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個人の住宅や空き家、マンションの部屋などを旅行者やビジネスパーソンに有料で貸し出す「民泊」。近年、貸し手と借り手をマッチングするサービスが世界中で拡大しています。最大手であるアメリカのAirbnbは日本でも民泊の代名詞的な存在ですが、日本の企業が提供する事例も押さえておきたいところです。

本記事では、「民泊」のビジネスモデルや法規制の最新事情をまとめるとともに、国内で展開されるサービスの事例もご紹介していきます。

※編集部注:2017年11月21日に加筆修正しました。

目次

  1. 民泊の基本的なビジネスモデル
  2. 民泊に関する法律について
  3.  国内の民泊サービス事例
  4. まとめ

1. 民泊の基本的なビジネスモデル

最大手Airbnbの戦略とは

Airbnb

民泊マッチングサイトの代表例が、アメリカ・サンフランシスコのベンチャー企業「Airbnb(エアービーアンドビー)」。2008年に創業し、2017年11月時点で世界1910か国、4,5002億万人のユーザーを抱えるまでに成長しています。

サービスサイト上で目的地を入力すると、物件写真とホストの顔写真が表示されます。格安な間借りタイプから高級別荘、城やツリーハウス、島などいろいろな宿泊施設を提供しているのが特徴です。

Airbnbのマネタイズとして、ホストとゲストの両者から料金を徴収しています。基本的には2017年11月時点で、ホストから決済代行手数料として宿泊料金の3~5%を、ゲストからサイト利用料として宿泊料金の5~15%が発生します。

ホストやゲストを集める工夫

そして、Airbnbがホストを集めるための施策として、以下のような手厚いサポートがあります。

  • ホストを対象としたおもてなし講義やインターネットで学ぶe-ラーニング講座、経験豊富なホストが経験の浅いホストに教える機会の提供
  • 最適な料金設定や鍵の受け渡し方法の提案
  • ガイドマニュアルの作成(オプション)
  • プロカメラマンによる部屋の撮影(オプション)

また、ゲストがサービスを利用するメリットとして、以下の点が考えられます。

  • ホテルや旅館より比較的安価
  • 部屋情報が豊富で選びやすい
  • 普段泊まれないところに泊まれる

また上記以外にも参入しやすくする工夫はあります。Airbnbでは旅行前のコミュニケーションを重視しており、ホストとゲストが相互に評価しあうレビュー制度があります。そうすることで、事前にお互いの相性を見極めることができるようになりました。

急成長の秘訣は、利用者の声に耳を傾けたこと

創業当初のルールが「ホストは朝食を提供すること」でしたが、登録者数は伸び悩んでいました。そんな時、長期不在にするミュージシャンなどがアパートの自室をまるごと貸し出すという利用法を知り、さまざまなスペースを貸し出すサービスへ方向転換しました。利用者がどのような利用の仕方をしているか調査し、当初のコンセプトを改めることで急成長しました。また、「安く泊まれるサービスをいくら提供してもユーザーに見える形で届かなければ意味がない」ということに気付き、物件の写真を魅力的にすることで、Airbnbは売り上げを2倍に伸ばしました。こうした経緯で、「知らない人の家に泊まる」という今までにない常識を覆せたのです。

モノよりコトへ。体験型のサービスを開始

2016年11月、Airbnbは「Trips」、日本語では「体験」と名付けた新しいサービスの提供を始めました。

このサービスは、同社がこれまで提供してきた「旅先でも暮らすように過ごせる宿泊先」のほかに、「ローカルの案内で興味や趣味の対象が体験できる」というものです。

日本を訪れる中国人観光客の爆買いブームが鎮火した一方、対象は日本での体験に移行していることにも象徴されるように、Airbnbも観光需要の対象は変化したと捉えているようです。

「体験」では、パリでのフランスワインのテイスティングや、東京での料理教室、サンフランシスコでのサーフィン体験など、ローカルの案内が醍醐味となるプログラムが、現地の特徴を生かしたラインナップでリスティングされています。

