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ライドシェアの旗手Uberが現在東京を中心に展開している主なサービスは、スマホで連携企業のタクシーやハイヤーを配車できる、UberTAXIやUberTAXILUX、UberBLACKと呼ばれるものです。

一方、世界ではUber X やUber POOL といった自家用車を第三者とシェアする目的で配車するサービスも普及しています。ただ日本でも世界でも法規制のために、このサービスに関して議論が巻き起こっています。

今回はUber X やUber POOLのようなサービスが、国内で白タク行為であるとされる現状を解説していきます。

※ 編集部注:2017年2月3日に加筆修正しました。

目次

1.拡大するライドシェアに対してストップの声

2.そもそも「白タク」とは

3.Uber X のポテンシャル

4.まとめ

1.拡大するライドシェアに対してストップの声

規制緩和も検討か?現在の法規制

Judges wooden gavel, ambient light vivid theme

2015年Uberが福岡で行ったライドシェアサービスの検証ですが、期間中に国土交通省から行政指導が下され、中止になりました。国土交通省によると、現行の道路運送法において、営業許可のない自家用車で配送サービスを行うことは「白タク行為」にあたり違法とされています。

当初、福岡での検証は運賃が無料と申請されていたため許可がおりていましたが、のちにUber側からデータ提供料として報酬が支払われるとわかり、道路運送法に触れていると判断されました。

その他、大阪では主に若者の間で人気となっている「リムジンパーティー」に対し、リムジンで周遊する行為は「白タク行為」にあたるということで、大阪府警が運行業者を道路運送法違反などの容疑で摘発しました。摘発を受けたのは関西のリムジン業界では最大手である絆コーポレーション。同業者たちの間では、同社が行っていたいわゆる「白タク行為」は当たり前におこなわれていることから、この摘発は業界全体に警鐘をならしたことになります。

また、現在のリムジン業界では、緑ナンバー車で義務付けられているような頻繁な定期点検や車検が行われておらず、安全面などで不安視する部分もあり、同様の課題を抱えているであろうライドシェア業界に対しては、今後厳しいまなざしが向けられそうです。

 

信頼できる? 心配される安全性

一般のタクシードライバーとライドシェアのドライバーには下記の違いがあります。まずタクシードライバーは二種免許という商業活動用の自動車免許を取って就業しています。一方ライドシェアのドライバーは一種免許という一般のドライバーの運転免許で登録が可能です。

さらに過剰労働を防ぐための時間管理や飲酒の確認など、乗客の安全に関わる管理を、タクシードライバーは会社が行いますが、ライドシェアドライバーは本人に任されています。

また事故時の対応でも、タクシーは事業用の自動車保険に加入していますが、ライドシェアでは事故があったときの保障面にはライドシェア会社は介在することはなく、保険はドライバーが選んだもの次第で、保険に入っていてもライドシェアをしていた車両となると、契約内容などによって補填されないことも考えられます。

こういった信頼や安全性を確保すべく、Uberがドライバーを関する情報を監視、管理するためのアプリを新たに導入しようとしています。現在はアメリカの一部地域でテストを行っている段階ですが、スマートフォンのGPS機能やジャイロスコープ等のデータを元に、運転速度や急ブレーキなどの警告を出したりすることで、ドライバーの安全運転をサポートすることが可能です。

 

タクシー業界からの猛反発

タクシー業界は2014年の国土交通省による規制強化で、都市部を中心にタクシーの車両数と業界への新規参入を制限し、乗車料金を一定に維持していました。

しかし2015年10月に安倍政権が、国家戦略特区でライドシェアの解禁発言をしたことをうけて、楽天の三木谷社長が理事の新済連盟は、シェアリングエコノミー活性化の具体案を発表し、その中でライドシェアについての規制緩和も政府規制改革会議に働きかけています。

行政はこのような動きを見せているものの、すでにアメリカや欧州では、タクシー運転手による反ライドシェアのデモがタクシー業界では起きており、日本でもタクシー業界からはライドシェアサービスについて「何の責任をとる用意もなく、ただ素人ドライバーのマッチングだけをして儲けることは許されるのか」といった声が挙がっています。また楽天はライドシェアのLyftに3億ドル出資していることもあり、利己的な理由で規制緩和を推進しているといった外部の反発もあります。

また、フランスでも日本と同様にカーシェア・ライドシェアに対するタクシー業界からの反対の声が多く挙がっています。フランスでは日本では展開されていない「Uber POP」というサービスがあり、このサービスに対するタクシー業界の反発が非常に強くなっていきました。

その1つとして、2016年1月、フランスのタクシー運転手約2800人が自動車を横転させ焼くといった過激な行為を行ったことにはじまり、その後もデモが起こる中、タクシードライバーの代表者が「Uberのドライバーは税金を払い、ルールを順守しているドライバーたちの生活を壊している」と訴えていました。フランスではタクシードライバーになるための条件や手段等、非常に高いハードルが設けられている実情があるため、Uberドライバーに対する批判はより一層強いものとなっています。

ライドシェアを違法とする海外事例

Uberは2013年に台湾に進出をしましたが、運送業としての認可を得なかったために交通部(交通省)に「違法行為」として取り締まりを受けてきました。そういった中、公路法の改正があり、「Uber」などの白タクに対する罰則が強化されました。罰則の内容としては、初回に10万元の罰金や免許の停止などの罰則が科せられ、計6回以上、または半年間に3回以上の違反が確認された場合、罰金額が2500万元に上る非常に厳しいものです。

罰則の強化に伴い、1日4~5時間程度で毎月4万~5万元(約15万~18万円)の収入を得ていた多くのUberドライバーがサービス提供を停止せざるを得ない状況となっています。そういった中でも法改正に不満を持つ一部のUberドライバーが、Uberへの支持をアピールすべく、無料乗車などの計画を行っています。

