Pocket

日本政府観光局が2016年の訪日外国人観光客数が10月時点で2,000万人を超えたと発表し話題になりましたが、旅行者の急激な増加に伴い、大都市圏ではホテル不足が深刻な問題となってきています。また、国内のシェアリングエコノミーサービスの利用は、2020年の東京オリンピックに向けてさらなる増加が予想されます。今回は訪日外国人によるシェアリングエコノミーサービスの利用増加の背景とともに、注目されているサービスを紹介していきます。

目次

  1. 訪日外国人観光客によるシェアリングエコノミーの利用増加
  2. 訪日外国人観光客が注目するサービスとは
  3. まとめ

訪日外国人観光客によるシェアリングエコノミーの利用増加

世界におけるシェアリングエコノミーの市場規模は拡大しています。2013年に約150億ドルだった市場規模は、2025年には約3,350億ドルにまで成長すると予測されています。海外では日本に先んじて、多様なシェアリングサービスが始まっており、フランスで人気のライドシェアリングのマッチングサービス「BlaBlaCar」や手軽な自転車シェアサービスである「Velib」はとても有名です。

日本国内でも2014年度にUberやAirbnbなどの海外で先行的に普及したシェアリングエコノミーサービスが市場に参入し盛り上がりを見せていますが、同時に訪日外国人のシェアリングエコノミーサービス利用も増加してきています。

2020年には東京オリンピックも控えており、現在の倍近い4000万人 の外国人旅行者がこの国を訪れることになります。宿泊施設不足の問題や交通機関にかかる負担への対応策として、シェアリングサービスの数々が解決策のひとつになるのではないかと考えられているのです。民泊、オンライン駐車場予約サービス、ライドシェア、オンラインマッチングサービスなどのサービスを訪日外国人観光客が利用していくと予測されています。

また、2014年度から2020年度の国内シェアリングエコノミー国内市場規模全体の2014年度から2020年度の年平均成長率(CAGR)は17.1%となり、2020年度には600億円に達すると予測されています。こういった調査や予測からも、国内でよりシェアリングビジネスが注目されていくことは、必至であると考えられます。

訪日外国人観光客が注目するサービスとは

ここでは、訪日外国人観光客が注目するサービスを紹介します。日本人との交流の場を提供するものや、訪日外国人にもっと日本を知ってもらい、興味をもってもらえるようなサービスラインナップになっています。

TOMODACHI GUIDE

Huber.が提供している訪日外国人向け観光ガイドサービス「TOMODACHI GUIDEは、「友だちをつくることから旅を始める」をコンセプトに、通訳および現地案内人のペアと、訪日外国人をマッチングする、体験共有型のシェアリングエコノミーサービスです。

水族館に行って食事する、鉄道のガード下にある飲み屋街を散策するといったものから、日本の若年層に人気が高まっている「自宅タコ焼きパーティー」に外国人を招くものまであります。等身大の日本を知りたいという観光客のニーズを捉え、高評価を得ているサービスです。

また、ガイドに立候補しているのは東京都や神奈川県の大学生が中心で、共通点は「国際交流を強く望んでいる」「英語を学びたい」人たちであることです。旅行会社のプロが提供するものではないので、観光メニューも友人同士の小旅行のようなものであり、かえって等身大の日本を感じたいという外国人に受けているようです。

OTERA STAY

OTERA STAY」は、社寺での滞在・体験を通して、日本文化の魅力を多くの訪日外国人や若い日本人へ伝え、非日常的で有意義な体験ができるプログラムを社寺へ提案しています。利用者に対しては、社寺での朝の勤行や写経、座禅、講和、茶道、華道、香道、着付などの日本文化体験に加えて、和食や精進料理などの日本食体験など、本物の日本の良さに触れる機会を提供します。

特に外国人や若い日本人など、社寺との接点を持ちづらいが日本文化への関心の高い人たちを対象としています。また、社寺側には、集客したくても集客方法がわからないという関係者は多く、同社はこうした問題を解決するために、社寺と地域の新たな繋がりとブランド認知向上にも努めています。日本元来より地域のコミュニティの核となる存在である社寺の現代における新しい役割を創造し、社寺での出会いや繋がりからはじまる地域コミュニティづくりを目指しています。

とまりーな

過疎化が進む地域では、農業体験など地域の文化を活かした体験民泊による地方創生、都市部では、旅行客の増加による慢性的な宿不足の解消策として注目されている民泊。ここで紹介する「とまりーな」は、日本の民泊総合サイト「STAY JAPAN」の農林漁業体験民泊ブランドです。

農家に泊まって、地物の名産野菜を収穫したり、森林の間伐、炭焼き、まきで沸かす五右衛門風呂、山菜料理を体験したり、日本の里山を味わい尽くすことができます。恵み深い大自然のもとで暮らすホストさん達と、ゆったり構えながらも手まめに勤勉なリズムの田舎生活を共にすることで、日本人が大切にしてきた暮らしの魅力を知ることができます。全国の田舎の魅力を、いつでも気軽に、存分に体験いただくためのお手伝いと旅行スタイルの提案を行っています。

まとめ

紹介した訪日外国人観光客をターゲットとしたシェアリングエコノミーサービスの共通点として、訪日外国人向けに楽しんでもらえるサービスコンセプトであるのと同時に、日本人とのコミュニケーション機会を作ることも重要な目的としています。受け入れる側の日本人もこれまで以上にシェアリングエコノミーサービスを理解しうまく活用していくことで、訪日外国人にもより日本をより好きになってもらうことができるのではないでしょうか。

Pocket