シェアリングエコノミーラボ (Sharing Economy Lab)

【保存版】 急成長! カーシェアリングの基本と国内外の市場動向まとめ

シェアリングエコノミーの1分野とされているカーシェアリングは、レンタカー事業をベースとしてはじまったことと国内の都市部には普及する要件が揃っていたこと、2004年に対面で車両の貸し出し業務を行う義務がなくなったことなどから、国内の市場規模はどんどん拡大しています。本記事では、「カーシェアリング比較360°」(株式会社ジェイティップス運営)のデータをもとに、国内カーシェア市場をまとめました。

※編集部注:

2019年3月12日に加筆修正しました。

2019年2月13日に加筆修正しました。

2018年1月19日に加筆修正しました。

2017年11月28日に加筆修正しました。

2017年3月31日に加筆修正しました。

目次

1.2018年の国内カーシェア市場に関して

  • そもそもカーシェアとは?
  • カーシェアの利用目的について
  • 成長し続ける国内市場
  • 全国で増え続けるカーステーション
  • 会員数における各社の動向

2.2020年以降の国内カーシェア市場に関して

  • 国内市場規模は295億円に?
  • 広がるカーシェア提携の動き
  • 新規参入する企業
  • 急がれる法整備
  • 自動車メーカーの動向

3.世界のカーシェア市場について

  • 世界のカーシェア事情
  • 欧米の大手自動車メーカーが新規参入
  • 国内メーカーも海外へ進出

4.まとめ

1.2018年の国内カーシェア市場に関して

そもそもカーシェアとは? 

世界に波及するシェアリングエコノミーの中で、その草創期から市場拡大を担ってきたカーシェアリングは、車を持っていない人でも車を気軽に使えるようにしたサービスです。

カーシェアには2タイプのサービスがあり、一つはカーシェア事業者が運営するもので国内の最大手にはタイムズカープラスがあります。現状は点在する駐車場を利用して、車の貸し出しをしています。もう一つはP2Pのカーシェアで、車を所有する個人が借りたい人に貸し出すもの。

車を借りるという点ではレンタカーが以前からありましたが、レンタカーとカーシェアの違いはレンタカーの場合長時間で不定期の利用が中心ですが、カーシェアは短時間で定期的な利用が対象です。またレンタカーは対人で手続きをしますが、カーシェアではスマートフォンやICカードを利用して予約や開錠が可能なこともサービスの違いです。

個人間カーシェアについては、まさにシェアリングエコノミーの理念である「遊休資産の利活用」に基づいているといえます。一般のオーナーがマイカーを使用していない時間に必要とする人に貸し出すサービスで、基本的にカーステーションなどはなく予約や承認などはアプリでやり取りし対面で受け渡しする形になります。国外では「Turo」「Getaround」などが知られています。

国内ではDeNAが運営する「Anyca」が有名ですが、2019年4月からはSOMPOホールディングスとの合弁会社が運営する「DeNA SOMPO Mobility」が個人間カーシェア事業を引き継ぐことが発表されました。安心という面で懸念されるCtoCに特化した保険の提供を検討することによりユーザーの不安を軽減し、実質0円でマイカーが持てる世界の実現を目指します。また、DeNAとSOMPOホールディングスは、同時にマイカーリース事業の合弁会社「DeNA SOMPO Carlife」の設立も発表しています。

2019年4月よりIDOMによる「GO2GO」もスタートするなど、個人間カ―シェアの分野においても、今後ますますの拡大が期待されます。

カーシェアの利用目的について

さらに、カーシェアはレンタカーと違って短時間でも利用しやすいことから、移動以外の用途でも活用されています。NTTドコモの調査によると、カーシェアを移動以外の目的で利用したことがある人のうち、約64%は「仮眠(休憩)」用のスペースとして利用していることが明らかになりました。その他にも「避暑/避寒」「読書」、家族や友人あるいは仕事上の「電話」、「着替え」といった用途が続き、今後利用してみたい用途としては「音楽鑑賞・オーディオ」「カラオケ」などの需要も見込まれています。車は外部に音が漏れにくく、冷暖房やテレビ、音響などの設備が整っていることから、休憩用の個室のような存在として重宝されているようです。こうした利便性や汎用性の高さはレンタカーとの大きな違いと言えるでしょう。

