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レストラン、ユーザー、配達パートナーの3者で成立するUberEATSは、3者ともにメリットが大きいデリバリーサービスです。配車アプリとしてシェアリングエコノミーの認知度を飛躍的にあげたUberが持つテクノロジーと経験で、気軽に食事が楽しめるようになりました。

※編集部注:

2019年2月28日に加筆修正しました。
2018年11月19日に加筆修正しました。
2017年10月25日に加筆修正しました。

目次

  1. UberEATSとは
  2. UberEATSのビジネスモデルについて
  3. UberEATSの日本における広がり
  4. 日本で上陸2周年を迎えて
  5. まとめ

1.UberEATSとは

UberEATSを運営するUberについて

Uberは2009年にアメリカで生まれた自動車配車サービスです。空き時間を利用したドライバーが、アプリを使って配車を希望するユーザーを送迎するマッチングプラットフォームで、ライダーは アプリから位置情報を使って配車を依頼します。

アプリ上で決済するため、ユーザーとドライバーでの金銭授受がありません。目的地も乗車前にユーザーが入力しているので、ドライバーは迷う心配もありません。また相互評価機能をつけることで、悪質なドライバーを排除し、サービスのクオリティを保っています。

各国で利用されているUberは、配車、送迎が便利なことはもちろんですが、例えば海外に行った時に言葉がわからなくても、目的地までいける上にアプリ上で決済するため、法外な請求の心配もありません。

Uberは革新的なサービスとして、ライドシェア・シェアリングエコノミーの認知度を飛躍的にあげました。

UberEATSの概要

https://www.ubereats.com/ja-JP/tokyo/

テイクアウト、デリバリーの新しい形UberEATSは、そのUberから提供されているサービスです。

ピザや寿司などの従来のデリバリーサービス、出前と違って、レストランが配達員を雇用することなく、すぐに始めることができます。出来立ての食事を運ぶのは、空いた時間を有効活用したい配達パートナーです。

講習を受け一定の条件を満たせば、簡単に配達パートナーになることができ、週末や空いた時間に稼働することで、個人委託業として配達料を得ることができます。ユーザーは好きな時間に好きな料理をオーダーし、最短時間で食事を受け取ることができます。

幅広いレストランが食事を提供しているので、ティータイム、ランチ、ケータリング、野外でのピクニックなど、多様な時間と場所に対応しています。予約機能もあり、好きな日時に配達を指定することもできます。

UberEATSはUberがこれまでに培ってきた経験とシステムを活用し、売上を増やしたいレストラン、短時間で様々な食事を楽しみたいユーザー、空き時間を有効利用したい配達パートナーを結びつける新しいマッチングサービスです。

 

2.UberEATSのビジネスモデルについて

市場規模について

UberEATSは2018年11月時点で36の国と地域、350以上の都市で展開されています。 東京は8カ国34都市目に事業が開始されました。日本国内では東京・横浜・川崎・さいたま・大阪・京都・神戸・名古屋・福岡・千葉の10ヵ所でサービスが利用でき4,000店舗以上のレストランが食事を提供しています。

カナダ、オーストラリア、イギリス、アメリカで活発に利用されており、アジアでは、台湾、香港、インド、タイ、シンガポールで普及しています。レストラン側の手数料、配達パートナーの報酬形態は非公開となっています。アプリから注文して実際に手元に届くまでは世界平均34分かかるという結果が出ており、少しの待ち時間で、旅先で自国の料理や、その土地の郷土料理など、さまざまな料理を味わうことができます。

ビジネスモデルについて

UberEATSは、レストラン、ユーザー、配達パートナーにとってメリットの大きいビジネスモデルとなっています。

レストランのメリット

配達員を新しく雇用せずにUberEATSを始めることができます。これまでリソースがなくデリバリーができなかった店舗は商圏を広げることができ、自宅で食べたい、店まで来れない人にサービスを提供することが可能になりました。またオペレーションや調理場を変えることなくそのまま使えるため、設備投資も不要で、シェフの未稼働時間も削減することができます。アプリで一括して注文、金銭授受をするため、店側は調理して、配達パートナーに料理を渡すだけで良いのです。

