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ここ数年の間に、みるみる発展を遂げてきたシェアリングエコノミーの数々。スマホを介して簡単に配車ができてしまうUberや、空き部屋を旅行者に宿泊先として提供する民泊のマッチングで人気のAirbnb……シェアリングのジャンルも多岐にわたり、あらゆるモノが有効活用され、人々の生活の価値を高めています。

しかし、シェアリングを活用できている人ばかりではありません。残念ながら、社会にはデジタル格差というべきものが生じてきているようです。

本記事では、米シンクタンク「ピュー・リサーチ・センター」のデータとともに、広がりつつあるシェア利用格差について紹介します。

目次

1.シェアリングに参加したことのない人々

  • 「シェアリングエコノミー」聞いたことあるのは3割弱

2.各サービスの利用率

  • 圧倒的認知度「ライドシェア」
  • X世代の利用率高いか「スペースシェア」
  • 利用は親密度に比例か「クラウドファンディング」

3.現状の格差をビジネスチャンスととらえる

  • 特定セグメントは潜在ニーズか、切り捨てか

4.まとめ

1.シェアリングに参加したことのない人々と広がっている格差

「シェアリングエコノミー」7割強が聞いたことない

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シェアリングエコノミーの多種多様なサービスが注目を集めるようになり、そのサービスが消費者の日常にもたらす影響は大きくなってきています。

アメリカでは、多くの人がシェアリングやオンデマンドサービスを利用しており、何かひとつでもそれらにカテゴライズされるサービスを使ったことがある、という人は72%であったことが分かっています。

しかし、そういったシェアリングエコノミーの恩恵とは無関係に生活するセグメントも存在しています。

シェアリングエコノミーのサービスでは、スマホ用アプリを介している場合が一般的ですが、調査の結果、こうしたアプリについて聞いたことがない、利用方法も分からないと回答した人々が28%も存在しました。

その要因として考えられることは2つあります。

1つ目として、シェアリングエコノミーに無関係であるセグメントは、デジタルリテラシーが低いことが挙げられます。高齢者で、普段スマホやPCを使うことがない、持っていないという層が該当するでしょう。

2つ目は情報感度が低い可能性です。「シェアリングエコノミー」という言葉を「聞いたことがない」と回答した人々は、7割強にも及びます。

シェアリングエコノミー関連サービスを使ったことがあるという人を含めてもたった3割しか言葉を認知していないことを考えると、最新のテクノロジーや経済市場の動向にうとい人々にはなかなか届かない現実があると考えられそうです。生活に便利なアイテムやサービスが登場しても、自分の生活には関係がないと、あえて情報を求めることが少ないのかもしれません。

シェアリングエコノミーの台頭が人々の生活を便利にしていることは事実であり、アメリカでそのサービスを体験することなく生活しているセグメントがこれだけ多いというのは驚きですが、ここ数年来に発展してきたビジネスであることを考えると、まだまだ浸透する途中とも言えるでしょう。

2.各サービスの利用率と現状

現在普及しつつあるいくつかのシェアリングエコノミー関連サービスのなかでも、特にサービスの認知度が高そうな分野について、サービスの利用率や利用者層、現状を見てみましょう。

新たな交通手段「ライドシェア」

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ライドシェアといえば、UberやLyftに代表される車の乗り合いサービスです。スマホアプリから、現在地に近い車をすぐ手配でき、従来のタクシー料金より格安で済むことから人気を呼んでいます。

そんなライドシェアですが、「ライドシェアのアプリを使ったことがある」と答えた人は、アメリカ成人のわずか15%にとどまりました。そして、「ライドシェア」という言葉を聞いたことがない人はその2倍も存在しました。

ライドシェア最大手のUberは、現在世界中に展開しており、利用できる国は58か国、300都市にものぼるといいます。

その発祥の地であるアメリカで利用度が低いことは意外ですが、ライドシェアを頻繁に利用する人たちは、車を所有していなかったり、車以外の交通機関を利用したりする傾向があるようです。

