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ライドシェアリングサービス(以下、ライドシェアサービス)の最大手として、発祥の地であるアメリカをはじめ、今や世界中にその勢力を拡大し続けるUber。

その勢いはとどまる所を知らず、さらなる事業拡大のための資金調達にも次々に成功。2016年6月1日にはサウジアラビアの政府系ファンドから35億ドルを調達し、市場での評価額は625億ドルにもなると言われています。

本記事では洗練されたライドシェアサービスを提供するUberのビジネスモデルや競合について、また国内外における課題、Uber症候群と呼ばれる現象についてまとめました。

※編集部注:2016年12月20日に加筆修正しました。

目次

1.今までにない革新的ビジネスモデル

  • スマホをブローカーとするライドシェアサービス
  • 普及するUber型ビジネスモデル

2.ライドシェアサービスにおける課題

  • 米国ライドシェア保険と保険市場の拡大
  • 日本国内での法規制という課題
  • 京都で「特例」のサービス開始

3.既存産業の破壊「Uber症候群」

  • Uber症候群とは

4.まとめ

1.今までにない革新的ビジネスモデル

スマホをブローカーとするライドシェアサービス

Uberに代表されるライドシェアサービスでは、スマホを活用しています。

もしユーザーがUberで車に乗りたいと思ったら、アプリを開いて車のタイプを決め、GPSで表示される自分の現在地から近くにいる車を選ぶだけ。

スピーディーに車を手配することができ、正確な時間と場所で、迎えに来た車に乗り込むことができるのです。

乗車後は、あらかじめ登録してあるカードによって料金を決済することができます。キャッシュレスなので、支払いにもたつくこともなくスマート。

そして、ユーザーは乗車したドライバーに対する評価ができるようになっており、その仕組みがドライバーの運転マナー、接客態度の向上につながっているようです。

Uberビジネスモデル

Uberでは、車種によりエコノミー、プレミアム、アクセシビリティ(車いす対応・チャイルドシート付き車両)があり、それぞれ料金が異なります。

また、UberPOOLという同じ方面へ移動する他の乗客とライドシェアし、料金もシェアできるサービスもあります。

他に、UberBLACK、UberTAXIなどもあります。

Uber BLACK…Uber専属ハイヤー

開始料金:103円 +毎分 67円 +1kmあたり 309円

最低料金:823円

キャンセル料:1,029円

Uber TAXI・Uber TAXILUX…タクシーの配車

メーター料金を支払います。

迎車料は配車されるタクシー会社により異なります。

UberTAXILUXでは500 円の予約料金が発生。

普及するUber型ビジネスモデル

Uberのビジネスモデルの利点は、何と言ってもその手軽さでしょう。

スマホで簡単に車を手配でき、しかも従来のタクシーに比べておよそ3分の2程度の料金で済み、ドライバーの接客態度も良いとあれば、リピーターが増えるのも納得できます。

アメリカではUberに登録しているドライバーは売上の80%を収入として得ることができ、最高で年間9万ドルもの収入も可能だと言われています。比較してアメリカのタクシードライバーの多くは、4万6,500ドル以下の収入しか得られていないのだとか。

Uber自体はライドシェアのマッチングにより20%の仲介料を受け取ります。カード決済で確実に収益を得ることができる点もスマートです。

現状のUberの最も強力なライバルは、2012年サンフランシスコ発のLyftというライドシェアサービスです。

Lyftは一般のドライバーが参入しやすく、Lyft Plusというサービスでは通常のLyftの費用より割高ですが、Uberよりも20%安い価格でSUVのプレミアムな車を配車してくれるそうです。

2015年時点の売上規模はUberが圧倒していますが、2016年時点でLyftは時価総額55億ドルと言われ時価総額625億ドルとされるUberにはまだ程遠いと見えます。ただ、創業から数年で今の時価総額に至った成長率は、Uberをしのぐと考えられるでしょう。

Uberは高級志向であるのに対し、Lyftのブランディングはフレンドリーな接客が持ち味です。事業者としてもLyftの運営は、ドライバーの待遇を向上することが、最終的に乗客へのサービス向上につながると考えており、金銭的な支援などを行いドライバーの取り込みを進めています。

業界に強力なライバルが存在することで、より提供されるサービスの質、ドライバーへの待遇向上が期待できるのではないでしょうか。

また、日本ではnottecoという中長距離移動をターゲットとしたライドシェアサービスが、2008年に開始されました。

nottecoは交通費を安く移動したい人と車移動にかかる実費を節約したいドライバーをつなげる相乗りマッチングプラットフォームで、notteco代表東祐氏のインタビューによると、競合はタクシーではなく、長距離バス寄りに当たるサービスです。

