネットやスマートフォン・タブレット端末の普及などテクノロジーの発展があります。インターネットが整備され、端末によってそれを手軽に利用できるようになったことでシェアリングエコノミーは急速な成長を遂げていきました。ユーザー側でいえば、スマートフォン一つでいつでもどこでもシステムを利用できるようになり、サービスを受けやすくなったと言えます。

また、システムを提供する供給側にとってもサービスを提供しやすくなる追い風となりました。従来専用機や特別なシステムで管理されていたようなものが、全てスマートフォンひとつでアクセスできるようになったことで、システムを提供する供給側がユーザーや情報を管理しやすくなりました。これがシェアリングエコノミーを広げる要因になったといえます。

人にモノを貸すリスクに対応! “評価制度”で個人間の信頼感を高める

「見知らぬ人同士がモノを貸し借りするというリスクはもちろんあります。そうした問題に対応したのが「評価制度」です。個人と個人の信頼関係構築がこのサービスにおいて非常に重要な要素ですが、多くのシェアリングエコノミーサービスでは信頼性を高めるためにユーザー同士のレビュー評価制度を導入しています。Facebookなど既存のSNSとの連携が必須であるケースも。米国では、ユーザーの信頼度をこれまでのオンライン活動履歴や既存サービスからスコア化するサービスも提供されています。

3. シェアリングエコノミーの市場規模

国内外で成長を続ける、可能性に満ちた領域

  • 億ドル

拡大するシェアリングエコノミー市場

シェアリングエコノミーの世界市場規模の予想

日本でも広がりを見せているシェアリングエコノミーですが、その経済効果は非常に大きなものになると予想されています。英国大手コンサルファーム PwCによると、2013年に約150億ドルだった市場規模が、これから約20年後の2025年には、約3,350億ドルまで成長する見込みです。

日本でもAirbnbやUberといった米国発のサービスが上陸した他、日本発のシェアリングエコノミーサービスの提供も浸透してきています。矢野経済研究所によると、日本での国内シェアリングエコノミー市場は2014年度で23,276百万円と推計されており、今後も高い成長率で推移するものとみられています。

また、シェアリングエコノミーによる社会への影響について、これまでとは違う新しい人の働き方や移動方法を実現していると言えます。Uber Japanの高橋氏によると、Uberのドライバーは好きな時間だけ働くことができるため、7割のドライバーは副業で仕事をしているのだそうです。主婦や学生など、本来の生活の空き時間を有効活用している現状があります。

こうしたUberのシステムは、単にタクシーに替わるサービスというわけではなく、人の移動手段を変えています。他のシェアリングエコノミーの領域でも、単にサービスの置き換えではなく、全体のシステムを変えることになることを考えると、まだまだシェアリングエコノミーが拡大する可能性があるといえます。

シェアリング事業の普及を支える「保険」の動きにも注目

シェアリングエコノミー市場の急成長にともない、事業者はユーザーが安心・安全にサービスを利用できるよう、さまざまな対策を講じる必要がでてきました。その一つに専用保険があります。

日本では2016年にシェアリングエコノミー協会が保険会社と提携し、同協会の会員向けにシェアリングエコノミー専用の賠償保険の販売を始めました。

東京海上日動火災保険損害保険ジャパン日本興亜シェアリングサービスのプラットフォーム事業者を対象に保険を提供しています。保険の補償範囲や契約形態 (年間契約や利用単位ごと)はそれぞれ異なり、事業のニーズに応じて各社の保険を選べるようになっています。

また三井住友海上火災保険では、シェアリングエコノミー事業者専用のサイバー攻撃の危険を補償する保険を同協会の会員向けに販売しています。こちらはサイバー攻撃があった際の損害賠償や各種対策費用を補償するだけでなく、リスク回避の対策提供と、万一被害が起きてしまった際、事態に対応できるスペシャリストの紹介も行う内容です。

こうした保険の存在は、新規事業者の参入を促進はもちろん、シェアリングエコノミーに興味はある一方でトラブルが心配という潜在ユーザー層の利用につながると考えられます。保険がセーフティネットとなることで、シェアリングエコノミーの普及がより促がされるといえます。

別記事の「シェアリングエコノミー向けの保険も誕生!進むリスク回避の動き」ではこうした保険についてまとめています。

 

4. シェアリングエコノミーのサービス一覧

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ガイアックスが考えるシェアリングエコノミーの4領域

  1. モノのシェア(各種フリーマーケット・衣服などのファッション等)
  2. 場所のシェア(駐車場・会議室・民泊・ルームシェア等)
  3. 移動のシェア(カーシェアリング・ライドシェア等)
  4. リソースのシェア(労働力・技術・お金等)

シェアリングエコノミー協会の理事である株式会社ガイアックスは、国内外における代表的なシェアリングサービスそれぞれ4つの領域に大きく分けて考えています。これからモノ、場所、移動、リソースの4領域について、国内外の例を挙げながら深堀していきます。

モノのシェア

Yerdle

物物交換やリサイクルによって、余剰な物品を流通させる仕組みです。海外で代表的なサービスはYeardle。必要なモノを、Facebookの友だちなどネットワーク上の友人知人から借りられるか簡単にチェックできるサービスで、貸し借りの他にもあげてしまってもいいというモノも掲載することができます。

また、日本ではファッション系のサービス(衣服の貸し借りやフリーマーケット)が盛んな印象です。

代表的になものがメルカリ。売りたい人と買いたい人を繋げる、ネット上のフリーマーケットとして人気を博しています。サービスの提供はスマートフォンアプリを使って行われており、スマートフォン一つで手軽に出品・購入することができるのが魅力です。

