シェアリングエコノミーラボ (Sharing Economy Lab)

急成長遂げるフリマアプリまとめ ”巨大中古市場”の実態に迫る

近年、UberやAirbnbなどといったシェアリングエコノミーの普及は全世界で勢いを増してきています。そして、それは日本も例外ではありません。その中で一段と急成長を遂げてきているのは、個人が所有する“モノ”をシェアする「フリマアプリ」です。

環境省の発表によれば、2015年の国内における中古リユース市場の規模は3兆1000億円にまで成長したそうです。購入先の割合としては依然としてリユースショップの店頭が多いものの、フリマアプリの台頭が市場規模の拡大に貢献していることは間違いないでしょう。今回は中古市場を躍進させるフリマアプリについてご紹介いたします。

※編集部注

2019年1月17日に加筆修正しました。
2017年5月31日に加筆修正しました。

2017年4月10日に加筆修正しました。

目次

  1. 新しい中古市場の創出
    ・フリマアプリとは
    ・CtoCとは
    ・今、フリマアプリが支持されるワケ
    ・フリマアプリの勃興
    ・フリマアプリが抱える今後の課題
  2. 押さえておきたいフリマアプリ8選
    ・総合系フリマアプリ
    ・ファッション系フリマアプリ
    ・その他ジャンル特化系フリマアプリ
  3. フリマサイトを構築するサービスも
    ・開発の経緯
    ・利用するメリット
  4. まとめ

1. 新しい中古市場の創出

フリマアプリとは

フリマアプリとは、フリーマーケットのように個人が自由にモノの売買ができるサービスを提供しているアプリのことです。アプリを通じて、誰でも気軽に自分が所有するモノを出品したり、それらを購入したりすることができます。シェアリングエコノミーの観点では、モノのシェアにあたります。

PGF生命の「シェアリング・エコノミーと所有に関する意識調査 2016(13,14P)」によると、シェアリングエコノミー型のサービスのなかでもフリマアプリの利用意向は最も高く利用してみたいという回答が17.8%です。利用したことがある9.5%、利用を検討してもよい30.9%を含めると60%近い割合が利用に前向きであることがわかります。またフリマアプリの利用経験率では20代女性が23.5%でおよそ4人に1人がフリマアプリを利用しことがあるという結果になっています。

CtoCとは

フリマアプリはCtoCサービスのEコマース、つまり個人で行われるビジネスです。CtoCのサービスはフリマアプリのメルカリのほかに、個人が簡単にオンラインショップを作れるようショッピングカートを無料で提供するBASEやSTORES.jp、シェアエコのAirbnbやUber、スキルやモノのマッチングサービスココナラやTimeTicketなどがあります。

CtoCの市場規模はBtoCのそれよりも小さいですが、成長率は非常に高いと言われており、個人間取引はより多くの人々に広がっていくと見られています。CtoCの市場規模について明確な分析ではありませんが、平成 27 年度経済産業庁の報告書ではメルカリやフリルなどCtoCのEコマースの流通量が拡大し、BtoCの市場を切り崩しているのではないかとの見方もあると記されるほど、急成長を遂げている市場と言えます。

フリマアプリが経済に与える影

フリマアプリによって中古市場が拡大していった時、売買の仲介手数料はGDPにカウントされますが、中古品の商品代金はカウントされません。つまり、中古品の流通が活発化すると、GDPの減少につながる可能性があります。

また、かつては捨てられていたものの再利用が進むと今まで新しく購入されていたはずのものが売れなくなるため、生産に関する設備投資の縮小につながり、経済がシュリンクしていくおそれもあります。

一方で、もともと日本は先進諸外国と比べて中古市場が脆弱だった面もあります。フリマアプリの浸透によって中古市場が拡大することで経済に余力が生まれ、新しいニーズやサービスの創造につながることが期待できます。

今、フリマアプリが支持されるワケ

オークションより手軽で簡単

近年までは、オンラインでの中古品のモノのやりとりといえばオークションがメインでした。しかし、オークションは仕組みの煩雑さゆえにユーザーが定着しにくい面があります。

オークションでは出品者が価格を設定したモノが出品され、購入者が同額あるいは他者に購入されないために金額を上乗せて獲得の意思を示すやりとりが行われます。しかし、出品者が満足いかない落札価格だと取引はキャンセルされたり、落札者との連絡不通や未入金といった金銭トラブルも発生したりするのです。