安さだけでなく、ドライバーと同乗者のコミュニケーションや出会いもnottecoを利用する魅力になっています。またユーザー数を拡大し、既存のサービスが対応しきれない出発/目的地など小規模なマーケットを取り込むことが今後のnottecoの展望です。

2.ライドシェアサービスにおける課題

米国ライドシェア保険と保険市場の拡大

アメリカではライドシェア市場が拡大し、事業者は安全性を保障するため稼働中のドライバーに対して保険を適用する仕組みをとっています。

それに伴い、ライドシェア事業者の保険が適用されない、または適用に制限があるドライバーのオフタイムや、待機中の保険適用にスポットを当てた、ライドシェアドライバー用保険が誕生しています。 今後もライドシェアサービスの発展に伴い新たな市場が拡大すると思われます。

日本国内での法規制という課題

現在の日本ではUberのようなライドシェアサービスは、誰でも始めることができるのでしょうか?実は、日本では道路運送法が定める「旅客自動車運送事業」の定義では、その対象となる事業の運営には国土交通省運輸局の許可が必要となっています。

つまり、現状の日本ではUberやLyftなどのライドシェアは「旅客自動車運送事業」に該当するため、無許可では行ってはいけないという見方が主流です。

2013年の国内でのサービス開始時はハイヤーのみでしたが、2014年からはタクシー会社ともUberが提携し、サービスを拡充している状況です。

京都で「特例」のサービス開始

京都府は国家戦略特区として規制緩和が認められ、道路運送法第78条第2号に基づいて「ささえ合い交通」を開始。これはUberのアプリベースのICTを活用した自家用車での輸送サービスです。

これは京丹後市丹後町域で地域のタクシー事業者が廃業した2008年以降、利用が限定される市営デマンドバスが運行するのみで、公共交通空白地となっていたことに由来しています。

自動車免許返納後の高齢者や海外旅行者らの利用を見込んだサービスですが、高齢者についてはスマートフォンやタブレットの利用に課題が残る恐れがあります。

3.既存産業の破壊「Uber症候群」

「Uber症候群」とは

Blurred street llumination and night lights of New York City

「新しいビジネスモデルの競合が市場に参入することで、既存の企業が減衰する現象」を「Uber症候群」と言い表すようになりました。世界各国で展開されているUberによって、業界が変容していく過程を受けてできた言葉です。「ウーバライゼーション」とも呼ばれています。

アメリカでの事例ですが、2016年1月にサンフランシスコ最大のタクシー会社が、日本の民事再生法に該当する倒産の手続きをするニュースがありました。

事故による多額の賠償金や乗車率の低下、Uberなど配車アプリサービスとの競争激化が原因だったとされています。乗客を奪われただけでなく、ドライバーがUberやLyftに流れて運転手の確保が困難になったことも要因の一つにあったようです。

「UberやLyftでドライバーになりたいが、自動車を所有していない」という人のためのレンタルカーサービスも登場しています。Breezeというサービスでは、車のレンタルにかかる料金は約50ドル。タクシー会社から運転手が車を借りる場合、1日あたり約120ドルの料金であることを考えると、ドライバーにとって魅力的な数字でしょう。

ライドシェア

このように、ウーバライゼーションで既存産業が圧迫される可能性があるのは、何も自動車交通業界に限った話ではありません。

UberのようにITを駆使して、サービス・アイテム・空間など様々なジャンルのモノを、ユーザーが必要な時にシェアできるビジネスモデルは、「シェアリングエコノミー」と呼ばれ、注目されています。シェアリングエコノミーは、購入・消費中心の経済活動を、共有へシフトさせているのが特徴です。

すでに知名度の高い民泊サービスAirbnbの他、着ていない衣服を貸し出すStyle Lend、家事などの雑務代行サービスTaskRabbitなど、バラエティに富んだサービスがローンチされています。日本でも、次々とシェアリングエコノミーのビジネスモデルが生まれています。

今後IT効率化によって、新しいビジネスモデルに既存産業が侵食されていくかもしれません。

まとめ

UberやLyftに代表されるライドシェアサービスのように、スマホなどのITツールをブローカーとしてモノをシェアする動きは、市場経済を活性化させる良い契機になっています。

そのコストの低さと利便性からニーズも高く、今後シェアリングの流れはどんどん盛んになっていくことが予想されます。それによって時代と産業構造の変化も激しくなり、既存産業が淘汰され、今までになかった新しいビジネスモデルが発展してくるかもしれません。

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