しかしAirbnbサイトを見てみると、「体験」がリスティングされているのは欧米の都市が中心で、日本では2017年11月時点で、東京と大阪の2都市のみの展開。毎年魅力的な観光都市上位に選ばれる京都、近年人気が高まっている軽井沢など、今後対象となる都市の拡大は大いにありえるでしょう。

2. 民泊に関する法律について

Housing

民泊新法の制定

2015年12月に東京都大田区で民泊を認める条例を制定されて以降、民泊をどういう形で取り扱っていくのかを明確にした法整備が待ち望まれていたところ、2017年6月ついに、「住宅宿泊事業法(通称:民泊新法)」が成立しました。

この空白の期間にも、外国人観光客の増加に対して宿泊施設の不足は続いており、非合法な民泊運営は増える一方だったので、訴訟沙汰になる事例も発生し、待ちに待った新法の制定でした。新法の施行は2018年になる見込みです。

民泊新法の概要

今回の新法が定める民泊とは、「旅館業以外の人が、住宅に人を宿泊させる行為」で、年間180日以内に収まるものを指しています。新法の対象は、「①住宅宿泊事業者、②住宅宿泊管理業者、③住宅宿泊仲介業者」となっています。

これら事業者が合法的に民泊に携わるためには、新法で定められた機関に登録または許可を申請するなどして、営業しなくてはいけません。

また違反があったと認められた場合には、営業の停止命令や営業許可の取り消しなどが発生し、営業を続けられなくなります。

民泊関係者の新法への反応

民泊新法に対して、すでに民泊運営に乗り出している事業者は歓迎ムードですが、人気の観光地を抱える自治体では、独自の条例を制定して、引き続き民泊の営業を制限したい意向を発表しているところもあります。

その背景には、無秩序に外国人観光客が押し寄せることへの住民の反発があります。治安の悪化や、長年に渡って築いてきた住環境の劣化、景観の保護など、新法の施行によって今ある環境が失われることを、そこで暮らす人々は不安に感じているようです。

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3. 国内の民泊サービス事例

ベンチャーから大手企業まで、次々に乗り出す!

日本国内でも民泊サービスを手がける企業が増えています。

  • 1時間単位で貸し借りできる「スペースマーケット」が民泊事業へ参入
Spacemarket

「お寺で経営会議」「古民家で結婚式」「映画館でパーティー」など、ユニークなスペースを時間単位で貸し借りできる、時間貸用のレンタルスペースを多数取り扱ってきたスペースマーケットでは、「スペースマーケットステイ」を立ち上げ、民泊市場に参入しています。

スペースマーケットステイのプラットフォームとしての最大の特徴は、宿泊施設と時間貸しスペース、両方として貸し出せ、効率的な営業が望めることです。一つのプラットフォームでの登録で2WAYの貸し出しが可能なのは、貸主にとってうれしいメリットではないでしょうか。

・日本初の合法民泊サイト「STAY JAPAN」

Stayjapan

株式会社百戦錬磨は子会社のとまれる株式会社を通じて、国家戦略特別区域法に準拠した日本初の合法民泊サイト「Stay Japan」を2015年12月にオープン。地方での農・林・漁業などを営む民宿への宿泊をはじめ、都市型の民泊も取り扱っています。

Stay Japanの強みは「とまりーな」で予約できる、農業や漁業などの田舎暮らし体験です。また民泊新法制定以前から、自治体が許可した公認民泊だけを取り扱っているので、安心して利用できるというのもStay Japanならではと言えます。

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4. まとめ

  • 億ドル

拡大するシェアリングエコノミー市場

シェアリングエコノミーの世界市場規模の予想

民泊を含め、「シェアリングエコノミー」市場は世界で確実に拡大しています。総務省が紹介した矢野経済研究所の発表によると、日本でも2016年度の市場規模推計は360億円。試算でも今後の市場規模は拡大する見込みです。

その中でも民泊は他に先駆けて法整備も整い、政府は民泊新法の施行を2018年6月とし、住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例の基準も発表しました。これにより、民泊が国内のシェアリングエコノミー市場の拡大の先陣を切る存在となっていくことは間違いなさそうです。

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