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またシェアリングエコノミーの一分野であるライドシェアでは、国内の「notteco」や海外の「Uber」「Lyft」らがありますが、どれも移動をシェアするもので、車+ドライバーありきのサービス。車自体を貸し借りするものではありません。

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成長し続ける国内市場

  • タイムズカープラス(22,928台)
  • オリックスカーシェア(2,787台)
  • カレコ・カーシェアリングクラブ(3,334台)
  • カリテコ(406台)
  • アースカー(180台)

2018年9月 各社車両台数

2015年以降、カーシェア市場での影響力は主要5社に絞られてきたとされています。主要5社とは、駐車場運営のパーク24グループ会社が経営する業界最大手「タイムズカープラス」、カーリース・レンタルで知られるオリックス自動車の「オリックスカーシェア」、三井不動産の子会社三井不動産レアルティの「カレコ・カーシェアリングクラブ」、名古屋を中心に展開している「カリテコ」、全国にフランチャイズ展開してる「アースカー」です。

カーシェアリング市場動向の2018年6~9月の集計によると、この主要5社の総車両台数は29,635台とされていますが、そのうちの23,000台近くを首位の「タイムズカープラス」が占めており、業界最大手の地位を確立しています。また、業界3位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」も増加数368台、伸び率12.4%と堅調に規模拡大が続いています。

2019年も、近年同様、利用者増への期待値が高いエリアを中心とした戦略が続くと見られ、利用者の利便性向上で200万人市場へ達すると予想されています。特に首位を独走する「タイムズカープラス」では、年間3,000台以上のペースで車両台数が増加、2019年12月には27,000台に達し、2020年中には30,000台の目標台数を達成する見込みです。

2017年に開始したNTTドコモが運営する「dカ―シェア」は、これまでオリックスカ―シェアのみとの提携でしたが、2018年11月より新しく「カレコ・カーシェアリングクラブ」と「カリテコ」の2事業も追加、車両台数6,400台・ステーション数3,900拠点超のサービスとなります。dカ―シェアには、通常のステーション制カ―シェアだけでなく、マイカーシェアなど個人間取引も含まれるため、今後ますますの幅広い利活用が期待されます。

全国で増え続けるカーステーション

2018年第三四半期にて、カーステーション数でも業界1位の「タイムズカープラス」は伸び率こそ3.5%ではありますが、増加数は382ヵ所で2位以下を大きく引き離しています。一方2位の「オリックスカーシェア」は30ヵ所の増加にとどまりました。また、3位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」が200ヵ所増え、伸び率も11.4%と、カーステーション数の面でも拡大し続けているといえます。

また、ステーション数でも圧倒的首位の「タイムズカープラス」は2018年に単独で11,000ヵ所のステーション数を突破しており、2019年も1,200~1,400ヵ所のステーション数増加が予想されます。

「タイムズカープラス」は2017年9月に佐賀県でサービス提供を開始したことにより、全都道府県展開を実現しました。2019年1月には紳士服のコナカと協同し、予約制駐車場マッチングサービス「B-Times」を開始するなど、今後もさらなるサービス拡大が期待されています。

  • 主要5社合計ステーション数

主要5社合計ステーション数推移

ステーション数で2位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」は、2017年の三井不動産リアルティとの吸収合併によって過去最大の増加を更新、2018年も車両台数1,000台超・ステーション数500ヵ所超の増加とそれ以上の拡大を遂げました。dカ―シェアへの参入によって利用者数増加が予想されているため、2019年も引き続きそれ以上の拡大が見込まれています。

