シェアリングエコノミーラボ (Sharing Economy Lab)

中国発自転車シェアリングサービス「モバイク(mobike)」が日本上陸!中国の都市交通を変えたサイクルシェアの実態とは?

Public Bike Rental Station in Beijing, China with Bicycles arranging in row ready for public rental

近年、中国の都市交通に大きな影響を与えているサイクルシェアサービス。その主要事業者の一つである「モバイク(mobike)」が2017年8月から日本でもサービスを展開することが決定しました。この記事では、日本ではまだなじみのないサイクルシェアサービスの概要や、中国国内における影響について解説します。

目次

  1. 中国発のサイクルシェアリングサービス「モバイク(mobike)」が日本上陸!
  2.  サイクルシェアリングサービス「モバイク」とは?
  3.  中国国内におけるサイクルシェアの競争
  4.  モバイクが中国にもたらしたもの
  5.  まとめ

1.中国発のサイクルシェアリングサービス「モバイク(mobike)」が日本上陸!

2017年6月、中国発のサイクルシェアサービス「モバイク(mobike)」が日本に上陸し、福岡県にモバイク・ジャパン株式会社を設立しました。同社は日本でのサービス展開を北海道札幌市からスタートすることを発表。8月22日に札幌市でローンチイベントを開催し、サービス詳細について公開しました。

モバイクはサービス展開にあたって、サッポロドラッグストアー、セコマ、石屋製菓、藤井ビルなどの地元企業と協力し、駐輪スペースを設置する予定としています。また、札幌市、一般財団法人さっぽろ産業振興財団、No Maps実行委員会といった行政とも連携しており、サービスから取得したビッグデータを「札幌市ICT活用プラットフォーム」へ提供するための協議を進めています。

中国におけるモバイクのライバル的サービス「ofo」も9月に日本でサービス提供開始

さらに、中国のサイクルシェア市場においてモバイクと人気を二分するライバル企業「ofo」の日本進出も決定。同社はソフトバンクコマース&サービス株式会社と提携し、2017年9月以降に東京と大阪からサービス提供を開始すると発表しています。

 

2.サイクルシェアリングサービス「モバイク」とは?

モバイクは2015年に中国・北京で創業し、翌年に上海で事業を開始。その利便性から爆発的な人気を誇り、現在では150を超える都市に導入されています。モバイク調達総額は9億ドル以上に達しユーザー数は1億人を突破。中国、シンガポール、イギリス、イタリアに続いて、日本は5ヶ国目の展開となりました。

モバイクが支持される大きな理由は、なんといっても安さと手軽さです。中国におけるサービス利用価格は、30分1元(日本円で15円前後)という破格の値段です。ユーザーはアプリから近くに駐車されている自転車を検索し、QRコードを読み取って解錠するだけで簡単にレンタルができます。返却する際も指定のパーキングに停める必要はなく、乗り捨て可能という気軽さから多くの人に親しまれています。

そもそもサイクルシェアとは?

こうした利便性の高さは、モバイクに限らずサイクルシェアそのもののメリットと言えるでしょう。観光地でよく見かけるレンタルサイクルは借りた場所に返却しなければならないため、出発地と目的地を往復する場合にしか利用できません。一方、サイクルシェアは複数の場所で乗り降りができ、市街地での買い物などちょっとした移動にも使えるのが大きな特徴です。

日本国内のサイクルシェアサービスでは、NTTドコモと自治体が実験的におこなっている「ドコモ・バイクシェア」やソフトバンクの「HELLO CYCLING」が知られています。また、石川県金沢市と埼玉県川越市では自治体主導によってサイクルシェアが実施され、両市のサービスは相互利用も可能です。

 

関連記事:環境に優しく観光促進。自転車(サイクル)シェアリングの市場動向まとめ

 

3.中国国内におけるサイクルシェアの競争

日本ではまだ認知度の低いサイクルシェアですが、中国国内ではすでに市民の足として身近な存在になっています。さまざまな企業がサービスを提供している中、圧倒的な人気を誇るのがモバイクとofoです。ニューヨークの調査会社「7Park Data」が6月に発表したデータによると、中国における市場シェアはofoが65%を占め、競争をややリードしています。

モバイクに先駆けて2014年に創業したofoは、大学のキャンパスを拠点に事業を開始。現在は都市部を中心に世界7ヶ国、170都市以上でサービスを展開しています。以前はofoの自転車にはGPS機能がなく、解錠には通常の鍵を使用するなどIT面では他サービスにやや遅れを取っていました。現在ではこれらの問題も解決しつつあり、さらに価格はモバイクの半額である1時間1元という安価で提供されています。

 

関連記事:爆発的に成長する中国のシェアリングエコノミー市場!その背景と日本との違い

 

4.モバイクが中国にもたらしたもの

画像引用:https://mobike.com/global/public/Mobike%20-%20White%20Paper%202017_EN.pdf

かつては自転車大国として知られた中国も、近年では好景気にともない車社会へと変容しつつありました。ところが、モバイクが公開している「モバイク白書」によると、サイクルシェアサービスの発展によって自転車の利用率は2倍になり、サイクルシェアを利用する人の車利用率は大幅な減少傾向にあるようです。

サイクルシェアは「ラストワンマイル」問題の解決策にも

画像引用:https://mobike.com/global/public/Mobike%20-%20White%20Paper%202017_EN.pdf

また、バスや地下鉄など公共交通機関との乗り継ぎにもサイクルシェアが多く利用されています。特に移動距離が短い場合は、車を利用するよりも早く目的地に着くというデータもあり、サイクルシェアと公共交通機関の組み合わせは効率のいい移動手段であることがわかります。以前から中国では自宅・会社と公共交通機関の間の「ラストワンマイル(最後の1キロ)」が問題視されてきましたが、サイクルシェアはその解決の糸口としても期待されています。

二酸化炭素排出量の削減による環境への影響

画像引用:https://mobike.com/global/public/Mobike%20-%20White%20Paper%202017_EN.pdf

 近年、中国ではPM2.5などの環境汚染が社会的な問題となっています。しかし、サイクルシェアサービスの普及によって車の利用率が減り、二酸化炭素排出量も大幅に削減。サイクルシェアの利用距離から換算するとその削減量は約54万トンにのぼり、これは非常に大きな成果と言えるでしょう。サイクルシェアサービスは都市交通だけでなく、環境問題にも影響を与える存在として注目されています。

 

5.まとめ

中国では市民の足としてなくてはならない存在になりつつあるサイクルシェアサービス。その二強であるモバイクとofoが揃って日本への進出を決定した2017年、日本のサイクルシェア市場も大きな変化の時を迎えようとしています。今後、日本でもサイクルシェアが根付くのか、またそれによって私たちの生活にどんな影響が生まれるのか、これからの展開に注目が集まっています。