それに比べてフリマアプリでは、モノの価格は固定であることが基本になっています。購入者は金額上乗せの駆け引きを意識する必要なく、購入を希望できます。

安心、安全な支払いシステム

フリマアプリでは、支払いに関しても安全措置が取られています。購入者が支払った金額は一度サービス会社に預けられ、商品が無事に届いてから出品者に支払われるようになっています。また、個人間取引の信頼性を担保するために、本人確認を導入しているサービスもあります。

プラットフォーム側が個人間取引を安全に行うためのシステムを整備しているのも、フリマアプリの人気の一因といえるでしょう。

すべてスマートフォンで完結!誰でも使える簡単さ

今注目が集まっているフリマアプリは、開発段階からスマホで利用を中心に設計されているので、UIがスマホでの利用に最適化されていて、感覚的に深く考えなくても使えるようになっています。また購入はもちろん、出品も撮影から出品・決済までシームレスにスマホで行えるのも、市場拡大のポイントになっています。

フリマアプリの勃興

では、躍進を続けるフリマアプリの市場動向についてご紹介します。国内最初のフリマアプリは2012年7月にスタートした女性向けファッションを取り扱う「Frill」です。次にハンドメイド商品のフリマアプリとして有名な「minne」が同年10月にサービス開始しています。

この時期はアメリカのハンドメイドマーケットEC「Etsy」が同市場において主流となっていたため、国内では同じ系統のECサービスが続々と誕生していました。そのため、当時のフリマアプリはハンドメイドマーケットECの類として認識されていた傾向がありました。

しかし、2013年の下半期になってその傾向が一変しました。スマホの普及が著しくなったこの時期に大手フリマアプリ「メルカリ」が立ち上がりました。たった3分で気軽に出品できる謳い文句もあり、スマホでモノの出品をする人々が続々と増えていったのです。そこからコミニュケーションツールとして世界で浸透しているLINEも「LINE MALL」という名称でフリマアプリをリリース。続いてEC業界を牽引する楽天も「ラクマ」の提供を開始。大手企業もフリマアプリ市場に参入し、市場の競争が激化しました。

2015年になってからは撤退を余儀なくされたフリマアプリが多数出てきました。「LINE MALL」もそのうちの1つです。激戦区をくぐり抜けて来たフリマアプリも更なる成長を遂げるために海外進出を計画したり、巨額の資金調達を果たしたり、他事業との提携をPRしたりと今後も生き残り続けるための施策がなされていっています。

フリマアプリが抱える課題

フリマアプリの市場拡大に伴い、様々な課題も浮き彫りとなってきています。本来の使用目的を逸脱した使われ方が問題となり、各事業者が対応を迫られるケースも出てきました。

2017年4月、フリマアプリ「メルカリ」で現金の出品が確認され、問題となりました。どこからもお金を借りることができない多重債務者に向けたものと見られ、同社は「マネーロンダリング(資金洗浄)につながる恐れがある」として現金の出品を禁じています。

しかし、現金の出品が禁止された直後、今度はチャージされた交通系ICカード(Suicaなど)の出品が相次ぎました。これに対しても監視を強化して対応していますが、対策が追いつかない状況があります。今後フリマアプリを使う人がさらに増えていくと見込まれる中、プラットフォームの監視の重要性はますます高まっています。

また、独立行政法人 国民生活センターによると、フリマサービス関連の相談件数は5年前と比較して約20倍と急増しています。具体的なトラブルとしては、商品未着や欠陥品・偽造品が届いたなど購入者からの相談が挙げられます。一方で出品者からも、商品を発送したが代金が支払われない、返金を求められたなどのトラブルが報告されています。更に、未成年者が酒などの年齢確認が必要な商品を購入するという法律に触れるような事案や、個人間の取引であることから運営事業者が介入せず当事者同士での解決がこじれるケースもあります。

フリマアプリは手軽に使える反面、トラブルに巻き込まれず安全な取引が円滑に行えるよう、利用者と運営事業者双方の改善が求められています。

 

2. 押さえておきたいフリマアプリ8選

総合系フリマアプリ

メルカリ

https://www.mercari.com/jp/

2013年7月に誕生した日本最大のフリマアプリです。わずか5年で国内7,500万ダウンロードを突破し、累計流通額が1兆円となりました。

メルカリに関するデータ(2018年3月時点)

