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この数年でマーケットを広げているシェアリングエコノミー。様々な資産を社会でシェアしていこうというコンセプトで、経済効果を期待できると同時に、人と人との交流を生み出す効果も合わせ持っています。そういった特徴を活かした街づくりが、世界中で活発になってきています。

また、日本でもシェアビジネスは成長を続けていて、シェアリングシティが各地に誕生しているのです。「共有」をベースにした「シェアリングシティ」とはどんなものなのか、事例から探っていきましょう。

※2017年5月26日、一部加筆修正しました。

■目次

  1. そもそもシェアリングエコノミーとは?
  2. シェアリングシティとは?
  3. 日本国内のシェアリングシティにまつわる動き
  4. 世界に学ぶシェアリングシティ
  5. まとめ

1. そもそもシェアリングエコノミーとは?

「シェアリングエコノミー」とは、眠っている様々な資産を社会で共有し活用していくという概念であり、それらを共有するために、インターネットやアプリがプラットフォームとして使われるという点も大きな特徴です。

具体的にどういったサービスがあるのか、シェアされる資財で大まかに4つのカテゴリーに分けることができます。

1.スペースのシェア

海外から瞬く間に人気が広がった民泊マッチングサービス「Airbnb」が代表的。空いている部屋・建物・土地を、空いてる時にだけ提供、必要な時にだけ使用できるスタイルが主流です。

2.モノのシェア

モノをシェアするシェアリングエコノミーには、洋服やおもちゃなどのフリマ、レンタルサービスが挙げられます。日本ではモノをCtoCで売買できるアプリ「メルカリ」が好調。ユーザーを増やしています。

3.リソースのシェア

リソースのシェアは、人がスキルや労働力を提供するサービス。海外では「TaskRabbit」といったマッチングサービスがあり、「人手が欲しい」と困った時に重宝されています。

4.移動のシェア

移動のシェアといえば、アメリカから世界中に広まったライドシェアサービス「Uber」が知られています。低コストで質の良いサービスがユーザーに受け入れられました。

シェアリングエコノミーの市場規模は年々拡大する傾向にあり、イギリスのPwCの調査によると2013年には約150億ドルでしたが、2025年には約3,350億ドルまで成長することが見込まれています。

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2. シェアリングシティとは?

シェアリングシティとは、都市やエリア単位で時間、スキル、所有物などの資産を共有するコミュニティのことです。シェアされる資産が街のインフラとなり、街の活性化に役立ちます。

知り合いや友達とシェアオフィス・シェアハウス、自動車の共有などは広く浸透し始めていますが、シェリングシティは、地域ぐるみでそのシェアの動きを推進します。個人の資産をより多くの不特定多数と共有し、地域内で不足しているサービスや資産を分けあい、地域の課題を解決する側面を持っています。

地域で不足している課題を個人のスキルや所有物で解決するシェアリングサービスは、所有者が生産者、サービス提供者となるため、副収入をえたり、雇用を創出したり、という経済効果も見込めます。自治体もわざわざ行政サービスを充実させるために施設を作ったり、人を採用したりする労力をかけることなく、地域課題を解決できます。

おとなりさんに醤油やお風呂を貸し借りしていた一昔前のムラ社会が、ITの力でより広い範囲で実現しようとしています。より多くの財産を共有し、より多様なサービスを提供できるようになると、追加のコストをほとんどかけずに、より豊かに暮らせるようになるのです。。

3. 日本国内のシェアリングシティにまつわる動き

シェアリングエコノミーを快適で暮らしやすい街づくりに導入しようという動きが、国内でもスタートしています。以下で各都市の取り組みをご紹介します。

・福岡市のシェアリングシティ構想

シェアリングシティの最前線とも言える福岡市では、街のインフラにシェアリングサービスを導入する「シェアリングシティ構想」が進められています。

スタートアップ企業の支援を積極的に行い、2015年2月には国内で初めて「Uber」のライドシェアサービス(みんなのUber)が試験的に導入されました(同年3月に行政指導が入ったため終了)。これは、ユーザーがスマホアプリを使って近くにいる一般ドライバーの車に無料で同乗させてもらい、ドライバー側には「実験データ提供料」などがUberから支払われる仕組みでした。

みんなのUberは継続的な利用には至りませんでしたが、そのほかのシェアリグエコノミーサービスも積極的に取り入れる姿勢を見せています。

・秋田県湯沢市

湯沢市では「Asmama」と協力し、子育てシェアリング事業を開始。顔見知り同士で子どもの送迎・託児といった子育て支援を行い市民の支援者(=リソース)を活用すると共に、子育てを地域ぐるみで支え、子育て世代が住みやすい都市作りを目指しています。Asmamaのサービスでは、知らない人とは繋がることはできず、知り合いベース、友人の招待主体のコミュニティの中で、子どもを預けられます。

お迎えに間に合わないとき、習い事の送迎や託児、病院や美容院等の付き添いなど私生活に密着した親の時間の有効活用ができ、同時に、新たな友人、ママ友、パパ友との交流の場を作ることができます。

人口減少が課題である秋田県湯沢市は、この取り組みを通じて、人口の流出を防ぐことを狙っています。

・千葉県千葉市

千葉市は、国内第2位の規模の展示施設・幕張メッセを有する街。競争が激化しているMICE誘致のためにも、街の魅力を高めたいと考え、レンタルスペースのシェアを提供する「スペースマーケット」と連携しました。特別感や魅力を演出できる歴史的建造物や、文化施設、特徴ある空間などの空きスペースの利用を促進し、宿泊、飲食、観光などの経済効果の波及を狙いとしています。同市に多く訪れる外国人客のために、会議・レセプション施設の利用促進を図っていくそうです。

