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物や人の休閑時間を需要のあるところで活用する仕組みシェアリングエコノミー。とりわけ運輸・物流業界と相性がよく、「人を運ぶ」分野で急成長したUberから、「物を運ぶ」分野にも市場は拡大しています。

その一方で、業界内ではすでにシェアリングエコノミー浸透している分野とそうでない分野で、明暗が分かれているという見方もあるようです。運輸・物流業界のシェアリングエコノミーの今、そしてこれからを見ていきましょう。

目次

  1. シェアリングエコノミーを牽引する運輸業界
  2. 航空業界にもシェアリングエコノミーの波
  3. まとめ

1. シェアリングエコノミーを牽引する運輸業界

法人・個人向けサービスの台頭

運輸業界ではシェアリングエコノミーの旗手Uberが、車に乗りたい人と、人を乗せたい一般ドライバーを結ぶカーシェアプラットフォームを始めたことからシーンが成長しました。その後、短距離移動を対象にしたUberに対して、長距離を対象としたBla Bla Carや、旅行者に自家用車を貸し出すTUBO、相乗り通勤のプラットフォームをLyftやUber、Googleが立ち上げるなど、サービスの多様化が始まっています。

シェアリングエコノミーは物流業界でも拡大しています。BtoCの宅配サービスでは、レストランの料理をUberが配達するUberEATSが日本でも展開されていますが、アメリカでは小売店やレストラン、eコマース事業者向けの当日宅配サービスにも、シェアリングエコノミーの企業が参入しています。中でも頭角を表しているのはPostmatesですが、競合のUberRUSHやAmazon Flexもすでにサービスを開始しています。

香港発でサービスを拡大しているのが、貨物輸送サービスのlalamoveとGoGoVanです。アジア圏では、物流量の増加に対してインフラが十分でない地域が多く、UberもUbreCARGOを香港でスタートしました。

日本のハコベルは、既存の運送会社の空き時間と配送依頼したい企業をマッチングするプラットフォームを立ち上げ、急な依頼にも対応可能なBtoBの法人向け運送サービスを始めました。このように運輸業界では、シェアリングエコノミーが多様な形で展開されています。

2. 航空業界にもシェアリングエコノミーの波

「空」と「海」で別れた明暗

90年代に入り航空業界では、機体の入手にリースという方法をとるようになりました。当初はファイナンスリースという長期貸し出しスタイルだったものが2000年前後の法改正によって禁止され、オペレーティングリースという比較的短期の貸し出しが一般的になります。
このオペレーティングリースを可能にしたのは世界中の航空機リース会社で、日本では大手商社が航空機リース市場に参入しました。格安航空会社(LCC)が台頭しており、価格競争がシビアになっている航空会社にとっても、巨額の資金を調達する必要がないリースはメリットが大きかったのです。こうして航空業界でのシェアリングエコノミーは機体リースという形で浸透しました。

一方海運業界では、世界的な経済活動の減速と中国経済の低迷により、能力過剰に陥っている現状があります。減価償却も進まない業界内で、新しいシェアリングエコノミーという仕組みの浸透はまったく進んでいません。

もちろん日本国内においても同じ状況です。そもそも船舶投資の歴史が浅い日本では業界内にビックプレーヤーもおらず、税制面なども厳しいことから投資家の注目はなかなか集まりません。

しかし海運業界は航空業界以上に高額の設備を必要とするため、シェアリングエコノミー企業が参入すれば、業界が大きく変化する可能性を持っています。

3.まとめ

物流・運輸業界を見渡してみると、シェアリングエコノミーを牽引するカーシェアリングを内包する一方で、投資家の注目すら集まりにくい海運事業も抱えるという、極端な現状に置かれています。物流・運輸業界が支える人や物のモビリティは、経済において重要な役割を果たしているため、市民に近いところから徐々に環境の変化が進んでいるようです。

いつか数十億、数百億する船舶をシェアリングエコノミーで活用する時代はくるのでしょうか。将来的な物流・運輸業界全体の動きに関心が高まります。

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