さらに人気店や客数が少ない店舗はデリバリーをすることで、売上をさらに増加させることもできます。1日の注文が2倍になったり、売上が20%増加した店舗もあります。

UberEATSに出店することで、新しいプロモーションの機会を得ることができ、レストランにとっては、負担なく売上を増加させられるデリバリーシステムとなっています。

配達パートナーのメリット

配達パートナーは、125cc以下のスクーター、自転車、徒歩で配達をします。 移動手段がない場合は、提携先のサイクルシェアを利用することができます

UberEATSからは宅配用の保冷保温ボックスが提供され、自転車やスクーターがあればすぐに始められます。週末や夜間など、空いた時間に稼働ができるため、個人業務委託として収入を得ることができ、報酬は注文ごとの単価と距離によって決まります。

イベント時期や歓送迎会シーズンなど、繁忙期はニーズも高まり、2018年9月時点では、13,000人以上の配達パートナーが登録されています

職歴不問、年齢や性別も問わず活躍できるため、さまざまな人が配達パートナーとして活躍できます。1時間だけ、週末だけなど、都合に合わせて柔軟に稼働できるので、遊休リソースを活かして働きたいという子育て中の主婦や学生、また副業を目的とした会社員にも最適です。なかには「急な仕事に対応するためシフトを組まず柔軟に収入を得たい」と考えるアーティストや役者など不規則な職業の人も働いており、30代以下の男性が配達パートナーの半数以上を占めているとのことです。

また、2019年1月には、運転時間のカウントや制限機能・配達状況共有機能などをアプリに追加、緊急通報ボタンや通話の匿名化、自転車保険なども導入されるなど、配達パートナーの安全性確保にも配慮されています。

ユーザーのメリット

最低単価は数百円です。ジャンルはスイーツからステーキまで幅広く、チェーン店や高級料理店や有名店にも注文することができます。気になっていたけれど、行く機会がなかった店や、いつも混雑していてなかなか入れなかった人気店の料理を注文でき、さらに自転車やバイクで配達するため、公園や野外などにも配達することが可能です。ホームパーティーやお花見、ケータリングなど、利用シーンは食事が必要なところであれば、どこでも利用できます。

 

3.UberEATSの日本における広がり

エリア拡大の状況

UberEATSは、2015年12月にカナダのトロントで始まりました。 日本でも下記のように破竹の勢いで拡大し続けています。

都内の主要エリアを中心に、ハイスピードでサービスの提供エリアが拡大しており、地方都市への拡大も期待されています。
エリアを拡大するごとに、初めてのユーザーが気軽にUberEATSを利用できる配送料無料キャンペーンを実施しています。食事代だけで利用できるお得なキャンペーンは、まだ使ったことのないユーザーだけでなく、既存のユーザーでも参加することができ、集客や売り上げを増やすきっかけとなっています。
また新しいエリアのレストランも都度紹介しており、レストラン側にとってもプロモーションの絶好の機会となっています。

利用できるレストランについて

クリスピークリームドーナツ、大戸屋、マクドナルド、焼肉トラジといった有名店から、カレー、ハンバーガーショップ、ステーキ、サラダ、クレープ、エスニック料理、各国の郷土料理など、小腹が空いた時の夜食から、ガッツリ食べられるメニューが並び、幅広いレストランにオーダーすることができます。

蕎麦やピザのイメージが強いデリバリーサービスですが、様々なメニューを有名店、人気店からオーダーすることができ、飽きることなく何度も利用できます。

また、地方展開も進んでいることから、地域の郷土料理や名物料理を提供する店舗も増えてきました。たとえば名古屋ではひつまぶしやあんかけパスタといった、いわゆる「名古屋めし」と呼ばれるメニューに対応したレストランも登場し、その土地で親しまれている料理を手軽に味わうことができます。普段の食事で楽しむのはもちろん、遠方からの来客へ急なおもてなしをする際に利用する、といったようなシーンも想定され、ほかのデリバリーサービスにないようなバリューを提供しています。

身近なエリアにあったけれど知らなかった名店を見つけるきっかけにもなるかもしれませんね。

さらに、2018年11月にはスターバックスもUberEATSを導入することを発表しました。まずは都内の3店舗でトライアルとしてスタートし、対象店舗を拡大していく見通しです。

