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日本国内でも拡大するシェアリングエコノミー市場。今後も多様な業種において、リプレースまたは共存しながら成長することが予想されます。消費社会の発達した日本、特に現在のシニア世代への浸透には時間を要することが考えられますが、民泊をきっかけに幅広い世代へ普及する可能性は大いにあり、地方活性化にも新たな可能性を投じています。

シェアリングエコノミーの浸透でフリーランスという働き方が一般的になる一方で、社会保障など国によるセーフティーネットの早期構築も重要視されています。

目次

  1. シェアリングエコノミーが変えていく働き方とは
  • シェアリングエコノミーが示唆する未来
  • 日本における固有の問題
  1. プラットフォームの普及でフリーランスが増加?
  • リモートワークが定着する可能性
  • 地方でも変わる働き方
  1. セーフティーネット構築の重要性
  2. まとめ

1.シェアリングエコノミーが変えていく働き方とは

シェアリングエコノミーが示唆する未来

2016年度の日本国内におけるシェアリングエコノミーの市場規模は前年度比26,6%増の503億4,000万円となった。2016年1月にはシェアリングエコノミー協会が設立、その活動によりシェアリングエコノミーの認知度が高まり新規事業者の市場参入を促進、また旅館業方施行令の一部緩和、民泊新法成立は民泊市場への参入事業者増加に影響したと推測されます。

矢野経済研究所の調査では、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックで訪日外国人観光客によるシェアリングエコノミーのサービス利用はさらに増加、2021年度には1,070億9,000万円に達すると予測しています。

現状では規模は小さいですが、多様な業種、サービスをリプレースまたは共存しながら今後もシェアリングサービスは成長すると考えられます。カーシェアリングや民泊サービスの普及は自動車業界、ホテル旅館業界のサービスをリプレース、ライドシェア企業のタクシー配車サービスのように既存業界との共存を模索する動きも見られます。

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日本における固有の問題

シェアリングエコノミーの特徴として提供するサービスやモノのクオリティが一定していない場合が多くあります。完璧で均一なクオリティを前提とする日本で、そのことは中国などの他の国と比較してシェアリングエコノミーが浸透しづらい理由の一つでしょう。また日本は消費社会が発達し、所有型の消費に慣れています。例えば「車」は両親世代、祖父母世代でも所有するモノという概念があります。こういった確立された消費パターンに慣れている日本の場合、行動を変えるには時間が必要です。シェアリングエコノミーへ移行する動機付けやメリットとして考えられるのはバラエティや選択肢が増えることです。ドアツードアでの移動も可能なライドシェアサービスは高齢者や交通手段が限られる地方での需要が高まるでしょう。

またどの国でも年齢が高くなるとシェアリングエコノミーを使い始めるのに時間はかかりますが、「知っている人が使っているサービスは信用できる」と考える人々が多いのも確かです。年齢が高い世代の旅行ではリゾート型の豪華なホテルに泊まることが多いですが、米国ではこれも徐々に変わり、シェアリングエコノミー利用者で一番増えているのは55歳以上のユーザー層です。日本のシニア層にシェアリングエコノミーが広がるのも時間の問題だと考えられます。

2020年のオリンピック開催をきっかけに国内でシェアリングサービスは急成長し、消費や働き方にも変化をもたらすでしょう。

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2.プラットフォームの普及でフリーランスが増加?

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リモートワークが定着する可能性

シェアリングエコノミーが浸透することで、リモートワークや在宅勤務という働き方もより受け入れられやすくなる可能性があります。必要なときに必要なスキルを持つ人と企業をつなぐクラウドソーシングを提供するプラットフォームはリモートワークの根本となる働き方です。日本においては「ランサーズ」や「クラウドワークス」がクラウドソーシングの二大プラットフォームとされています。

米国のある企業では正規のスタッフとリモートで働くフリーランスを使った場合、どちらの方がコストを少なくできるかをワークフローに基づいて出す新しいシステムを使い、フリーランスの労働力を効率よく使えるようになった事例もあります。

同じ時間に同じ場所で仕事をする従来の働き方ではなく、それぞれの拠点にいるリモートワーカーで一つのプロジェクトを進める動きは急速に増えています。また、安定したインターネット環境、プリンターやミーティングスペースを備えたWeWorkのようなコワーキングスペースの活用で、リモートワークやフリーランスという働き方は今後ますます定着する可能性があります。

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地方でも変わる働き方

個人の持つスペースを貸して宿泊施設として観光客に提供する民泊や、空いている時間に自家用車を貸し出すカーシェアを活用すれば、専門的な知識やスキルを持つ人以外でも収入を得ることが可能になっています。

地方においては、人口減少や空洞化により空き家や休眠中の別荘が増加、空き家の有効利用による地方創生が求められています。こういった空き家を民泊に活用できれば、宿泊施設の少ない小さな町や地方にも観光客が足を運ぶきっかけとなります。

観光客の増加により周辺産業が活性化し、宿泊施設の清掃・メンテナンスといった新たな雇用も生まれます。また観光客向けのカーシェアやライドシェアなどのシェアリングエコノミーが広く普及するきっかけにもなるでしょう。民泊新法の設立が地方創生・雇用の創出の鍵を握っている可能性は大いにあります。

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3.セーフティーネット構築の重要性

フリーランスやシェアリングエコノミーで働く人が抱える深刻な不安として、社会保険や年金などのセーフティーネットが手薄なことが挙げられます。雇用関係のある従業員のセーフティーネットは企業が負担しているため、従業員は生活を守られていますが、フリーランスの場合、病気や怪我で働けなくなった場合の社会保障がありません。また、ローンやカード審査に通りづらいことや、賃貸住宅への入居時の審査も通りづらくなることもあります。子育て中の場合、フリーランサーは保育園に入る条件が厳しく、雇用保険の枠組みであれば支給される育児給付金も受給することができません。

今後の労働市場において、フリーランスという被雇用者以外の就労形態を選ぶ人が増える可能性が高まっています。こうした人材を活用し、雇用形態に限らず安心して働ける社会基盤の構築のためには、企業だけに頼らず、より積極的に社会保障などのセーフティーネット構築を早期に進めていくことが国に求められています。

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4.まとめ

シェアリングエコノミー市場の拡大や働き方改革に伴い、日本の労働環境の未来は大きく変わっていくことが予想されます。プラットフォームの拡大で生まれるこれまでの概念にとらわれない働き方、また地方においては地域活性化や雇用創出への新たなカギとなるかもしれません。その一方で、社会保障や年金制度など国によるセーフティーネットの構築が新しい時代に求められる重要かつ早期に取り組むべき課題となりそうです。

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