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近年、欧米ではUberやLyftを中心に、ライドシェアが普及しています。手軽で快適、安価であることが大きな理由。日本にもUberが進出しているほか、notteco(のってこ!)といった日本独自のサービスも誕生。今後、東京オリンピックを迎えるにあたって、外国人観光客のニーズも増加することが予想されており、注目が集まっています。

また、国家戦略特区改正法により、政府は地方ビジネスに注力しようとしており、今後ライドシェアを使って過疎地の交通網を補完するようなサービスが期待されています。一方、ライドシェアに関してはタクシー業界の猛反発が起こっており、その解決が今後の鍵となります。
本記事では、今まさに注目の真っただ中にあるライドシェアについて紐解いていきます。

※編集部注:2017年1月31日に加筆修正しました。

目次

1. ライドシェアとは?

2. ライドシェアにおけるトラブルや対処法

3. ライドシェアに関する国内の法律や国家戦略

4. まとめ

1.ライドシェアとは?

基本は、他人同士で「相乗り」すること

アメリカを中心に、交通手段のひとつとして発展を見せているライドシェア。分かりやすくいうと、「相乗りのこと。どこかへ行くときに、ガソリン代や高速代を割り勘にし、友達同士で相乗りするのは一般的だと思いますが、この流れを他人同士で行うシステムこそ、ライドシェアの醍醐味です。世界的なライドシェアのサービスにはUberやLyftが挙げられます。上記2社では、登録しているドライバーが自家用車を使って、同乗希望者を送迎する仕組みとなっています。

Uber:海外事例から学ぶ、ライドシェアサービスの基本

Uber

上記写真はUber Japanホームページから

2009年にサンフランシスコで生まれたUberは、今や世界60か国300都市以上で利用される巨大サービスに成長。スマホなどを活用し、移動ニーズのある利用者とドライバーをマッチングさせています。

Uber

各地域のタクシー・ハイヤー会社に加えて、個人ドライバーとも提携しており、利用者はスマホから配車依頼をすることができます。都市によって違いもありますが、移動の目的や人数に合わせて、ユーザーはUberX(エコカー)、UberTAXI(タクシー)、UberBLACK(ハイヤー)、UberSUV(ミニバン)などからサービスを選べます。
また、決済方法も従来のタクシーとは異なっています。「事前に登録したクレジットカードからの運賃の電子決済」、「同乗者との割り勘決済」といった選択肢のなかから行われ、基本的にキャッシュレスです。

日本にも進出しているUber、欧米の大都市よりも2~3倍の需要が

Uberは日本にも既に進出しています。日本では、タクシー・ハイヤー会社と提携してこのサービスを展開しており、タクシー事業者ではなく旅行業者としての許可を得ています。つまり、旅行業者が一般乗用旅客自動車運送事業者と提携する形で展開しているため、タクシー規制は回避しているのです。

日本で正式にハイヤーとタクシーの配車サービスを開始したのは2014年。サービスを開始すると、欧米の大都市にくらべて日本では2〜3倍の需要が見受けられ、とくに東京では高品質なサービスへの感度が高かったとUber Japan執行役員の高橋氏は語っています。

同サービスは、乗車した著名人や多くのユーザーの口コミにより即座にその名が広まりました。多言語対応もしているので、2020年の東京オリンピック時にも活発化が期待されます。

日本におけるライドシェアサービス

一方日本発のライドシェアサービスでは「notteco」があります。2008年に開始したnottecoは、中長距離移動をターゲットとしたライドシェアです。

中距離の自動車移動をターゲットにしているので、タクシーが競合となるUberと異なり、どちらかというと長距離バス寄りの市場なのだと、notteco代表の東氏は語っています

これまでのBtoBでは提供できなかった値段の安さや、乗る側と乗せる側の密なつながりに加え、バスが運行しないようなエリアのニッチな需要にこたえるべく、ユーザー数の拡大に取り組んでいます。

