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共働き世帯や単身世帯の増加によって需要が拡大している「家事代行サービス」。料理や掃除などの日常的な家事をアウトソーシングし、時間を有効活用できるシェアリングサービスとして人気を集めています。

また、直接雇用契約を結ぶ家政婦とは違い、家事代行サービスの場合は運営会社が間に入るのが一般的で、面倒な手続きが少なく、安価で短期的に利用できる手軽さも魅力の1つです。

今回は、成長する家事代行サービスの市場規模や新たな動きについて解説し、主な家事代行サービス事業者の特徴についてご紹介していきます。

※編集部注:

2018年2月14日に加筆修正しました。

目次

  1. 家事代行サービスの市場規模
    ・サービスの利用者について
    ・育児の強い味方に
  2. 主な家事代行シェアリングサービス6選
    ・ANYTIMES

    ・CaSy
    ・タスカジ
    ・ベアーズ
    ・DMM Okan
    ・カジタク
  3. 家事代行サービスの新たな動き
  4. まとめ

1.家事代行サービスの市場規模

・サービスの利用者について 

近年、共働き世帯や単身世帯の増加によって注目を集めている「家事代行サービス」。家事代行サービスとは、料理や掃除などの日常的な家事をプロのスタッフが代行してくれるサービスを指します。

特に共働き世帯や単身世帯での利用率が高く、野村総合研究所の調査によると利用者のうち約76%が共働き世帯という数字も出ています。また、別の調査では30代独身男性の利用率が高いという結果もあるようです。

2014年に経済産業省が発表した「家事支援サービスについて」という資料によると、家事代行サービスの市場規模は2012年度の980億円(見込)から将来的に約6,000億円まで成長すると推測されています。

また、政府は女性の社会進出を促進するため家事支援サービスの環境整備に取り組んでおり、こうした後押しもあって家事代行サービス市場は今後もさらなる成長が期待されます。

・育児の強い味方に 

日本では共働きであっても家事・育児の負担を女性が担う家庭が多く、ワンオペ育児という言葉も登場し問題視されています。政府は女性の社会進出を促進させたいのですが、核家族化が進む現代社会では、かつてのように3世代が協力して暮らすような構図は失われ、働く女性の負担は重くなる一方です。

そこで注目を集めるのがシェアリングエコノミーとしての家事代行サービスです。家政婦を依頼するというと敷居が高いイメージですが、家事代行サービスの多くはインターネット上で気軽に利用できることから、新たなニーズを生んでいます。

家事代行サービスのベアーズの産前産後向けパッケージ「Welcome baby 出産応援プラン」では、あらゆる家事を依頼できます。家族のサポートが得られない場合でも、ママが安心して快適に過ごせるように、一定期間を連日で利用できるサービスです。

子育てシェアを謳うAsMamaは、子どもの送り迎えや一時預かりをスマートフォンアプリ上で、近隣の知り合いに依頼したり引き受けたりするマッチングプラットフォームです。知り合い同士であっても、直接やり取りするとなるとかなりの親密度が求められるもの。マッチングサービスにすることで気兼ねなく利用できるのが人気の秘訣です。

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2.主な家事代行シェアリングサービス6選

ここでは、主な家事代行サービス事業者の概要や特徴について紹介していきます。(※単価はすべてスポット依頼の場合)

・ANYTIMES

https://www.any-times.com/

・1時間の単価:2,000円~(目安)
・3時間の単価:6,000円~(目安)
・対応可能家事:料理、掃除、買い物、習い事、引越しの手伝い、ペットの世話、育児など
・対応エリア:日本全国
・対応時間:指定なし

「ANYTIMES(エニタイムズ)」は、日常の困り事を簡単に依頼・請負できるスキルシェアのプラットフォームです。サービスを受けたい人とスキルを提供したい人を結びつけるマッチングサービスであるため、家事以外にも習い事や引越しの手伝いといった幅広いサービスが提供されています。

気軽に利用できる一方、スキル提供者が一般人であることから品質が不安視されていましたが、大手家事代行サービス「BEARS」との業務提携を開始し、提供者の品質向上に努めています。

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・CaSy

https://casy.co.jp/

・1時間の単価:2,500円+消費税+交通費700円
・3時間の単価:7,500円+消費税+交通費700円
・対応可能家事:料理、掃除、ハウスクリーニング、買い物
・対応エリア:東京都/神奈川県/千葉県/埼玉県/大阪府/兵庫県の一部
・対応時間:8:00~20:00

24時間365日、簡単に予約ができる「CaSy(カジー)」。その利便性はもちろん、リーズナブルな価格設定も人気のポイントです。利用頻度が高くなるほど割安にはなるものの、スポットでの依頼も可能なため気軽に利用できます。また、希望日時の3時間前まで予約可能な「直前リクエスト」というサービスもあり、急な来客や予定変更があった際に重宝しそうです。

さらに、カジーは後述する法人との業務提携を積極的に行っている点でも注目を集めています。

 

タスカジ

https://taskaji.jp/

・1時間の単価: 1,850円~2,600円(※キーパーのランクによって異なる)+交通費実費
・3時間の単価: 5,550円~7,800円(※キーパーのランクによって異なる)+交通費実費
・対応可能家事:掃除、整理収納、洗濯、買い物、料理、作り置き、ペットケア(室内)、チャイルドケア(保護者同席)
・対応エリア:東京都/神奈川県/千葉県/埼玉県/大阪府/兵庫県/京都府/和歌山県/奈良県/滋賀県の一部
・対応時間:9:00~21:00

