シェアリングエコノミーラボ (Sharing Economy Lab)

空き家の有効活用へ カーシェアリングビジネスが新たな道を開拓

高齢化社会に伴い、日本では「空き家」対策が社会問題のひとつになっています。空き家がそのまま放置されることによる、治安の悪化も懸念されてきます。

そんな状況を改善するべく、カーシェアリングビジネスが「空き家」をキーワードに面白い発展を見せています。空き家とカーシェアをコラボレーションさせた、新しいスペースシェアのビジネスが誕生しているのです。

空いている部屋や使っていない家をそのまま「民泊」としてシェアする方法は、Airbnbなどを中心に広まってきていますが、また別のアプローチで空き家を有効活用しようとする動きが芽生えているようです。今回は、そういった国内外の新しいシェアリングサービスをご紹介します。

目次

  1. 空き家を有効活用する新しいアイディア
  2. 駐車場版Airbnbでガレージをシェアリング
  3. まとめ

空き家を有効活用する新しいアイディア

日本では年々、社会の高齢化、核家族化が進んでいる現状があります。そういった中で、一人暮らしをしていた親が亡くなった場合など、「誰も住んでいない家をどうするか」という問題が生じてきます。売りに出したり賃貸にしたりと方法はいろいろありますが、すぐには対処が難しく、大きなコストがかかってしまう可能性もあります。現に平成25年度の住宅・土地統計調査結果では、空き家数は820万戸で、5年間で63万戸も増加(8.3%増)しているそうです。

そういった問題の解決策になり得るシェアリングエコノミーのサービスが登場しました。ALSOKが行ってきた空き家管理サービス「HOME ALSOK るすたくサービス」とタイムズ24のカーシェアリングサービス「タイムズカープラス」を合わせ、ユーザーに提供していくというもの。つまり、ALSOKのサービスを利用している空き家の駐車場に、タイムズ24のカーシェア車両ステーションを設置しようというアイディアです。

もともとALSOKで2012年より提供してきた「HOME ALSOK るすたくサービス」は、1カ月に1回空き家の状況確認と郵便物などの回収を行い、ユーザーに報告をするサービス。その空き家を対象にカーシェアステーションの設置を導入すれば、空き家管理のコストが軽減される上、賃料収入を得ることができるというわけです。近隣住民にとっても、生活圏内にステーションができ、カーシェアがより身近に利用しやすくなるでしょう。

2016年1月15日のサービス開始時で、提供エリアは東京都渋谷区・目黒区・世田谷区・狛江市。今後、他のエリアへサービスが広がっていくのか期待されるところです。

駐車場版Airbnbでガレージをシェアリング

シェアリングエコノミーの本場・アメリカでも、「駐車場版Airbnb」と目されているシェアリングサービス「Garage Pointer(ガレージ・ポインター)」が誕生しています。このサービスは、ガレージを借りたい人と、空いているガレージをシェアして有効活用したいと思っているオーナーを結びつけるオンラインプラットフォームです。

http://garagepointer.com/

「Garage Pointer」のサービスを利用するには、Airbnbのように、サイトから自分が利用したいと思う場所周辺のガレージを探します。ガレージをシェアしたいオーナーは、ガレージの特徴や料金などの情報を無料で登録でき、オーナーとユーザーの間で貸し借りの交渉が成立した場合は、双方から手数料の20ドルが「Garage Pointer」に支払われる仕組みになっています。

また、安全対策として「Garage Pointer」はあらかじめオーナー・ユーザーの両方に対して審査を行い、保険も適用するそう。

この「Garage Pointer」は2016年6月1日から60日間手数料無料の試用期間を設け(試用の対象エリアはカリフォルニア州・オレゴン州・ワシントン州に限定)、サービスを開始しています。その後は順次、アメリカ各地でサービスを展開していく予定だとか。

アメリカでも都会へ行くほど駐車場探しは重要で、駐車違反の取り締まりが厳しく罰金が科せられることから、こういった駐車スペースのシェアに対してニーズがあるよう。他にも駐車場のシェアリングは、ロンドン発祥の「JustPark」、2011年にローンチされた「Park Circa」などが競合しています。

まとめ

駐車場のシェアリングサービスは以前からありましたが、空き家をカーシェアのステーションや駐車場として利用するというのは新しさを感じます。既存サービスを発展させて余剰スペースをシェアしていく画期的なビジネスは、オーナーにもユーザーにも喜ばれ、人々の暮らしや地域社会をより良いものに変えていく可能性をもたらすでしょう。


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