ダウンロード数:日本7,100万、アメリカ3,750万

累計出品数:10億品以上

1日の流通額:10億円以上

メルカリの利用料

・出品手数料:無料

・販売手数料:商品が売れた時の売上の10%

・売上の振込手数料:210円、1万円以上は無料

・支払い手数料:コンビニ/ATM/携帯キャリア決済は100円。クレジットカード/売上金/ポイントは無料

人気の秘訣は非常にシンプルな操作で出品ができることです。出品するモノの写真を撮影してから、商品の説明、料金・配送の設定などを画面1つで入力することが可能です。これまでの累計出品数はおよそ10億品にのぼり、レディース、家電、ホビー、ハンドメイドなどあらゆるジャンルが揃っています。

また、メルカリでは現金の他にポイントを利用して商品を購入することもできます。このポイントの獲得方法は、未会員のユーザーに自分の招待コードを用いて会員登録してもらうことで特典としてお互いにポイントがゲットできるサービスや、企業とのタイアップキャンペーンなどがあります。

ラクマ

https://fril.jp/

ラクマに関するデータ(2019年1月時点)

・ダウンロード数:1,500万

ラクマの利用料

・出品手数料:無料

・販売手数料:商品が売れた時の商品価格の3.5%

・売上の振込手数料:210円、楽天銀行宛て1万円以上は無料

・支払い手数料:コンビニ/ATM払い/携帯キャリア決済は210円。カード/楽天ペイ/LINE Pay/Paidy/ポイント/売上金払いは無料

ラクマは楽天が2014年11月にリリースしたCtoCのフリマアプリです。ラクマの最大の特徴は、商品の売買が成立した際の手数料(販売手数料)が無料なこと。しかも売上金は商品受取が確認されてから最短即日に指定の口座に振り込まれるのも、メルカリとの違いです。また楽天ポイントを使えるので、楽天ユーザーには利用しやすいフリマアプリです。

2018年2月には、2つある楽天のフリマサービス「ラクマ」と「フリル」が統合し、「ラクマ」として1つのフリマアプリとなりました。出品商品の偏りをなくし、利用者層の幅を広げ、総合的なサービスへの充実を図る新ラクマの動向に注目が集まっています。

ファッション系フリマアプリ

ショッピーズ 

http://shoppies.jp/

Shoppiesに関するデータ(2019年1月時点)

・会員数:120万人

・1日の出品数:7000品以上

・総出品数:300万点

Shoppiesの利用料

・会員登録料:無料

・月額利用料:無料

・販売手数料:商品が売れた時の商品価格の10%

・売上の振込み手数料:1回210円

・支払い手数料: ポイント・ショピGで支払われる場合は無料。コンビニ/ATM/ネットバンキング、お財布ケータイEdy、クレジットカード支払の場合:200円

Shoppies(ショッピーズ)は2011年4月の10-20代の女性に人気の日本初のオンラインフリマサービスで、ガラケー時代にサービスを始めています。109のブランドなどギャル系ファッションに強く、コーディネートをプラットフォームにアップしてポイントを稼いだり、お気に入りのコーディネートの商品や似た商品を買ったりでき、黎明期より若年女性の支持を集めています。

その他ジャンル特化系フリマアプリ

ジモティー

http://jmty.jp/

ジモティーに関するデータ(2018年3月時点)

ユーザー数:月750万人

ジモティーの利用料

・利用料/手数料:無料

ジモティーは不用になったモノを誰かに譲りたいという、とにかくモノを手放したいという人が活用しやすい仲介掲示板サイトです。

ジモティーというネーミングは「地元」からきており、直接取引のエリアを指定してその場で受け渡しをします。販売価格を設定することもできますが、0円設定をしている出品者が多いのが特徴です。それによって掘り出し物を無料でゲットできる、粗大ゴミとしてかかる出費を抑えられるなど双方にメリットがあると考えられます。

扱う商品は多岐にわたり、モノだけでなく動物の里親、友達募集、教室の宣伝、求人、イベントなど掲示板としての機能も果たしています。

オタマート

https://otamart.com/

オタマートに関するデータ(2015年3月時点)

