シェアリングエコノミーラボ (Sharing Economy Lab)

リアル店舗へ登場するシェアビジネス 商業施設と協業する理由とは

シェアリングビジネスが商業施設とタッグを組み、リアル店舗へ展開するという事例が増えています。これにともない、今まではアプリやWebを介してのみ利用されていたシェアリングエコノミーが、ユーザーにとってより身近なものになり、信頼性の向上や利用の促進につながるとみられています。

今回の記事では、そのような取り組みによって期待できるビジネス展開や各社の狙いを、具体例とあわせて解説していきます。さらに国内初の取り組みとなる、シェアビジネスのマッチングイベントについてもご紹介します。

目次

  1. 進む商業施設とシェアビジネスの協業
    ・東京メトロとストアカの協業
    ・パナソニックのカメラシェア
    ・イトーヨーカドーとソフトバンク系列「HELLO CYCLING」の協業
    ・マルイとバッグシェアサービス「ラクサス」の協業
  2.  日本初のシェアビジネスマッチングイベント開催・開催の狙い
    ・具体的な領域について
  3.  まとめ

1.進む商業施設とシェアビジネスの協業

東京メトロとストアカの協業

東京メトロとストリートアカデミー株式会社は、地下鉄のスペースを活用した学びの講座を2018年8月7日より開始すると発表しました

ストリートアカデミー株式会社は、ビジネススキルやハンドメイド、スポーツなどを教えたい人と学びたい人とをマッチングするサービスのストアカを運営しています。ストアカは、登録生徒数22万人を誇る国内のスキルシェアサービスのプラットフォームです。

https://www.street-academy.com/

今回の取り組みは、すでに実証実験として4月から永田町駅構内の駅チカ商業施設Echika fit永田町で実施されていた学びの講座を、対象エリアを拡大して行うというものです。

実証実験ではビジネスパーソン向けに「話し方」「コミュニケーションの取り方」「マインドフルネス」など、ビジネスに役立つ講座を受けられるというものでしたが、全講座が満席になるほどの人気となりました。

http://www.street-academy.com/news/?p=2334

講座は30分という短さで通勤途中に気軽に受けられるということもあり、忙しい中でも新しいことを学びたい人や仕事に役立つスキルを身に付けたいという人のニーズにマッチした形となります。

8月からはEchika表参道で「美顔トレーニング」や「美姿勢レッスン」など女性を対象とした講座を、9月には大手町のDouble Sandwichでビジネスパーソン向けに「Outlook最速活用術」などを開講する予定です。

パナソニックのカメラシェア

https://pan.ntt.com/business/

パナソニックは、NTTコミュニケーションズと大日本印刷との連携で、カメラをシェアリングできるサービスPaN実証実験を行いました

PaNとは、観光地や遊園地、イベント会場などの撮影スポットにカメラを設置し、そのカメラに撮影カードのIDをかざすことで自撮りや記念撮影ができるというサービスです。

NTTコミュニケーションズのクラウド・ネットワーク技術と大日本印刷のセルフプリント端末を活用し、撮影した写真はクラウド上に保存されて専用サイトからダウンロードできるほか、その場でのプリントアウトにも対応しています。

利用者はカメラや三脚、自撮り棒を持ち歩く必要がないだけでなく、特殊なアングルからの撮影やフレームと組み合わせた合成写真を撮ることができるなど、パナソニックの撮影技術をいかした付加価値を提供しています。

実証実験は京都の建仁寺と圓徳院で行われ、那須ハイランドパークやお台場海浜公園などでも期間限定でサービスを提供しました。見た目にも楽しい合成写真などはSNSでの拡散が期待できるなど、導入する施設側にもメリットがあるサービスとなっています。

イトーヨーカドーとソフトバンク系列「HELLO CYCLING」の協業

https://www.hellocycling.jp/

大手スーパーのイトーヨーカドーと、シェアサイクルサービスHELLO CYCLINGを運営するソフトバンク系列のOpenStreet、自転車販売のシナネンサイクルは、シェアサイクル事業で協業することを6月21日に発表しました

イトーヨーカドーは店舗の敷地内にシェアサイクルのステーションを設置、シナネンサイクルは自転車の提供と管理、OpenStreetはプラットフォームの運営をするというものです。