ドリンク類やフードメニューだけでなく、タンブラーなどの什器を含む商品も注文することが可能。フローズン状のフラペチーノは配達対象外となりますが、ホットドリンクはラップを巻くなど温度を保つ工夫もされて届けられるなど、デリバリーにおいても、スターバックスの本格的で質の高い顧客体験を提供する考えです。

配達エリアは、2019年2月時点では対象店舗から半径1.5km以内と限られていますが、日本国内におけるデリバリーサービス市場の急成長をとらえ、今後2021年までにさらなるサービス拡大が期待されます。

東京都内の「マクドナルド」一部店舗においてもUberEATSによるデリバリーサービスが2017年よりすでに開始されており、2019年2月には、株式会社ゼンショーホールディングスが展開する牛丼チェーン「すき家」と京風うどんチェーン「なか卯」も東京都内の店舗においてもデリバリーサービス開始を発表、対象店舗を順次拡大する考えを示すなど、ファストフードや大手チェーン店への展開も進んでいます。

 

4.日本で上陸2周年を迎えて

配達員増加、導入店舗の客数増加

2016年の日本でサービスを開始した頃と比べて、レストランは150店舗から4,000店舗以上に拡大。また、日本国内でのサービス提供都市と地域は10ヵ所に拡大しました。配達パートナーも当初の千人程度から、2018年9月時点では13,000人以上に増加しています。

UberEATSのレストラン側のメリットは、レストラン側のコストがかからず、かつ販売個数を上げられることです。UberEATSを通して注文を受けて食事を作るだけで、新たに配達員を雇用するなどのコストがかかりません。さらに、売上状況・売れ筋商品・顧客満足度などの情報が貸しできるツールを提供するなど、店舗側の売上拡大のサポートも実施しました。

配達員やシェフをわざわざ雇ったりすることなく、通常の営業形態でスタートできる手軽さも相まって、初めて出前を実施する店舗が6割に上ります。出前を提供することで今までリーチできなかった顧客層の開拓や認知度の向上につながり、「UberEATSのアプリで初めてその店を知った女性客が実店舗に来店した」というような例も出るなど、UberEATSを導入したことで実店舗も客数が増加するケースが見られます。

優秀な配達員に向けたサービス支援

UberEATSに欠かせない配達パートナーは、隙間時間を活用したい会社員やフリーランス、主婦や学生が中心となっています。過去の履歴によると、最も料理を運んだ配達パートナーは1日に39回、1年間で6006回運んだという結果が出ています。2017年9月からは、レストランやユーザーからの評価やパフォーマンスの高い配達パートナーを認定して支援する「ゴールド・パートナー・プログラム」を開始しました。これには、500回以上配達し、高い評価を得ているなど、UberEATSが設定する基準を満たした配達員が認定されます。ゴールドパートナーに認定された配達員は、UberETASで使えるプロモーションコードや、レストランからの優待などを得ることができます。これにより、配達員のモチベーションの維持や、サービスレベルの向上が期待されています。

また、2018年には、これまで一律380円だった配送手数料を店舗からの距離やや配達時間帯、混雑度などによって変動する仕組みに変更、例えば受取場所から遠い店舗より近い店舗のほうが安くなるなど、配達パートナーの労力に比例した料金設定となりました。具体的には110円、230円などから420円、場合によっては1,000円超と幅があるようですが、ユーザーがアプリで店舗を探す際に事前表示されるため、注文後に高くなるという心配はなく安心して利用できます。配達パートナーの収入を労働条件に応じて向上させることで、安定した人材確保につなげるという考えです。

 

5.まとめ

UberEATSは、日本Googleが発表した「ベストオブ2016」のベストローカルアプリ部門の大賞を受賞するほど、人気が高まっています 。2017年には日経MJが発表する「2017年ヒット商品番付」に西の前頭として掲載。日経PC21が発表する「2017年すごい商品&裏技 ベスト100」のウェブサービス部門で第4位に選ばれるなど、2017年を代表するサービスとして認知されました。2周年を迎え、エリアは日本の7都市に展開、配達パートナーや提携レストランも急速に拡大し、ますます勢いを見せています。レストラン、ユーザー、配達パートナーの3者にメリットが大きいため、今後もエリアが拡大され、様々な飲食店の食事を楽しめそうです。

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