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新しい経済形態として注目が集まるシェアリングエコノミーですが、徐々にサービスが多様化し、広く普及しはじめています。

民泊業界の最大手であり、シェアリングエコノミーの旗手でもあるAirbnbは、2016年11月に旅行体験型の新サービス「Trips(日本での表示は旅行)」をリリースしました。

世界にシェアリングエコノミー市場を広げるAirbnbが、宿泊先のプラットフォームだけでなく、旅先での過ごし方を探す機能、現地の楽しみ方・体験ツアーのプラットフォームを追加したことに、注目が集まっています。

目次

  1. シェアリングエコノミーを牽引する「Airbnb」
  2. 「Trips」が世界12都市で500の体験ツアーを提供
  3. まとめ

シェアリングエコノミーを牽引する「Airbnb」

Airbnbはサンフランシスコで誕生したシェアリングエコノミーのサービスで、同じくサンフランシスコ発のUberに続いて、巨額の資金調達を続けるユニコーン企業です。2016年時点でAirbnbの評価額は300億ドルとも言われています。

そもそも「Airbnb」のサービスって?

Airbnbが提供するシェアリングエコノミーは日本では民泊と呼ばれ、不動産の空き物件や空き部屋を、インターネット上で貸し借りするサービスです。2008年の設立され、現在はあらゆる価格帯の宿泊先を世界191カ国3万4,000以上の都市で探せるプラットフォームにまで成長を遂げました。

Airbnbによって、ホテルや旅館以外の宿泊先が簡単に予約・利用できるようになった一方、合法的な運営をするとサービスに制限があるなど、不都合な現実に直面しています。こういった状況を受けてAirbnbはニューヨークやサンフランシスコなどで、市を相手に制定された条例について訴訟を起こしています。

日本国内では、「国家戦略特区」で「外国人滞在施設経営事業」の認定があれば、旅館業法の影響を受けずに民泊営業が可能です。関東・関西エリアでは「東京都・神奈川県・千葉県成田市・大阪府・京都府・兵庫県」が国家戦略特区に認定されました。

ところが外国人滞在施設経営事業の認定要件は、7~10日の利用に限るなど現実的に見ると厳しい上に、実際に条例を定めたのがこれまでのところ大阪府と東京都大田区だけにとどまるため、法整備が進んでいるとは言いがたい状況です。北九州市などは条例制定を検討していますが、全体的には慎重な対応を取っている自治体が多いようです。

「Trips」が世界12都市で500の体験ツアーを提供

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https://www.airbnb.jp/

2016年11月にリリースされたTripsは、現地ならではの体験ツアーを手配できるAirbnbの新サービスです。これにより宿泊場所だけでなく旅先でのツアーもAirbnbで手配できるようになりました。

Tripsが追加されたことで、インターフェイスは「Homes(お家)」「Experiences(体験)」「Places(スポット)」のカテゴリに分けられ、宿泊先、体験したいことと、行ってみたい場所×都市の組み合わせで検索します。(記事執筆時点では、「Places(スポット)」機能は日本で未公開です。)

世界12都市でおよそ500種類のツアー体験がラインナップされていて、今後さらに都市は追加される予定と発表しています。

海外で注目の体験ツアー

まず、アメリカのデトロイトではプロの音楽プロデューサーとスタジオでレコーディングできるツアーがあります。デトロイトといえば、ダンスミュージックのレジェンドやDJを数多く輩出したことでも有名。ラジオDJとしても活躍するホストが、VIP待遇でパーティを案内します。

ロンドンでは、人気のローカルフードやエスニックフードを食す、市場めぐりのツアーが人気。すでに多くのレビューが寄せられています。またパリでは、自転車シェアリングを利用したサイクリングとピクニックのツアーが、知られざるパリを体験できると好評のようです。

ほかにもハバナで本場のサルサレッスンを受けたり、ナイロビの大自然の中で写真のワークショップを体験したり、さまざまなツアーが登録されています。

国内で注目の体験ツアー

日本では、ミシュランの星を獲得した蕎麦屋でのディナーの翌日に、日本の伝統的な器の修繕手法「金継ぎ」を、一流の職人に教えてもらう貴重な体験ができるツアーがあります。

また日本のボードゲーム「囲碁」を学べるワークショップや、有名企業のロゴを手がける書道家に習う書道体験、香の作法やいけばなのワークショップなど、さまざまな日本文化を体験できるツアーがラインナップされています。

さらに、TripsのPVではプロの振り付け師による殺陣(たて)のワークショップが取り上げられています。多様で独自性の強い日本の文化は、Tripsのような体験ツアー型サービスを通して、外国人旅行者に強く訴求できる可能性を秘めています。

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まとめ

Airbnbでは将来的にフライトの手配も手がけると発表していることから、旅行にまつわるあらゆるサービスの事業展開を検討しているかもしれません。

法規制や既存の業界との対立構図が各国で生じているものの、最終的にはユーザーに支持されるサービスを提供できるかが、今後の展開の鍵となりそうです。

シェアリングエコノミーの未来は、ユーザーの求める安全性・信頼性がどのようなかたちで担保されるのか、プラットフォーム事業者はどこまで取り扱う対象に責任を持つべきなのかが焦点になると考えられています。

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