今後も、ステーション数や個人間取引による受け渡し拠点が増えることによって、カ―シェアはますます浸透していくと期待されるでしょう。

会員数における各社の動向

会員数の推移においても「タイムズカープラス」は圧倒的首位。

2018年6月には会員数が100万人を突破し、業界シェアの7割以上を占めています。増加に合わせるように駐車場数も伸びており、2018年10月時点では直営と管理を受託している駐車場を合わせると全国に18,981ヵ所。前年10月と比較すると、700ヵ所以上増えており、業界トップを独走する状態となっています。

法人に強いとされる「オリックスカーシェア」は、2019年にはレンタカー店舗と併設することにより全国展開する予定で、今後ますますの会員数の増加が見込まれます。

「カレコ・カーシェアリングクラブ」もメルセデス・ベンツ新型Aクラス「A 180 Style」など、最新設備を備えた高級車を積極的に導入するなど、他社との差別化を図ることによって会員獲得を推進しています。

また、ホンダや日産など国内自動車メーカー各社の勢力が拡大傾向にあり、ホンダは会員数16,000人と、業界第4位、5位のカリテコやアース・カーに迫る勢いです。

2.2020年以降の国内カーシェア市場に関して

国内市場規模は295億円に?

矢野経済研究所の調べでは、2014年のカーシェア市場規模は前年比40%以上増加で154億円でした。要因として、カーステーションや車両数の増加によって、基盤が充実しユーザーの利便性が高まってきたことが挙げられています。また法人利用が増えたことも要因のひとつとされています。

2020年のカーシェア市場規模は、2014年比でおよそ倍の295億円と予測されています。

また、富士経済が2019年2月に発表した「自動車関連インフラシステム/パーキング&シェアサービスの市場予測」によると、カ―シェアリングのみの市場においても、2017年の約29億円から2018年は36億円と124%まで拡大、2030年は2017年に比べ9倍となる260億円まで拡大すると予測されています

加えて注目したいのは、日本では普及がなかなか進まないライドシェア市場の予測です。白タク行為が日本では規制されているため、あくまで「同じ目的地へ向かう利用者とドライバーをマッチングさせ、燃料費や通行料などをシェアするという形のサービス」での仲介料を利益とした市場においても、2025年頃から急速に市場が活性化し、2030年には131億円の市場に拡大すると見られています

2018年は1,964億円が見込まれた駐車場のインフラシステム市場においては、2030年には4,996億円市場にまで拡大すると予測されています。背景として、都心の一部や中核都市の郊外部における商業施設を中心に需要が期待される“自走式立体駐車場(プレハブ・建物型)”の伸びが今後も期待されること。また“駐車場管制・案内システム”など一部需要は減少すると予測されている項目もありますが、一方で一部の利用者に限られる市場が一定規模で形成されると見られています。

例えば、狭い駐車場を苦手とするドライバーのための、社外から車両をコントロールする「リモート駐車システム」や、EVやPHVなど充電が必要な自動車の普及拡大も今後見込まれることから「普通充電器・急速充電器」の需要などについては高まる見込みだということです。

「公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団」は2018年3月の調査において、業界全体でカーシェアの会員数は132万人に達していると報じました2018年9月末現在自社車両23,000台の「タイムズカープラス」が、2020年には30,000台まで増やす考えをあきらかにしているとこのことで、市場規模の予測とも連動しているようです。

カーシェアリングのようなインフラサービスは規模のメリットが作用する事業だといえます。カーステーションや車両数の増加にしたがって事業者の採算が向上し、ユーザーの利便性も高まっていきます。利用者数が頭打ちになるまでは、しばらくは市場規模の成長が望めるのではないでしょうか。

今後は市場規模だけでなく、サービスの多様化にも注目が集まっていくでしょう。利用できる車両タイプにも幅が出てくると考えられます。2015年には「タイムズカープラス」がファミリーマートとの提携を発表しました。コンビニの立地によっては大きく利便性が向上するだけでなく、車への興味が低いとされる若年層への認知獲得効果も期待できそうです。また、コンビニは海外でも知名度があるので訪日外国人の利用促進につながるのではないかと、この提携に注目が集まっています。