エニタイムズと同じく、「タスカジ」も利用者と“タスカジさん”と呼ばれるハウスキーパーのマッチングを行うシェアリングエコノミーサービスです。料金はキーパーの経験を基にしたランクで分けられ、最安ランクの場合は1時間1,850円という安価で利用できます。

タスカジはキーパーとして外国人を豊富に採用しているのも特徴的で、特に英語が堪能で家事力が高いフィリピン人が多く登録されています。日本語レベルは人によってバラつきがあるため注意が必要ですが、異文化交流や子どもの英才教育を目的に、あえて外国人のキーパーを指名する利用者もいるようです。

 

Bears

https://www.happy-bears.com/

・1時間の単価:4,000円~+消費税+交通費900円
・3時間の単価:12,000円~+消費税+交通費900円
・対応可能家事:掃除、料理、買い物、洗濯などの家事全般、ハウスクリーニング、キッズ・ベビーシッター、高齢者支援など
・対応エリア:北海道/茨城県/東京都/神奈川県/千葉県/埼玉県/愛知県/大阪府/兵庫県/京都府/奈良県/福岡県
・対応時間:9:00~20:00

家事代行サービスのリーディングカンパニーである「Bears(ベアーズ)」。他社と比べると料金設定は高めですが、業界トップクラスの顧客を保有し、品質面での安心感は一線を画しています。一般的な家事に加え、郵便受け取りや役所の手続きといった細かなニーズに対応している点も特徴です。

また、男性スタッフが力仕事を行う「マッスルベアーズ」というサービスや、体験型ギフトとしてベアーズの家事代行サービスをプレゼントできる制度などユニークな試みも行っています。

 

・DMM Okan

https://okan.dmm.com/

・1時間の単価:2,400円(消費税、交通費込み)
・3時間の単価:7,200円(消費税、交通費込み)
・対応可能家事:掃除(屋内外)、洗濯、料理、アイロンがけ、衣類の修繕、買い物など
・対応エリア:北海道/宮城県/東京都/埼玉県/千葉県/神奈川県/愛知県/京都府/大阪府/兵庫県/広島県/福岡県の一部
・対応時間:7:00~22:00

株式会社DMM.comが提供している「DMM Okan(おかん)」。特徴的な名前の通り、 “Okan”(おかん)と呼ばれる担当者が家事を代行してくれるサービスです。アプリを使って簡単に利用でき、細かい依頼内容もチャットで担当者に直接伝えることができます。独自のシステムによって依頼に最適な担当者をマッチングしてくれるため、自分で選ぶのは面倒という人にもおすすめです。

また、交通費別途という事業者が多い中、DMM Okanでは交通費も料金に含まれており、料金体系がシンプルでわかりやすい点も人気となっています。

 

・カジタク

https://www.kajitaku.com/

・2時間の単価:12,200円~+消費税+交通費960円(家事代行・整理整頓「お助けパック(スポット)」の金額)
・3時間の単価:16,980円~+消費税+交通費960円(家事代行・整理整頓「お助けパック(スポット)」の金額)
・対応可能家事:ハウスクリーニング、宅配クリーニング、家事代行・整理整頓
・対応エリア:ハウスクリーニング、宅配クリーニングは日本全国対応(一部離島を除く)、家事代行・整理整頓は東京都23区(定期サービスは千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、品川区、目黒区、渋谷区のみ)
・対応時間:9:00~21:00

イオングループの看板をひっさげ、家事宅配サービスの全国展開をもくろむ「Kajitaku」は、ハウスクリーニング、宅配クリーニング、家事代行・整理整頓と3つのサービスを網羅しています。家事代行・整理整頓を利用できる地域は限定されていますが、そのほかのサービスは全国のほとんどの地域で利用可能となっています。

送られた人がエアコンやレンジフードなどから選んで予約できる「選べるお掃除ギフト」は、新しいタイプの贈り物として、母の日や敬老の日での需要が見込まれます。

 

3.家事代行サービスの新たな動き

先述したカジーはTEPCO i-フロンティアズ株式会社エン・ジャパン株式会社と業務提携を開始し、提携企業の顧客や社員に対して割引価格で家事代行サービスを提供するテストマーケティングを行っています。カジーにとっては利用者を新規開拓でき、企業側にとっても家事負担を減らすことで顧客や社員のQOL(生活の質)向上といったメリットが考えられます。

また、カジーでは家事代行スタッフが厳選した掃除グッズをセット販売するなど、生活に役立つ情報やアイテムを提供することで固定ファンの獲得にも乗り出しています。

タスカジの紹介でも触れましたが、外国人キーパーの需要も徐々に高まりつつあり、外国人家事代行サービスのパイオニアである「ピナイ家政婦サービス」では2017年12月にフィリピン人家事支援人材8名を追加で受け入れました。今後、家事代行サービスは外国人労働者の就職先としても注目を集めそうです。

 

4.まとめ

共働き世帯や単身世帯の増加によって注目を集めている家事代行サービス。ライフスタイルの変化はもちろん、女性の社会進出が進む現代では「家事=主婦の仕事」という考え方も薄れつつあり、こうした意識の変化こそが家事をアウトソーシングすることへの抵抗を少なくしているのかもしれません。

また、シェアリングサービスの流行によって余暇時間や家事のスキルを有効活用したいと考える人が増えたことも需要拡大の要因と言えるでしょう。

市場の成長に伴い、今後はさらなるサービスの充実や多様化が求められ、いかに他社との差別化を図っていくかが飛躍のカギとなりそうです。

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