また国内では楽天が、中東最大の通信事業者Saudi Telecom Company(STC)などとともに、中東や北アフリカ諸国を中心に47都市11カ国にライドシェアを拡大中のCareemに3億5,000万ドルの投資を行いました。Careemはこの資金調達は一部にすぎず、全体では5億ドルになると発表しています。

2.ライドシェアにおけるトラブルや対処法

Trouble

ウーバライゼーションという新たな課題

ライドシェアの旗手Uberがその語源となったウーバライゼーション(ウーバー症候群)は、インターネットテクノロジーを利用した新サービスの参入で、既存の業界構造の存続が危ぶまれる状態を言います。
ウーバライゼーションがもっとも顕著に現れているのが現在はタクシー業界ですが、これはカーシェア・ライドシェアに限ったことではなく、シェアリングエコノミーが普及していく中で、新しいビジネスモデルが既存業界を侵食するという構図は今後どの業界にも起こりうると予想されています。

白タク問題

日本でライドシェアリングサービスを行うには、合法・違法の論争があります。一般人が一般車両を使って第三者を乗せ、報酬を得る「白タク」と呼ばれる違法行為に該当するのでは、との解釈があるからです。

2015年2月には、Uberが福岡市で始めたライドシェアの検証実験に対し、国土交通省が道路運送法に違反するおそれがあるとして、ただちに中止するよう指導した事例があります。つまり、その検証実験は国から白タク行為に当たると判断されたのです。

一方で、シェアリングエコノミーの法規制を緩和する動きもあります。楽天の三木谷浩史氏が理事である新経済連盟が、新しい経済成長の施策のひとつにシェアリングエコノミーを掲げ、自民党の規制改革推進委員会や経済好循環実現委員会、さらに政府の規制改革会議などに対し、法的環境整備を働きかけています。新経済連盟が見せるような動きは、ライドシェアをふくめたシェアリングエコノミーの将来性や潜在需要の期待を表しています。

そもそも白タク行為とは、営業許可を受けず自家用車でタクシー業務を行うことを指しています。タクシーは事業用車両なのでナンバープレートが緑であるのに対し、自家用車は白であることから、このように呼ばれるようになりました。

タクシードライバーは二種免許という商業活動用の自動車免許を取って営業しており、安全性について十分な知識と経験を証明されていますが、ライドシェアのドライバーは自家用車運転のための一種免許で登録できるので、安全性が担保されないというのがタクシー業界の主張です。

一方Uber Japanの高橋氏はこれに対し、「白タクは運転手の素性が不明で、料金も不透明な営業形態で、何かあっても連絡先がわからない。きちんとした保険に入っているかも不明で、大変危険なもの。一方でUberは、ドライバーのバックグラウンド・チェックや評価システムが存在し、リアルタイムで走行データを記録しています。過去に問題があるドライバーは参加できませんし、ユーザーは事前にドライバーを知り、評価が低いときは乗車をやめることもできます。リアルタイムで運行を管理しているので、万が一の事故やクレームにも対応でき、保険も完備しています。」とコメントをしています。

世界のライドシェアに関する法整備、普及状況まとめ

下記に、先を行く世界の流れをまとめてみました。世界中の国、自治体でライドシェアへの対応が進んでいます。

世界のライドシェア(2016年4月調べ)

アメリカ

州を含む60以上の自治体で、ライドシェアを安全に運行するための法律や条例が制定。法律の主旨は、安全性の担保、保険の適用、適正な競争環境の確保。

メキシコシティ(メキシコ)

2015年7月、市民・政府間の議論を経て、ライドシェアを運行するための法律的な枠組みが制定。

プエブラ(メキシコ)

2015年8月、「エグゼクティブ・サービス」という名のもと、ライドシェアを可能にする法律が制定。

フィリピン

2015年5月、政府が掲げる長期的な交通課題解決の一環として、世界で初めて国レベルでライドシェアが正式認可。

キャンベラ(オーストラリア)

