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人口減少や高齢化の進む地方自治体において、限りある資源や人材を有効活用できるシェアリングエコノミーは、新たな共助の仕組みとして期待が寄せられています。

政府としても積極的に活用していくという姿勢を見せており、総務省は「シェアリングエコノミー活用推進事業」として、地方公共団体のモデル事業を支援する取り組みを明らかにしました。

この記事では、シェアリングエコノミー活用推進事業について詳しく解説するとともに、すでに始まっているモデル事業を紹介していきます。

目次

  1. シェアリングエコノミー活用推進事業とは
    ・実施方針について

    ・対象分野について
  2. 第1弾として長野県北相木村で始動
    ・長野県北相木村での事業概要
    ・NECの「シェアリングサービスプラットフォーム」とは
  3. 第2弾以降の今後の動きについて
  4. まとめ

1.シェアリングエコノミー活用推進事業とは

実施方針について

総務省は、シェアリングエコノミーの活用を通して、地域の社会課題の解決や地域経済の活性化を推進するための支援事業を発表しました。

参考資料によると、課題の解決に向けたシェアリングエコノミー活用の検討や開発と、そのシェアリングエコノミーを活用するにあたっての課題や方策の検討といったことが、実施方針として挙げられています。

近年、とくに地方においては、若者の減少や地域のつながりの希薄化によってさまざまな課題が浮き彫りとなっています。今後も少子化はますます進むことが予想され、解決への糸口は見えていません。

そこで着目したのが、人やモノなどの資源を有効活用できるシェアリングエコノミーです。スマートフォンやソーシャルメディアの普及によって個人の情報発信力が向上したことや、個人間が結びつきやすくなったことが後押しとなり、シェアリングエコノミーを活用した新しい産業も生まれています。

シェアリングエコノミー活用推進事業では、地方公共団体が実施するモデル事業への取り組みを支援していく考えです。

対象分野について

シェアリングエコノミーとひと口に言っても、その目的やニーズによって事業分野はさまざまです。そこで、初年度は対象分野が以下の4つに絞られました。

・低未利用スペースの活用

・地域の足の確保

・子育てなど女性活躍支援

・地域人材の活用

これらは地方公共団体にアンケートを取り、シェアリングエコノミーに関心がある団体から寄せられた課題を踏まえて策定されたものです。具体的には、資産の活用や公共交通、社会福祉などが挙げられました。

例えば、一時的な活動場所が欲しい、地域の人材を活用したい、何かあったときに子育てを頼れる人が欲しい、などといった住民のニーズに対して、空き家や廃校などの遊休スペースの提供や、主婦の隙間時間や保持スキルの活用、使っていないモノの貸し借りをする、といったイメージです。

モデル事業においては、地域住民へのニーズ調査や、シェアリングエコノミー以外の行政サービスとの比較、そして実際に取り組んだ事業の成果分析を行うことなどが求められます。

 

2.第1弾として長野県北相木村で始動

長野県北相木村での事業概要

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http://vill.kitaaiki.nagano.jp/fs/1/1/6/4/4/_/_____________.pdf

このシェアリングエコノミー活用推進事業の第1弾として、長野県北相木村による遊休施設のシェアリングサービスが採択されました。

北相木村では、かつてダム建設の際に事業所や宿泊施設として使っていた建物が低未利用スペースとなっていました。そこでこの施設をシェアリングサービスで提供し、コワーキングスペースとして使うほか、企業や大学などの研修や合宿、サテライトオフィスとしてなど、幅広い利用を想定しています。1階の広間はプロジェクターやホワイトボードも完備しており、2階は個室感覚で使えるような部屋配置となっていて、サイトに会員登録することで予約をすることができます。すでに複数の企業が利用しているということです。

実証期間は平成30年10月1日から12月20日。NECの「シェアリングサービスプラットフォーム」を活用しています。

北相木村は長野県の山あいに位置する集落で、高齢化率は約40%に上ります。移住体験や林業体験も随時行っており、今回のシェアリングサービス事業を行うことで、村の活性化や移住者の拡大を目指しています。

NECの「シェアリングサービスプラットフォーム」とは

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https://jpn.nec.com/sharing/index.html

いくら遊休施設などの資源があっても、シェアリングサービスを行うプラットフォームを構築するのは簡単なことではありません。シェアリングエコノミーのサービスを運営するには、スマートフォンにも対応したサイトの作成や会員情報の管理など、専門的な知識も必要になります。

そこでNECが販売しているのが、企業や自治体がシェアリングサービスを円滑に実施できるソリューション「シェアリングサービスプラットフォーム」です。これは会員管理機能やシェアリング管理機能といった必要な機能が搭載されているプラットフォーム運営支援サービスで、自治体や小売業、鉄道会社などさまざまな業種でのシェアリングサービスに対応が可能です。

スマートフォンのGPSを用いた検索機能やポイントなどの会員向けサービス、複数のシェアリングサービスの運営も展開することができ、会員情報のセキュリティもしっかりと確保。IoTやAI連携ができるオプションでは、サービスの需要予測や人材のマッチングなどの高度な機能も利用できます。

 

3.第2弾以降の今後の動きについて

総務省では、平成30年度の「シェアリングエコノミー活用推進事業」として、北相木村のほかに14の地方公共団体を採択しました。今後は平成30年12月頃に中間報告書の提出、平成31年2月頃に成果報告書の提出を予定しています

青森県弘前市では高齢者等の自宅玄関の除雪作業や、宮城県気仙沼市では観光地を周遊するためのカーシェアの実施など、その地域特有の課題を解決する取り組みが採択されました。

長崎県島原市では、子育てが落ち着いた世代の住民を活用した子育て支援や、空いた時間にスキルを使った仕事ができるような人材活用で採択されています。島原市ではシェアリングシティ構想にも取り組んで地域資源の活用を行なっており、シェアリングエコノミーに積極的な姿勢が見て取れます。

関連記事:

地方自治体にも広がる、シェアリングエコノミー活用の動きと導入事例

 

4.まとめ

政府はシェアリングエコノミーを積極的に活用することで、地域の活性化や課題の解決に大きな期待を寄せています。

その一方で、シェアリングエコノミー自体が地元住民にあまり認知されていなかったり、利用者が安全面や使い勝手に不安を感じたりといった、新たな問題も浮上しています。社会的な課題を解決するためには、一時的な盛り上がりで終わらずに継続して取り組んでいくことも必要不可欠であり、今後も政府や各自治体の取り組みに注目です。

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