 

2.そもそも「白タク」とは

全国ハイヤー・タクシー連合会で緊急決議

Taxi car on the street at night

そもそも白タク行為とは、営業許可を受けず自家用車でタクシー業務を行うことを言います。タクシーは事業用車両なので、ナンバープレートが緑であるのに対し、自家用車は白であることから、このように呼ばれるようになりました。

安倍政権の意向や、ライドシェアの合法化に向けて規制緩和を促す働かけを受けて、2015年全国ハイヤー・タクシー連合会は通常総会で、ライドシェアはマイカーを利用した白タク行為とみなしていくこと、公共交通機関として国民の安全を遵守し、2002年の規制緩和によってドライバーの賃金低下など労働環境が悪化したことから、2014年改正されたタクシー特措法の意義に基づき、タクシー業界の秩序を守っていくことなどの緊急決議をしました。

タクシー業界は規制を設けて、白タクを排除することで、ドライバーの運行技術や安全性、信頼性を保持してきました。

 

3.Uber X のポテンシャル

莫大な影響力を秘める素人ドライバーマッチングサービス

Colorful sunset outside. Blue clouds and many sun rays

Uberがアメリカを中心に展開している、スマホで素人ドライバーと乗客のマッチングを援助するサービスUber Xは、現在東京でUberが提供している、Uberを経由したタクシーやハイヤーの配車とは別物です。さらに先述のUber POOL は、乗り合いで利用するUber Xのことです。

Uber X のような、素人ドライバーのマッチングサービスが日本で実現するようになると、地方の人口減少により公共交通機関の確保が難しくなった市町村では、住民にとって買い物や通院など日常を支える移動手段となり、新たな収入を得る場にもなり得ると言われています。また交通手段がないために、これまでたどり着くのが難しかったような場所も観光スポットになる、というような利用方法も期待されています。

都市部では、短距離を低価格で利用したいという要望や、2020年に開催される東京オリンピックに備えて、一時的な移動手段の需要増加に柔軟に供できるライドシェアの整備が適しているそうです。また、時間帯なども個人の都合で働けるため、新しい働き方になるとも言われています。

しかし規制の緩和が行われ道路運送法が改正されない限り、Uber X のようなライドシェアは違法行為扱いのままになってしまいます。実際に事故が起きてトラブルになるケースが報じられる一方、各国の自治体のなかには法整備を進めているところもあります。

利用者にとって安全で信頼できるサービスであるか、まだまだ定かではありません。とはいえ、信頼性や安全性の面では、ユーザーのレイティングで低評価のドライバーは排除されるシステムの導入、使用できる自家用車の規定や、ドライバーの労働時間、事故の補填や事故後の対応などをライドシェア企業が管理していくことで改善できるとも考えられています。

シェアリングエコノミーのコンセプトである、分け合う・支え合うという考え方に基づいて、利用者側に立つサービスでありつづけるのなら、その将来性は計り知れないでしょう。

日本における乗り合いサービス「notteco」

ライドシェアの国内市場を牽引している株式会社nottecoが提供するオンラインライドシェアサービスのnottecoは自動車移動の際に相乗り相手を探すことができます。元の創業者が海外で体験したライドシェアサービスをきっかけに、mixiのコミュニティ上で相乗り相手をみつける仕組みをサービス化したことが始まりでした。nottecoを使うことのメリットとして、乗せる側は高速・ガソリン代のコスト軽減、乗る側も同様に移動コストの削減や移動中の融通が利くことが挙げられます。会員数は2万4000人と国内市場の規模は最も大きいサービスとして注目されており、今後さらなるユーザー数の増加や信頼度の向上に向けて事業を拡大していくでしょう。

notteco東代表の法改正への思いを(法の範囲で実績を作って法律を変えていく

nottecoの東代表が抱えているライドシェアに関わる法律の改正に対する思いとして、「法律で問題ない範囲の内できちんと実績を作っていくことで、法律を変えていくしかない」とおっしゃっています。ライドシェアを展開する中で直面する白タク問題についても、現状法律の中で行っているため、問題ない認識であるものの、より事業を拡大していくにあたっての課題をクリアするには、今の法律内で実績を作り、法律を変えていく必要があります。

 

4.まとめ

ライドシェアという新しいサービスの誕生によって、タクシー業界だけでなく、投資家、交通機関の省庁やメディアが、法的な扱いやサービスの信頼性・安全性を問い、市民の注目を集めています。

ライドシェアの米UberやLyftとは異なり、今カーシェアのプラットフォームサービスに力を入れ始めているのが、日本を含めた世界の車両メーカーです。ダイムラーはP2Pのカーシェアプラットフォーム「CROOVE(クルーブ)」をリリースし、個人が所有する車を使っていないときに使いたい方に貸し出すサービスを展開したり、GM(General Motors)は、ワンウェイサービス(片道のみの利用で借りた場所に車を戻さなくてよい)のカーシェアリング「Maven(メイブン)」をスタートしました。

その他にもトヨタがUberやP2Pカーシェアの「Getaround」に出資をしたり、二輪業界における販売台数世界首位のホンダが東南アジアにおけるカーシェア・バイクシェアの最大規模である「Grab(グラブ)」と協業を開始しています。世界の自動車メーカーもシェアリングエコノミーの広がりに合わせて、様々な戦略、事業展開を行っていることがわかります。

ライドシェアの将来性は、規制の緩和といかに信頼性・安全性を築くかに掛かっていると言えます。今後、日本での自家用車相乗りサービスの動向に、注目していきましょう。

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