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H.I.S.ホテルホールディングス株式会社(以下エイチ・アイ・エス)とコギコギ株式会社は、エイチ・アイ・エスが展開する「変なホテル」においてシェアサイクルサービスの業務提携を発表しました。

コギコギの「COGICOGI SMART!」とは、自転車に取り付けたスマートロックをスマートフォンで操作をすることで貸出・返却を行うことができるシェアサイクルサービスです。「COGICOGI SMART!」は多くのインバウンド(訪日観光客)から支持されており、今後のインバウンド受け入れ環境の強化が期待されています。

現在、シェアリングエコノミー市場は急拡大をみせており、異業種からの参入も目立っています。今後も競争激化が予測され、東京都内だけでなく地方や観光地でも旅行客に向けた新しい観光資源として、シェアサイクルは注目されています。

目次

  1. エイチ・アイ・エスがコギコギと業務提携を発表
    ・エイチ・アイ・エスの「変なホテル」とは
    ・コギコギの「COGICOGI SMART!」とは
    ・業務提携の狙いについて
  2.  進むシェアサイクル と他業態との提携
  3.  まとめ

1.エイチ・アイ・エスがコギコギと業務提携を発表

エイチ・アイ・エスの「変なホテル」とは

エイチ・アイ・エスが展開する「変なホテル」は、「滞在時の快適性」と「世界最高水準の生産性」を両立するローコストホテルを目指し、2015年に長崎県のハウステンボスに建設されました。

https://www.hennnahotel.com/

「変なホテル」では、多言語対応のロボットがチェックイン・チェックアウトの手続きを行い、クロークではロボットアームが荷物を預かってくれるなど先進技術が導入されています。

これまで人が担ってきたフロント業務や荷物運びなどの業務を、館内に配備された約80台のロボットが担当し、人間の従業員はベッドメイクや監視カメラ要員など十数人のみとなっています。この事が評価され、「変なホテル ハウステンボス」は「世界初のロボットホテル」としてギネス世界記録認定を受けています。

また、ロボットが受付を担当する医療クリニックを併設するなど、ビジネス層の顧客獲得へ向けての取り組みも行われています。現在は関東に3件、長崎県に1件展開されており、今後2019年3月までに東京・京都・大阪・博多等に8件開業を予定しています。

コギコギの「COGICOGI SMART!」とは

コギコギ株式会社が運営する「COGICOGI SMART!」は自社開発したスマートロックを活用し、スマートフォンのアプリ上で登録・貸出・返却が簡単にできるIoT型のシェアサイクルサービスです。

テレビやHDレコーダーなどのデジタル情報家電、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電、さらには照明のコントロールやドアの開閉に至るまで、これまでインターネットに接続することが出来なかったモノをインターネットに接続させることをIoTと呼んでいます。今後、IoTは私たちの生活により身近なものになり、さらに活発に活用されていくと考えられています。

http://cogicogi.jp/

コギコギは、2015年4月にシェアサイクルサービスを開始し、現在は東京都内9区でサービス運営を行っています。「COGICOGI SMART!」は、運用を開始以後、日本居住者のみならず多くの訪日観光客に利用され、利用者に占めるインバウンド(訪日観光客)の比率が6割を超えていると言われています。

2017年7月には、インバウンドへのマーケティング活動および海外進出を加速させるための拠点として福岡に事務所を設置。今後のインバウンド受け入れ環境の強化が期待されています。

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 業務提携の狙いについて

「変なホテル」と「COGICOGI SMART!」によるサービスは、2018年4月に開業した「変なホテル東京 浜松町」を皮切りに、今後全ての「変なホテル」で展開予定です。今回の業務提携の背景として、過熱するシェアリングエコノミー市場の影響があります。民泊やカーシェアリングなどの利用者は年々増加傾向にあり、事業者は低コスト化と付加価値化でしのぎを削っています。

コギコギは、「COGICOGI SMART!」の開始以前からを含めて7年間のシェアサイクルサービスの運用実績があり、シェアサイクルの安定的、効率的な運営ノウハウを保有していることから、「変なホテル」はシェアサイクルサービスのノウハウを持つコギコギと提携を行うことで宿泊者への滞在体験の向上を目指します。

 

2.進むシェアサイクル と他業態との提携

シェアリングエコノミー市場が急拡大している中、シェアサイクルと他業種との提携が目立っています。

これまで国内ではドコモ・バイクシェアが自治体や民間事業者と協業し、各地にシェアサイクルを広めてきました。利用者は年々倍々で増加しており、2016年度の会員数は20万人を突破しています。2016年12月にはドコモ・バイクシェアは都内に2,400店舗を構えるセブンイレブンと協業を発表。2017年6月末までに都内エリア100店舗を展開、500台の設置を目指すとしています。

2018年3月にはアパマングループがシェアサイクルのサービス提供を開始しました。アパマンショップのフランチャイズ加盟店と取引のある約20万人の不動産所有者ともステーション設置について交渉がされており、今後、全国レベルでのサービス展開を行う予定です。

フリーマーケットアプリ大手のメルカリも、シェアサイクルビジネスへの参入を表明し、2018年中に「メルチャリ」の開始を計画。シェアサイクル市場は更なる競争激化が予測されます。

シェアサイクル導入の動きは全国に広がりを見せており、地方や観光地でも旅行客に向けた新しい観光資源として注目されています。

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3.まとめ

エイチ・アイ・エスとコギコギの提携により、シェアサイクル市場は益々競争激化が予測され、東京都内はもちろん地方や観光地でも旅行客に向けた新しい観光資源として注目されています。

IoTとの連携により、借りた場所に返さなくても良い・自由に乗り捨てしたいという利用者の要望を満たすことができるシェアサイクルサービスは、年々需要が高まっています。民間企業だけでなく自治体も自転車シェアへの参入に積極的であり、今後市場はさらに盛り上がりを見せていくことでしょう。

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