まずはイトーヨーカドー浦和店でサービスを開始し、2020年度末までには全国30店に500台の設置を目指すということです。

浦和店の位置するさいたま市では、すでにセブンイレブンなど128カ所(2018年5月31日時点)にHELLO CYCLINGのステーションが設置されています。シェアサイクル用の自転車はどのステーションでもレンタルと返却が可能で、新たなステーションの設置によって利便性の向上や集客、放置自転車の削減を狙います。

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マルイとバッグシェアサービス「ラクサス」の協業

https://laxus.co/

ラクサスは、日本最大級のバッグシェアサービスです。アプリやWebサイトから好きなバッグを選び、月額定額で自由に使えるというもの。ラインナップはプラダやエルメス、ルイ・ヴィトン、シャネルなど人気のブランドを揃えており、特別な日に高級バッグを使いたいという女性や、家に収納場所が少ないのでバッグをたくさん所有できないという女性からの支持を集めています。

このラクサスが丸井グループと提携して、有楽町マルイと新宿マルイ本館にリアル店舗を期間限定でオープンすることを発表しました

店頭にラクサスのバッグを展示し、気に入ったらそのまま借りて持ち帰ることができます。実際に手に取ることでバッグの品質を確認できたり、サービスへの安心感を与えたりできることが狙いです。

丸井グループとしても、自社の発行するクレジットカード「エポスカード」をラクサスで利用すると特典を付与するなど、カード利用や送客につなげたい考えです。

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2.日本初のシェアビジネスマッチングイベント開催

開催の狙い

https://www.jma-sharing.com/index.html

2018年11月20日と22日に、国内初のシェアリングビジネスに関するマッチングイベントシェアリング Meetup Tokyoが東京ビッグサイトで開催されます。

このイベントは、シェアリングサービスの提供者や新規参入事業者と、遊休資産の活用や従来コストの削減のためにシェアリングサービスを利用したい法人や自治体、個人とのマッチングを目的としたものです。

最近では地方自治体などもシェアリングエコノミーへの関心が高くなっており、企業とのコラボレーションでシェアリングサービスを実施する例も増えてきています。

そこで今回のシェアリング Meetup TokyoではCtoC、CtoBに関わらず来場者がシェアリングエコノミーのサービスやシステム、ノウハウと出会うチャンスを創出。既存のシェアリングサービスの拡大や充実はもちろんのこと、新しいシェアリングビジネスが数多く立ち上がることが狙いです。

イベントではシェアリングビジネスを運営する企業などのブース出展のほか、セミナーやワークショップも実施され、さまざまな角度でシェアリングエコノミーへの理解を深めることができます。

具体的な領域について

https://www.jma-sharing.com/concept.html

ブース出展の対象はシェアリングプラットフォームを運営する企業やアプリの制作会社、ITシステムの開発事業者のほか、販促支援やコンサルティングなどの周辺支援事業なども含まれるため、その業種は多岐に渡っています。

一方で来場対象となるのは、シェアリングサービスの提供者や新規参入事業者、遊休資産を運用したい法人や個人、シェアリングサービスを利用したい法人・自治体・個人などとなっており、さまざまな立場でシェアリングエコノミーに携わる人の来場を目論んでいます。

当日は同会場で行われる建築屋不動産、インテリア、ビル管理、農業など合計7つのBtoB展示会と相互入場を実施し、総勢7万名以上の来場者を見込んでいるとのことです。

もともとシェアリングエコノミーは「モノ」、「スペース」、「移動」、「スキル」、「お金」と広い分野にまたがっているため、より幅広い分野で情報交換やパートナー発掘の機会を作りたい考えです。

 

3.まとめ

シェアリングエコノミーでは貸し借りの手続きや決済までWebのプラットフォームで完結することが多いため、パソコンやスマートフォンの操作に慣れないような人はどうしても敬遠してしまいがちとなっていました。

しかし商業施設を利用してリアル店舗を持つことで、そのようなハードルを大きく下げることができ、これまでよりもユーザー層を広げることができそうです。

さらに、人目につくような場所に店舗があることは安心感の提供やPRとしても効果的であり、これからは商業施設との連携がますます重要になってくるかもしれません