2015年9月、世界で初めてUberサービス開始前に、ライドシェアに特化した規制が成立。

参考:Uber Newsroom 「世界に広がるライドシェア

国内外のライドシェアサービス企業による、安全対策まとめ

あくまで一例ですが、各企業でどういったことに配慮してサービスが展開されているのかまとめてみました。

企業のライドシェア安全対策

notteco (のってこ!)の安全対策

  • 本人確認書類の提出
  • 携帯電話番号・メールアドレス認証プロセス
  • ソーシャルメディアとの連携
  • レビュー・評価機能(会員間で5段階評価)
  • 年齢制限(登録時に18以上であることを確認)
  • 会員の監視(トラブル、評価が著しく低いユーザーについて、利用停止措置)
06_uber-logo

Uberの安全対策

  • キャッシュレス決済
  • 迅速な対応 (トラブル発生時、解決までドライバーの利用停止処理が可能)
  • 電話番号の匿名化
  • 流し営業禁止 (夜間に外で空車待ちをする必要をなくす)
  • 有効期限切れ免許証や車検証の場合、自動的に利用停止

3. ライドシェアに関する国内の法律や国家戦略

政府は2016年3月2日、国家戦略特別区域諮問会議を開催し、訪日外国人観光客などの受け入れに関する規制改革案を提示しました。そのひとつが、過疎地での観光客に対する自家用車を使った有償運送サービスの制度拡充です。

具体的には訪日外国人観光客を地方に呼び込むため、特区の認定を受けた区域では有償でのサービス提供を認める、つまりライドシェアのビジネスを認めるといった趣旨が改革案に盛り込まれています。計画策定にあたって、市町村や他のバス・タクシー事業者と事前協議の実施が必要となり、運転者は2種免許保持者や大臣認定講習の受講者などに定めるとしています。これらは、「白タク」行為を禁じている道路運送法に抵触しないためのものといえます。

訪日外国人観光客数について日本政府は、東京オリンピックが開催される2020年までに訪日外国人の数を年間2000万人、2030年までに年間3000万人とする成長戦略をまとめています。この急増する海外からの旅行者への対応として、注目が集まっているのがシェアリングエコノミーです。

しかしシェアリングエコノミーは、インターネット技術の進化に伴って実現可能になったこともあり、日本の既存法では対応しきれないサービスであることがほとんど。そのため日本政府は国家戦略特別区の規制改正法案を提示し、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県)関西圏(大阪府、兵庫県、京都府)など、対象地域を指定しました。

一方Uber Japanの塩濱氏によると、2014年の時点で利用者の3割がすでに世界72都市で展開しているUberユーザーを含む外国人の方々なのだと言います。こういった海外からの観光客のニーズにライドシェアはうまくマッチしている現実が見えます。

また地方の観光地や過疎地でもライドシェアの活用が始まっています。京都府京丹後市丹後町では、市営オンデマンドバスを受託しているNPO法人が運行を担当する「ささえあい交通」がリリースしました。ITシステムはUberが提供しています。

地方の過疎地では人口減少から公共交通が赤字で廃止、または運行数の極端な削減にいたるケースが頻出しています。さらに高齢化により自家用車の運転を諦めなくてはいけない状況が増え、住民の快適な日常生活が脅かされています。

都市部では、タクシーとライドシェアの競合で業界間の軋轢が問題になっていますが、サービスが撤退していく過疎地であれば、同様ではありません。政府、行政、サービス事業者はこの丹波町での事例に大きな期待を寄せています。

4. まとめ

2016年11月のAirbnb発表によると、同社の2015年に日本でAirbnbを利用した海外からの旅行者数は約130万人だったところ、2016年は発表時点ですでに300万人を超え、伸び率は230%を記録したようです。

一方でライドシェアは巨大ユニコーン企業であるUberに加え、Lyftの時価総額は55億円と言われています。2012年の創業から数年でここにいたっていることから、その成長率はUberをしのぐという見方もあるほどです。

日本に先駆けて、海外では既にライドシェアサービスが急成長しています。サービスに登録しているドライバーとユーザー双方にメリットの大きいライドシェアは、日本でも安全性が確かめられれば、今後ますます拡大していくでしょう。また、国家戦略特区でのライドシェアも、地域との協力・連携が可能になれば活発化すると予測できます。

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