・静岡県浜松市

浜松市は平成17年の市町村合併により、全国で2番目の広さを持つ市になりました。都市部から中山間地域までをエリアに含んでおり、その分多様な地域課題を抱えているといえます。

まずは中山間地域の活性化にシェアリグエコノミー活用しています。具体的には、地域住民との交流と様々な体験を提供する、現地集合現地解散の着地型日帰り観光体験サービスを提供する「TABICA」と連携し、浜松ならではの体験型旅行を発信中だそう。すでに佐久間町での蕎麦打ち体験、龍山村のコンニャクづくりなどのコンテンツがスタートしています。

また千葉県と同様に市内に多く存在する公共施設などを有効活用するために、スペースシェアサービス「スペースマーケット」も導入しています。

・佐賀県多久市

多久市では、インターネットを活用することによって、雇用の創出を目指しています。クラウドソーシングの「クラウドワークス」と連携し、仕事を求める市民に時間や場所にとらわれずに働くことができる、在宅ワークを推奨しています。そのためにNPO法人価値創造プラットフォームと連携し、市内に「ワーキングサポートセンター」を立ち上げ、研修やシェアリグエコノミーに関する講座を無料で開催しています。働きに出たいが家を出られない、好きな時間に得意なスキルを活かしたい住民を労働力として活用する、そしてそういった人たちにしっかりと収入を得てもらうことを目指しています。幅広い年齢層にクラウドソーシングの仕事を提供していく予定です。

行政単体ではなく、NPOとも協力しながらシェアリングエコノミーの活用を推進しています。

・長崎県島原市

島原市では25年前の雲仙普賢岳噴火以来観光客数が落ち込んでおり、その対策のために「株式会社島原観光ビューロ」という新しい会社が組織され、新しい観光のあり方を模索しているそうです。

その取組みのひとつとして「スペースマーケット」と連携して、島原城をまるごとシェアできるようにしています。実際に2017年3月には、島原城でコスプレイベント「島原コスプレの乱」が開催されました。

観光客の誘致のために、日帰り観光体験サービスを提供する「TABICA」とも連携を決定しています。同市には訪日旅行者も訪れており、そういった人たちに「市民がつくる体験型ツアー」を提供していくそうです。シェアリングエコノミーを活用し、行政だけでなく市民が積極的に参加することで、観光地としての魅力を高めようとしています。

4. 世界に学ぶシェアリングシティ

世界各地では、シェアリングエコノミーをどのように街づくりに活用しているのでしょうか。

・オランダ アムステルダム

オランダのアムステルダムでは、2015年に「アムステルダム・シェアリングシティ」を宣言し、数々のシェアサービスを推進しています。アムステルダムは、IT技術を取り入れて、生活インフラを効率化するスマート化に、行政と民間機関が連携して取り組んできました。世界で初めて「Airbnb」に対する規制を整えた街でもあります。既存の宿泊施設に配慮をした法整備により、ホテル業界から大きな反発を受けることなく民泊のシェアを普及させました。

また、「share NL」という民間機関が積極的に情報発信しており、企業や政府、研究機関などと連携してシェアビジネスを進めています。その活動の一例が「Stadspas」という低所得者・高齢者向けシティーパスの発行。これは自治体と協力し、イベントやスポーツ施設、公共交通などのシェアサービスを対象者が割引で受けられるようにしたものです。

また、「Peerby」というサービスもShareNLとアムステルダム・シェアリングシティ・プロジェクトが共同で運営しています。ギターやはしごなどの普段頻繁に使わないものをシェアできる、シンプルなシェアリングサービスです。

ほかにもオランダ発企業のシェアリングエコノミーが活用されています。コーワーキングスペースのプラットフォーム「Seats2meet」、P2Pの自転車配達サービス「Tring Tring」などがその代表例です。

・韓国 ソウル

人口1,000万人を超える大都市のソウルは、アジアにおけるはシェアリングエコノミーの最先端都市に挙げられるでしょう。2011年に現市長のパク・ウォンスン氏が就任し、経済の低迷を打破すべくシェアリングエコノミーに着目。2012年には「シェアリングシティ(共有都市)・ソウル推進計画」を発表し、「ソウル特別市共有促進条例」を制定しています。これは行政主導でシェアリングエコノミーサービスが発展する基盤を整える、シェアリグエコノミーサービスの浸透を支援することを目指す条例です。実際にシェアリグエコノミーサービスを運営するのは民間で、行政はシェアリングシティを促進し、地域や企業の活動を支援する立場をとっていす。

ソウル市内の事業者・サービスを積極的に支援しており、カーシェアリング事業の「ソーカー」や「グリーンカー」、民泊事業では「ビーアンドビーヒーロー」、「コザザ」などが支援を受けています。子ども用品のシェア「キップル」、同じ関心事を持つ人々をマッチングしてともに食事をする「チッパブ」、オフィススペースをシェアする「スペースノア」など、市が様々なシェア事業を後押ししています。

・イタリア ミラノ

イタリアのミラノでも、シェアリングシティに向けた動きがスタートしました。万博開催時の宿泊施設不足や、交通渋滞、移動手段の不足といった課題を解決するために、シェアリングエコノミーサービスの導入に踏み切ったのです。また、シェアリングエコノミーをテーマとするカンファレンスやイベントが欧州最大規模で開催され、国内外からも高い注目を集めています。

5. まとめ

余っているモノやリソースなどを活用し、社会で共有していくシェアリングエコノミーは、経済効果や市民の交流を生み出し、より良い街づくりを目指す上で効果的です。シェアサービスを浸透させたシェアリングシティは、これから世界中に増えていくことでしょう。

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