メルカリ

場所のシェア

駐車場や会議室の他、民泊のように宿泊場所など、普段使っていない「場所」の貸し借りのサービスでは、シェアリングエコノミーの火付け役となったAirbnbが最も有名でしょう。空き部屋を宿泊所として提供することができ、全世界で利用者が増加しています。日本にも進出しており、外国人観光客だけでなく日本人の利用も増えてきている様です。

Airbnb

他にも年会費が必要となるHomeAwayや、英国発のLoveHomeSwapなど、海外では宿泊を前提としたサービスがいくつかあります。Worldpackersは対価をお金で支払うのではなく、語学を教えたり、家事を代行したりなど、自分の持っているスキルを対価とする一風変わったマッチングを行っています。

日本のサービスでは、駐車場をシェアできる軒先パーキングや、イベント・会議用スペースレンタルを提供できるSheepsスペースマーケットなど、「空間」の貸し借りのマッチングを仲介するサービスが多いです。どちらも「普段使わないスペース」や「時期・時間帯によって使わないスペース」を有効活用している事例です。

軒先パーキング

移動のシェア

Uber

“場所”のAirbnbと並んで有名なのがタクシー配車サービスであるUberです。こちらも全世界的にサービスを拡大しており、スマートフォンひとつで配車できる利便性から人気を集めています。競合と言えるサービスは多く、LyftSidecarといった「相乗り」サービスも提供されています。カーシェアリングサービスのRelayRideなど移動に関するサービスは競合が多い印象です。車以外にも自転車の貸し借りを行うサービスなどもあるようです。(参考:「Spinlister」

日本でUberと類似したサービスを展開しているのがLINE TAXI。今や誰もが利用しているコミュニケーションサービスLINEが提供するタクシー配車サービスです。独自アプリが配信されているのではなく、LINEの中のサービスのひとつとして提供されています。

Linetaxi

他にもレンタカー会社や駐車場運営会社がカーシェアリングサービスを行っているケースなどがあります。日本カーシェアリング協会では、東日本大震災をきっかけに、災害時のカーシェアリングサービスを展開しています。

リソースのシェア

リソース領域では実に多様なサービスが数多く展開されています。ペットシッターから家事・育児代行、DIYの代行、技術の提供やちょっと何かを手伝うためサービス、更にはお金の貸し借りまで非常にバラエティ豊かです。

Dogvacay

有名な海外サービス事例ではDogVacayがあります。旅行などで家を空ける際にペットを預けたい人と、それを預かる人を結ぶサービスです。
他にも夕食のシェアサービスfeastlyは夕食を作りたい人・食べたい人をマッチングし、見知らぬ人と食卓を共有することができます。

Feastly

日本ではAnyTimesという人手の貸し借りを行うサービスがあり、内容は調理やハウスキーピングなどの調理代行からメイクレッスンやインテリア相談まで、提供する人の能力・技術を生かしたサービスが展開されています。

ほかにも30分から自分の時間を切り売りし、スキル提供ができるTimeTicketというスキル提供サービスがあるほか、家事・育児支援、代行を行うサービスがいくつか存在しています。

Anytimes

シェアリングエコノミーを代表する米国2大企業「Uber」「Airbnb」

上記では分野別にシェアリングエコノミーを紹介しましたが、この項では世界的に有名なシェアリング企業2社、UberとAirbnbについて説明します。

Uberはスマホをクリックするだけで既存のハイヤーやタクシーを呼べるだけでなく、一般のドライバーがライドシェアできるプラットフォームを作りました。

利便性、コスト、サービスの質がユーザーやドライバーから評価され、急速にシェアを拡大したため、既存のタクシー会社が衰退し、サンフランシスコでは実際に倒産する企業が出ました。そのため既存業界がシェアリングエコノミーの台頭によって侵食され縮小することを「ウーバライゼーション」と言うようになっています。

別記事の「ライドシェアリングサービスUberのビジネスモデルまとめ」もぜひご覧ください。

Airbnbは空き物件や空き部屋を旅行者に貸し出す「民泊」サービスで、貸主と借主の両方がAirbnbの利用料を支払う形で運営されています。貸し主には部屋を貸すまでの手厚いサポートを実施し、借り主には部屋の詳しい情報と吟味できる高品質な写真をプラットフォームで提供し、利用を拡大しています。

別記事の「民泊(airbnb)の基本ビジネスモデルや法規制を総まとめ」にも詳細がまとめられています。

 

両サービスは、現行法が想定していないIT技術の進化が可能にしたサービスのため、法律規制の想定外にあり、合法とも非合法とも言えないグレーゾーンに置かれています。

しかしUberもAirbnbも使用時間の少ない車や不動産物件といった遊休資材を活用し、環境にかかる負担も少なく低コストで必要としている人に提供するサービス。人口密集地域が抱える都市問題や、観光地が抱えるインフラの不足、過疎地域が抱える生活水準の維持など社会的に求められているサービスといえます。

くわえてシェアリングエコノミーは、消費・購買を絶えず促進してきたこれまでの経済の仕組みと異なるだけでなく、人と人がつながってメリットを生み出そうとするシステムなので、「コミュニティの創生」にもつながるのではないかと期待されています。

 

5. まとめ

「インターネットを介し、個人間で余剰なモノのやり取りをするというシェアリングエコノミーですが、日本でもどんどん広がりを見せています。法整備の関係もありますが、国内におけるシェアリングエコノミーに秘められた可能性は非常に大きく、日本政府も今後の推進に意欲的です。大田区の民泊の例を皮切りに、更に飛躍を遂げることとなると期待できます。

これまでにも様々な企業が様々な切り口からシェアできるもの、有効活用できるものを見つけ出しサービス化してきましたが、まだまだ実現に至っていない新たなサービスも今後登場するかもしれません。非常に多様な領域をカバーできるだけに、これからにも更に注目していきたいビジネスモデルと言えるでしょう。

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