広がるカーシェア提携の動き

国内のカーシェアリング事業者では、オリックスカーシェアリングが駐車場シェアサービスの軒先パーキングと提携して、オリックスカーシェアの会員であれば軒先パーキングを予約時表示価格から1割引きで利用できるサービスを開始しました。

トヨタはライドシェアのUberとの協業に続き、米P2PカーシェアサービスのGetaroundとの協業を発表しました。これによりトヨタはGetaroundユーザーにレクサスのリースプログラムの提供と、Getaroundの市場であるサンフランシスコで、自社が開発したスマートキーボックスのプログラム実証を開始することになります。このスマートキーボックスとは、インターネットとつながった車のダッシュボックスに設置すると、スマホ経由でキーの開閉をしたり、エンジンを始動させたりできるデバイスです。

トヨタはこのスマートキーボックスをはじめ、これまで開発してきたシステムやプログラムをモビリティサービスプログラムと名付け、自社のサービスプラットフォームとし、これを利用して今後さまざまな事業者と提携し、新たなモビリティ社会の創造に挑むとしています。

また、トヨタの金融サービス部門と連携することで、GetaroundオーナーはGetaroundで得た収益からトヨタ車の購入代金を引き落とせるようになります。オーナーを自動的に招くことができるのですから、当然のごとくトヨタは自社の市場シェアを拡大させることができ、双方にとってプラスに。メリットが大きいため、最近ではトヨタ以外の車メーカーもカーシェアに参入してきています。

2017年12月、JR東日本とディー・エヌ・エー(DeNA)は、DeNAが提供する個人間カーシェアリングサービス「Anyca(エニカ)」を活用し、JR東日本レンタリースの保有車両を無人で貸し出すサービスの実証実験を開始しました。この実験は、Anycaを通じて車両を利用したいユーザーとJR東日本レンタリースが所有する車両をマッチングし、貸し出し手続きを無人した場合の利便性や利用者のニーズを検証するものです。また、駅からの2次交通をスムーズに手配することで、地域の活性化や利便性の向上にもつながると考えられています。

利用者は事前にAnycaのスマートフォンアプリで車両を予約し、クレジットカードで決済を行います。利用対象となる車両にはアプリで解錠・施錠ができる機能が搭載され、車両の乗り出しから返却までを対面での手続きなく完了できます。実施期間は2017年12月18日から2018年6月末までを予定しており、JR東日本とディー・エヌ・エー(DeNA)では、この実験結果を元に駅周辺の2次交通を整備し、観光客や地域住民の利便性向上に向けた検討を行うと発表しています。

2018年10月には、Anycaサービス開始より3年で登録会員数17万人超、登録車数6,000台を突破したと発表、うち東京都が登録車数の3分の1を占め、主要都市圏を中心に順調に拡大されているということです。

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新規参入する企業

2017年5月に投資ファンドを立ち上げたソフトバンクグループはuberに出資することが明らかになりました。孫正義社長はカーシェアを「非常に重要な業界」と位置づけ、全世界でライドシェア事業の拡大を狙っていく予定だとコメントしています。一方で、NTTドコモもカーシェアリングサービス「dカーシェア」を11月から提供することを発表。さらにHondaもこれまで行ってきたレンタカーサービスにカーシェアの特徴を組み入れた新ブランド「EveryGo」を立ち上げました。続々と参入企業が増えてきており、今後もこの傾向はしばらく続きそうです。

シェアリングエコノミーの普及を受け、保険業界にも新しい動きが出ています。2017年12月27日、東京海上日動火災保険株式会社では、業界初の 「シェアリングエコノミーに対応した自動車保険」の販売を開始しました。通常、シェアリングエコノミーサービスの利用者がレンタルした自動車の利用中に事故を起こした場合、その損害は利用者本人が加入している自動車保険によって保障されます。あるいは事業者ごとに1日単位の自動車保険といった補償制度を設けている場合もありますが、どちらにせよ状況によっては十分な補償が受けられない可能性もあります。