・1日の出品数:7000品

オタマートの利用料

・出品手数料:無料

・販売手数料:商品が売れた時の商品価格の10%

・売上の振込手数料:電子マネーは120円、銀行振込は210円。いずれも1万円以上は無料

・支払い手数料:コンビニ/ATM/携帯キャリア/WebMoney決済にした場合100円。クレジットカード/ポイントによる購入の場合無料

オタマートは2014年4月にサービスを開始したアニメ・ゲーム・アイドルグッツなどオタクグッツに特化したフリマアプリです。ニッチ産業でありながら、世界に広がるオタク文化という独自のマーケット専門のフリマアプリは無二のサービスです。

minne

https://minne.com/

minneに関するデータ(2018年9月時点)

ダウンロード数: 1,000万

・出品数: 867万件

・登録作家数:47万人

minneの利用料

・出品手数料:無料

・販売手数料:商品が売れた時の商品価格の10%(税抜)

・支払い手数料:携帯キャリア/コンビニ/ ATM/銀行振込/後払い決済は支払方法に応じて発生。クレジットカード/ Apple Pay/Google Payによる購入の場合無料

・売上の振込手数料: 1回172円

2012年1月にサービスを開始したminneは、登録料無料でハンドメイドの作品を売買できるマーケットプレイスです。自分の作品を多くの人に届けたい作家さんはもちろん、作るのはできなくても温かみのあるふクラフト雑貨が好きな人もアイテムの売買を楽しむことができます。登録作品は雑貨からアクセや家具にいたるまで幅広いラインナップです。

2018年2月には、GMOペパボ株式会社は運営する2つのハンドメイドマーケット「tetote byGMOペパボ」を「minne byGMOペパボ」を統合しました。国内最大のハンドメイドマーケットとして、より一層のサービス拡大を目指しています。

更に、2018年11月には、アジアにおいて日本のハンドメイド作品に対する人気の高まりを背景に、台湾で開催される大型国際展示会へ出店しました。海外展開の可能性を探る布石として注目を集めています。 

Creema

https://www.creema.jp/

Creemaに関するデータ(2019年1月時点)

・ダウンロード数: 700万

・出店クリエイター数:11万人

・出品数: 600万点

Creemaの利用料

・出品手数料:無料

・販売手数料:商品が売れた時の商品価格の8~12%(税抜)

・支払い手数料:コンビニ決済にした場合188円。クレジットカード/銀行振込/携帯キャリア決済/ Google payによる購入の場合無料

・売上の振込手数料: 1回172円

2010年5月にハンドクラフトのオリジナル製品のマーケットプレイスとしてサービスを始めたCreemaは、手作りのクラフトを作るクリエイターとその作品を愛するユーザーのための交流の場所でもあります。商品の取り扱いを始めたのもCreemaが先駆け。

ブクマ!

http://xn--pck0dza.com/

ブクマに関するデータ(2017年2月時点 )

・出品数: 累計20万冊以上

・週間出品数:2万品

ブクマの利用料

・出品手数料:無料

・販売手数料:商品が売れた時の商品価格の10%

・売上の振込手数料: 210円、1万円以上の場合は無料

2016年8月に書籍の裏表紙に印字されているISBNバーコード(国際標準規格)を使ってあっという間に書籍情報を利用して出品が完了する古本のフリマアプリをリリースしました。サービス開始より急速に取扱書数を増やし、データベースと連動するカタログ型フリマアプリ市場に後発で参入しました。

 

3. フリマサイトを構築するサービスも

開発の経緯

2018年9月、マレントジャパンは、2017年に大ヒットしたCtoCモール型CMS「Mallento(マレント)」をベースに、簡単にフリマサイトを構築できる専用パッケージ「furimo(フリモ)」をリリースしました。フリマアプリ市場の拡大に伴い、フリマサイト運営に必要な初期機能についての問い合わせや要望が増加したことが開発の後押しとなりました。

利用するメリット

通常、数百万円規模の制作費がかかるサイト構築ですが、ニーズのあるシステムをプロトタイプ化し、凡庸パッケージとして開発することで低価格化に成功。更には、短期間での納品や小回りの利くカスタマイズが可能となっています。フリマサイトにかかるシェアビジネスへの参入を促進し、市場拡大の起爆剤となるかもしれません。

 

4. まとめ

競争が激しくなり、平凡なフリマアプリは淘汰されつつあります。今回ご紹介したフリマアプリのように他と差別化できる独自性や強みをもっているものが生き残り、成長を遂げていっているのではないでしょうか。