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遊休資産の有効活用を図るシェアリングエコノミーが世界に拡大する中で、もっとも激しく変化している分野のひとつがモビリティサービスです。ライドシェアの米UberやLyftを筆頭に、サービスの構造変化が一層顕著になってきています。

そして今、その動きに強く反応しているのが世界の車両メーカーです。日本国内、海外の自動車・二輪メーカーがモビリティのシェアリングエコノミーに戦略的出資を行い、単独や協業でカーシェアやライドシェアのプラットフォームサービスに進出しています。大変革の兆しが見え始めた移動サービス。それを支える世界の企業動向を見てみましょう。

目次

  1. ダイムラー社がカーシェアリング事業をスタート
  2. GMがワンウェイカーシェアをスタート
  3. トヨタによるUberやGetaroudとの提携
  4. ホンダが東南アジアにおける二輪車シェアリング事業へ
  5. まとめ

ダイムラー社がカーシェアリング事業をスタート

個人同士で車をレンタルするP2Pサービス

ダイムラーはP2Pのカーシェアプラットフォーム「CROOVE(クルーブ)」をリリースしました。2016年12月からiPhone向けアプリのダウンロードが開始、近日Android向けも公開される予定です。

CROOVEは、個人が所有する車を、所有者が使っていないとき使いたい人に貸し出すドイツ国内のサービス。同社はこれを自動車の遊休資産活用サービス、「自家用車のAirbnb」と位置づけています。

取り扱い車種はダイムラー製である必要はなく、15年未満の良好な状態の車であればどのメーカーでも登録できます。借り主は21歳以上で、指定の国が発行する自動車免許保有者か、国際免許の保有者とされています。支払いはアプリを通してクレジットカードで決済され、利用後に借り主、借り主ともにアプリ上で相互評価され利用履歴として残る仕組みです。

万一の際の補償面は、ヨーロッパ最大級の保険事業を運営するアリアンツ保険がオペレーションしており、知名度の高い企業同士のコラボレーションはユーザーの信頼感に直結するでしょう。

日本でも同様のP2PのカーシェアはAnyca (エニカ)が展開していますが、CROOVEのサービスで特徴的なのは、貸し主や借り主が依頼すると、指定した場所まで車を運んでくれるバレットサービスと呼ばれるオプションです。15ユーロの追加金で対応してくれるので、指定時間に引渡し場所に行けないとき利用できる、ユーザーフレンドリーなサービスと言えます。

そのほかにもダイムラーは、世界的に大きな潮流となっているカーシェアリングに力を入れており、欧州を中心に北米にも展開している同社車種smartのカーシェアリングcar2goで中国に進出したり、空港に停めている旅行者の自家用車を他の人に貸し出すサービスFlightCarを買収したりしており、カーシェアリング市場でのシェアの拡大を進めています。

GMがワンウェイカーシェアをスタート

注目が集まる「乗り捨て」サービス

GM(General Motors)は、カーシェアリングの「Maven(メイブン)」でワンウェイサービスをスタートしました。ワンウェイとは片道、つまりわざわざ借りた場所に車を戻さなくてよいカーシェアリングです。

Mavenは、「ユーザーが求める、または今後求めることになる高いレベルでパーソナライズされたモビリティサービスの提供」を掲げて、2016年1月にGMが開始したカーシェアサービス。GMはMaven以外にも、Lyftに5億ドルの巨額投資を行ったり、事業停止に追い込まれたSidecarの資産を買収したりと、車社会の仕組みの再構築に積極的なスタンスを取っています。Lyftと提携し、自動運転車を使ったオンデマンド配車サービスの実現にも取り組んでいます。

カーシェアの乗り捨てサービスは、ミシガン大学のあるアナーバー周辺で開始し、のちにデトロイト・メトロポリタン空港とデトロイトのルネッサンスセンター間でも利用できるようになっています。Mavenの発表では、今後は若者に人気のあるデトロイトのロイアルオークエリアへも乗り捨てサービスの展開を予定しているようです。

北米のカーシェアリング市場では、ユーザーの自由度を高めたサービスとして乗り捨てに注目が集まっており、Zipcarやcar2goらMaven以外の事業者も乗り捨てサービスを展開しています。ワンウェイライドはカーシェアにおいて、今後必須のサービスになっていくかもしれません。

トヨタによるUberやGetaroudとの提携

シェアリングエコノミー参入で狙う「囲い込み」とは!?

トヨタは、米ライドシェアのUberや、米P2Pカーシェアの「Getaround」に戦略的出資を図るともに、モビリティ構造の変化に伴った協業を進めています。

現時点で発表されているライドシェアのUberとの協業は、トヨタファイナンシャルサービス株式会社 ( TFS ) がUberのドライバーに車両をリースし、ドライバーはUberで得た報酬から車両のリース料を支払っていくという仕組みの構築です。

この取り組みでは、車がないドライバーやUberで認められるような品質の車を所有できないドライバーがリースでトヨタの車を利用できます。Uberドライバーは一定年数を超えた車両は使用できないため、今後自動車の販売台数が減少していくという市場予想の中で、トヨタ側は出荷台数を安定的に確保できると予想されます。

一方Getaroundとの協業は、Uber同様ドライバーへの車両リースによる囲い込みはもちろん、スマートフォンアプリから車をコントロールするためのデバイス、スマートキーボックス(SKB)のプログラム実証も目的としています。これはトヨタがあらゆるモビリティサービスのプラットフォーマーとなるために、技術・機能の構築を促進する戦略の一環です。

トヨタとしてはGetaroundとの協業で開発してきたモビリティシステムを推進し、日本国内のレンタカーシステムの無人化などにも応用するものと予想されます。

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ホンダが東南アジアにおける二輪車シェアリング事業へ

ホンダが持つ東南アジア領域における圧倒的強み

二輪業界で販売台数世界首位のホンダは、東南アジア領域でも圧倒的なシェアを誇り、インドネシアやベトナムにおけるシェアの割合は70%を超えます。

ところが、インドネシアでの2016年の販売台数は減少傾向にあった上、シェアリングエコノミーによる産業構造の変化がモビリティ業界に拡大しているため、ホンダは車両の所有からシェアに移行しつつある兆しをいち早く東南アジアでも察知し、シンガポールの「Grab(グラブ)」との協業を開始しました。

グラブはシンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンら東南アジアを主要マーケットに持つ、自動車やバイクなどモビリティのシェアリングプラットフォームで、東南アジアでのカーシェア・バイクシェアでは最大規模と言われています。

今後はホンダのテレマティクス技術を使った渋滞緩和や、環境性能の高い車種をグラブで採用する取り組みを進め、CO2排出量の削減など、モビリティにおける社会問題の解決を目指すとのこと。一方グラブは、ホンダとの協業で東南アジアの持続可能で効率的なモビリティサービスを提供していきたい考えです。

まとめ

シェアリングエコノミーが広がるにつれ、所有から共有への意識・志向の変化は加速していくでしょう。同じように必要とされるサービスも変わっていきます。モビリティサービスの大きな構造の変化の兆しを前に、世界の自動車・二輪メーカーは生き残りをかけた戦略を繰り広げています。

車両メーカーからモビリティ・プラットフォーマーとして次世代を担うのはどの企業なのか、まったく目が離せない状況がしばらく続きそうです。

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