しかし、「シェアリングエコノミーに対応した自動車保険」は利用者や事業者が加入している当該自動車保険の支払い額を超過する場合、あるいは免責によって支払いができない場合等に不足額を補償する「上乗せ補償」となっているため、より円滑な被害者救済が実現することになります。シェアリングエコノミーを前提とした保険の登場によって、さらなるカーシェアの普及やサービスの充実が促進されていくでしょう。

急がれる法整備

このように経済界でも大きな注目を集めているカーシェアリングですが、法整備がまだ整っていないことが問題となっています。営業許可を取らずに自家用車で配送サービスを行い、報酬を得ることは現行では違法にあたります。また、タクシードライバーなどが保有している免許は通常の自動車免許と違い、二種免許と呼ばれる商業活動用のもの。さらに、プロのタクシードライバーは事故対応できる自動車保険に加入していますが、ライドシェアのドライバーたちは、事故のことを考慮していないことがほとんどでしょう。本職のタクシードライバーとカーシェアのドライバーの立ち位置の違いをどうするのか、事故や問題が起きたときにどう対応していくのかなど、問題は山積みです。法整備がまだ追いついていないため、いざというときの危険性をはらんでいることは否めません。市場拡大と同時に、一刻も早い法整備が期待されます。

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ライドシェアリングへの海外および日本での法規制について

自動車メーカーの動向

日産自動車は時代の流れを汲んで電気自動車でのカーシェア事業参入を決定。2018年1月15日より、カーシェアリングサービス「NISSAN e-シェアモビ」を開始しました。同サービスでは、日産の主力電気自動車(EV)である「リーフ」や小型ハイブリッド車(HV)の「ノートe-Power」を約30のステーションに配備。まずは東京都や大阪府など9都府県でサービスを展開し、対象車種や地域は順次拡大される見込みです。サービスを利用する場合は事前にインターネットでの登録が必要となり、それ以降はスマートフォンでの予約が可能。乗車時は読み取り部に免許証をかざすだけでドアを開閉でき、免許証をそのままIDカードとして利用できる仕様となっています。同社ではこうしたサービスでカーシェア需要を満たすとともに、リーフに搭載された自動運転技術やEV性能を体感してもらうことで新車販売につなげる狙いもあるようです。

さらに 2017年12月に大阪で開始したホンダのレンタカー&カ―シェアリングサービス「EveryGo」は、2019年1月より車両検索や予約が手軽に行えるアプリサービスをリリース、ますます利便性を高めています。2018年10月時点のステーション数が約100ヵ所、会員数が13,000人となっており、「NISSAN e-シェアモビ」も新ステーションを続々オープン、2018年度内に500ヵ所まで増設する予定です。

またトヨタも実証実験として、東京都中野区など都内の一部においてカ―シェアサービス「TOYOTA SHARE」を開始しており、15分150円からなどショート料金も設定、今後の本格参入を目指しています。

“車は所有するよりシェアする時代”という世の中の流れにともない、自動車メーカーも販売だけでなくカ―シェアサービス事業へ続々と参入、存続をかけた戦略を打ち出しています。自動車メーカーは、各地に販売拠点・整備拠点があるため、そこを同時にカ―シェア拠点として利用することができるのもメリットです。また自社の車をシェアリングに利用することによって実際の暮らしやレジャーに取り入れられる試乗としてアピールすることも可能といえます。

ディーラー運営ならではの安心感や車種の豊富さなど、一般的なカ―シェアリング事業にはないメリットが多い反面、車以外での移動が不便な場所にあるなどのデメリットもありますが、車種にこだわりたいなど新たな層の利用も期待されています。

3.世界のカーシェア市場について

世界のカーシェア事情

「公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団」の2018年5月に発表した調査結果によると、我が国のカーシェリング車両ステーション数は14,941カ所。車両台数は29,208台。会員数は、130万人を超え、前年より22%増となっています。