X世代の利用率高いか「スペースシェア」

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スペースシェア(ホームシェアリング)と呼ばれるサービスではAirbnbやHomeAwayが有名です。これらは世界中のユーザーに向け、一般家庭の部屋を旅行中の宿として使えるようマッチングしています。

スペースシェアにおいては、アメリカの成人の11%が「サービス利用経験がある」と回答しました。

さらに、ライドシェアのアプリより比較的広い年齢層の利用が見られました。意外にも、スペースシェアのユーザーは「18~24歳」が9%だったのに対し、「35~42歳」では倍近くの16%のユーザーが存在し、年齢中央値は42歳でした。

一方で、スペースシェアは慣れ親しんだ従来のホテルとは明らかに異なります。スペースシェアのユーザーの58%はこれらのサービスを、単純に滞在場所を探している人と空き部屋や家を持つ人をマッチングしているソフトに過ぎないと考えていた一方で、26%の人は提供される部屋のクオリティを保証し、ユーザーが快適に過ごせるようコントロールできるホスピタリティサービスだと捉えていました。

 

利用は親密度に比例か「クラウドファンディング」

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クラウドファンディングとは、起業家やクリエイターがインターネットを通じてビジネスに必要な資金調達をする方法です。クラウンドファンディングサービスのサイト上に、新しいプロジェクトの内容と必要な資金などの情報を掲載します。そして、そのアイディアに共感してくれた企業や個人が出資する仕組みです。

 

今回の調査では、アメリカ成人の22%がKickstarterやGoFundMeなどクラウドファンディングサイトを使ったことがあり、3%がこれらのサイトを通じて資金調達プロジェクトを作成した経験がありました。

多くの場合、友人や家族など親密度が高い人たちのプロジェクトに投資するようです。

 

3.現状の格差をビジネスチャンスととらえる

特定セグメントは潜在ニーズか、切り捨てか

調査から、アメリカでシェアリングサービスを利用しているセグメントは、大学生や18~24歳の若者、または世帯年収が10万ドルを超える層であることが分かりました。

言い換えると、共有型サービス未経験の特定セグメントは高齢者・貧困層であり、ここにデジタル格差が生じていることが考えられます。こういったサービス利用における格差は、見過ごすことができません。

 

そもそも、アメリカにおいても高齢者のスマホ所有率は18~29歳までの若年層に対して低いことが分かっています。アメリカ成人のスマホ所有率は68%、18~29歳では86%であったことに対し、65歳以上では30%でした(2015年時点)。

日本でも同様のデジタル格差について、社会的な課題のひとつとなっており、スマホやタブレットの普及が目指されています。

平成26年の通信利用動向調査では、日本の全世帯の64%以上がスマホを保有しており、世帯主の年齢階層別では世帯主の年齢が若いほど保有率が上がり、20歳代・30歳代で90%以上と高かったことに対し、60歳以上の高齢層では40%程度でした。

 

シェアリングエコノミーの数々は、クルマや家、様々なモノを新たに購入するよりもリーズナブルで、必要になった時に使えるという合理的手段であり、生活にまつわる様々なコストを下げてくれます。

デジタル格差が生み出す経済的格差を広げないためにも、既存サービスが届いていない特定セグメントを潜在ニーズと捉え、そこをターゲットとしたサービスを打ち出していくことが、新たなビジネスチャンスにつながるかもしれません。

 

まとめ

今回のピュー・リサーチ・センターのレポートにより、アメリカで現状として、シェアリングエコノミーに対する未経験の特定セグメントが存在していることが、浮き彫りになりました。多様なシェアリングサービスを活用できれば、人々の生活が飛躍的に便利になる可能性がありますが、幅広い普及にはまだ壁があると言えます。

アメリカだけの話に限らず、今後来るべき高齢化社会を見越して、日本でもデジタル格差を解消し、広い年齢層を対象とした魅力的なサービスがローンチされるようになるとより良いでしょう。

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