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個人の住宅や空き家、マンションの部屋などを旅行者やビジネスパーソンに有料で貸し出す「民泊」。近年、貸し手と借り手をマッチングするサービスが世界中で拡大しています。最大手であるアメリカのAirbnb、シンガポールのRoomorama、ドイツのWimduなど名前が挙がるなか、日本の企業はどうなのでしょうか?本記事では、「民泊」のビジネスモデルや法規制、国内マッチングサイトなど、具体例をふまえながら紹介します。

目次

1. 民泊の基本的なビジネスモデル

2. 民泊に関する法律について

3. 国内の民泊サービス事例

4. まとめ

1. 民泊の基本的なビジネスモデル

最大手Airbnbの戦略とは

Airbnb

民泊マッチングサイトの代表例が、アメリカ・サンフランシスコのベンチャー企業

「Airbnb(エアービーアンドビー)」。2008年に創業し、現在世界190か国、4,500万人のユーザーをもつまでに成長しています。

サービスサイト上で目的地を入力すると、物件写真とホストの顔写真が表示されます。格安な間借りタイプから高級別荘のほか、城やツリーハウス、島などいろいろな宿泊施設を提供しているのが特徴です。

Airbnbのマネタイズとして、ホストとゲストの両者から料金を徴収しています。ホストから決済代行手数料として宿泊料金の3%を、ゲストからサイト利用料として宿泊料金の6~12%をもらっています。

ホストやゲストを集める工夫

そして、Airbnbがホストを集めるための施策として、以下のような手厚いサポートがあります。

  • ホストを対象としたおもてなし講義やインターネットで学ぶe-ラーニング講座、経験豊富なホストが経験の浅いホストに教える機会の提供
  • 最適な料金設定や鍵の受け渡し方法の提案
  • ガイドマニュアルの作成(オプション)
  • プロカメラマンによる部屋の撮影(オプション)

また、ゲストがサービスを利用するメリットとして、以下の点が考えられます。

  • ホテルや旅館より比較的安価
  • 部屋情報が豊富で選びやすい
  • 普段泊まれないところに泊まれる

また上記以外にも参入しやすくする工夫はあります。Airbnbでは旅行前のコミュニケーションを重視しており、ホストとゲストが相互に評価しあうレビュー制度があります。そうすることで、事前にお互いの相性を見極めることができるようになりました。

急成長の秘訣は、利用者の声に耳を傾けたこと

創業当初のルールが「ホストは朝食を提供すること」でしたが、登録者数は伸び悩んでいました。そんな時、長期不在にするミュージシャンなどがアパートの自室をまるごと貸し出すという利用法を知り、さまざまなスペースを貸し出すサービスへ方向転換しました。利用者がどのような利用の仕方をしているか調査し、当初のコンセプトを改めることで急成長しました。また、「安く泊まれるサービスをいくら提供してもユーザーに見える形で届かなければ意味がない」ということに気付き、物件の写真を魅力的にすることで、Airbnbは売り上げを2倍に伸ばしました。こうした経緯で、「知らない人の家に泊まる」という今までにない常識を覆せたのです。

2. 民泊に関する法律について

民泊は旅館業、旅行業としての申請が求められる?

Housing

民泊の課題として、法律に抵触するかどうかグレーであることが挙げられます。民泊をおこなうホストは旅館業、仲介業者は旅行業にそれぞれ該当する可能性があります。そもそも旅館業とは「宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業行為」のことで、ホスト側が「営業行為」をおこなっているかが焦点となります。しかし、下記の理由から法整備がなかなか進まないといわれています。

  • ホストは企業ではなく個人であることが多いため「営業行為」としておこなっているかどうかの判断が難しい。
  • 日本で貸主として出品している人の中には海外のホストも多く、民泊が旅館業法の「簡易宿所」扱いになった場合、ホスト側は自治体からの営業許可の取得が、また、仲介業者は旅行業の登録が必要となります。具体的には、カプセルホテルなど宿泊する場所を多数人で使うような構造、設備が中心の有料施設が該当します。

政府の判断は、2016年中に下されるのか

そのようななか、政府は規制改革実施計画で、国内の現状に対して2016年までに結論を出すと閣議決定しています。行政側の懸念は、おもに衛生面や安全面です。たとえば感染症が蔓延した場合、感染源を追跡できない、不法滞在者が逃げ込むといったトラブルが起こる危険性もあります。政府内では、旅館業法に基づき営業許可の取得を促す意見と、同法の適用除外にすべきという意見に分かれており、調整には時間がかかるとみられています。しかし、

  • さまざまな消費活動を生み出す可能性がある。
  • 外国人旅行者の増加にブレーキをかけている宿施設不足を解消できる。

というメリットも挙げられています。法規制が整うのはまだ先になりそうですが、2020年に東京オリンピックを控えることを考えると、受け入れる方向に進んでもおかしくはありません。実際、東京都大田区では、2015年12月に民泊を認める条例を制定。全国に先駆けて、宿泊旅行サイト運営会社に初の認定書が交付されています。

(参考:http://www.city.ota.tokyo.jp/kuseijoho/kokkasenryakutokku/ota_tokkuminpaku.html

3. 国内の民泊サービス事例

ベンチャーから大手企業まで、次々に乗り出す!

日本国内でも民泊サービスを手がける企業が増えています。

Spacemarket

現在、スペースマーケットでは時間貸用のレンタルスペースを多数取り扱っており「お寺で経営会議」「古民家で結婚式」「映画館でパーティー」など、ユニークなスペースを1時間単位で貸し借りできるようになっています。2016年春には民泊事業もスタート。現サービスを延長する形でユニークな宿泊施設が数多く掲載すされる定です。

  • マンション大手「大京」が長期滞在者向けの民泊サービスを開始 「旅家
Tabiie

民泊を認めた大田区を中心に2016年春から展開。羽田空港への利便性も高いため、急増する外国人観光客をターゲットに、空き家を買い取って民泊用に改装しています。特区での民泊要件は1週間以上の滞在を要件としていますので、受け入れ対象は長期滞在者ということになっています。

  • 日本初の合法民泊サイト「STAY JAPAN
Stayjapan

株式会社百戦錬磨は子会社のとまれる株式会社を通じて、国家戦略特別区域法に準拠した日本初の合法民泊サイトを2015年12月にオープン。物件登録者が民泊を運営開始するために必要な手続きについて、全面的にサポートしています。2016年12月までに大田区のほか、合法民泊が順次開始されると想定される地域など合計約3,600物件を登録する予定。旅行会社や不動産会社だけなく、鉄道会社やベンチャー企業など、さまざまな分野が参入しており、今後も増え続けていくと予想されています。

4. まとめ

  • 億ドル

拡大するシェアリングエコノミー市場

シェアリングエコノミーの世界市場規模の予想

民泊を含め、「シェアリングエコノミー」市場は世界で急速に普及しています。日本でも2014年度の市場規模推計は、前年度比134.7%の232億7600万円でした。(参考:http://gentosha-go.com/articles/- /1959

法規制は調整中ですが、ライドシェアを始めとしたシェアリングエコノミー関連サービスの普及状況を考えれば、民泊ビジネスの成長も十分に期待できるでしょう。

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