これに対し、他の主要諸国の状況はどうでしょうか。2016年の調査によると、国民全体に対するカーシェアリング普及率は、2013年時点で、アメリカ0.29%、ドイツ0.33%、イギリス0.26%、カナダ0.40%という結果になりました。

1987年に世界で初めてカーシェアリングが誕生したスイスでは、普及率1.31%と群を抜いています。1997年以降、スイス政府がエネルギー対策の一環として、カーシェアリングを公共機関の一つに位置づけてから、急成長を遂げました。高い普及率も政府のバックアップあっての数値といえます。

スイスでカーシェアリングが誕生した翌年に、ドイツで導入されました。循環型持続社会への意識が高いドイツ人に自然と受けいれられ、2015年時点で、国内の利用者は104万人に上りました。普及率は1.2%となり、2013年より0.87ポイントも上昇。スイスの普及率に近づきました。

アメリカでは、レンタカー大手のAvis Budgetがカー シェアリング大手のZipcarを買収し、全米500以上の都市でカーシェアを展開しています

欧米の大手自動車メーカーが新規参入

カーシェアリングの急成長とともに、新車販売台数の減少も指摘されています。これに危機感を抱いた世界有数の自動車メーカーであるフォード、BMW、GMが続々とカーシェアリング市場に参入しています。

フォードは、2016年9月にサンフランシスコの乗り合いバスサービスの「Chariot」を買収し、自転車シェアのスタートアップ企業であるMotivateへのスポンサーシップを開始すると発表しました。自社の子会社となる「フォード・スマート・モビリティ」のサービスを、サンフランシスコを皮切りに、今後1年半以内に全米5都市に拡充していくとのことです。

BMWは2016年4月より「ReachNow」というカーシェアサービスを開始しました。スマホのアプリだけで、同社のminiを1分単位でいつでもどこまで借りることができ、どこでも乗り捨て可能というシステムが受け入れられ、エリア拡大を計画しています。

アメリカのGM社も、2016年1月に、ライドシェア大手Lyftに5億ドルの出資を行い、カーシェアサービスの「Maven」を創設しました。ワシントンDCやシカゴでサービスを開始。2014年3月には、自動運転技術のベンチャー企業である「Cruise」を10億ドル(約1,100億円)という破格の値段で買収しました。今後は、 Lyftと共同で、自動運転車によるライドシェアを計画中であることを発表しています。

国内メーカーも海外へ進出

国内の自動車メーカー各社もカ―シェア事業へ参入、海外への進出を開始しています。

トヨタは、カ―シェアを含むモビリティサービス普及に向けたプラットフォームの構築を推進、米国Getaroundとの協業を開始したほか、同じく米国Uberにライドシェア専用車両を導入するなど協業を拡大するなど海外企業との提携を深めています。

またトヨタは、2018年に、スマートフォンによるドア開閉システム「スマートキーボックス」を用いた実証事業として、米国ハワイ州にあるトヨタ販売代理店Servco社とカーシェアサービス「Hui」を開始。ホノルル市内でのカ―シェア事業も稼働させました。

ホンダはシンガポールのGrabと提携し、東南アジアにおける二輪車シェアリング事業を展開しています。また2019年1月には、ホンダ米国部門が米国カーシェアリング大手Zipcar社との戦略的提携の拡大を発表、数百台もの最新車をカーシェアリング車両として導入する考えです。

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4.まとめ

今後市場が拡大するにつれて、カーシェアサービスは規模のメリットからますます認知度も高まり、もっと身近なものになっていくでしょう。これまで利益が相反すると考えられていた自動車業界も、今後は製造だけでなくモビリティサービス事業への柔軟で敏捷な対応が不可欠であるといっても過言ではありません。

自動車業界は世界的にカーシェアサービスとの共生路線に向かう傾向にあり、この業務提携によって自動車業界の活性化も期待されています。

将来は人やモノを移動させる手段はもはや所有ではなくシェア(共有)が当たり前になるのでしょうか。これからもカーシェアリングから目が離せません。


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