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2018年、福岡市で電動キックボードをシェアする実証実験を行うことが採択されました。スタートアップのAnyPay株式会社の実証実験を福岡市が全面支援し、将来的に新たな交通手段の一つとなることを目指しています。電動キックボードはスムーズに移動でき、手軽に利用できることからすでにアメリカで人気を博しています。しかし、放置されたキックボードや安全面での問題などがすでに課題となっています。

今回はアメリカで人気の電動キックボードシェアの企業であるBird・Lime・Spinを紹介しながら、日本での導入やライドシェアの今後について考えます。

目次

  1. 福岡でキックボードの実証実験が開始
    ・福岡市の実証実験プロジェクトとは
    ・採択されたAnyPay株式会社とは
  2. アメリカで流行中の電動キックボードシェア
    ・人気の理由
    ・今後解決すべき問題
  3. 電動キックボードシェアサービス3選
    ・Bird
    ・Lime
    ・Spin
  4. まとめ

1.福岡でキックボードの実証実験が開始

福岡市の実証実験プロジェクトとは

近年、自治体が提供するサービスに民間企業が持つ技術を連携させることにより、住民のニーズに応え、より質の高いサービスを提供することが一般的になりつつあります。特に力を入れている自治体として、福岡市が挙げられます。福岡市は「mirai@」というプロジェクトで民間企業と協働で事業を行ったり、実証実験をサポートしたりといった活動を行っています。

これにより、LINE株式会社と包括協定を結んでより効率的な情報発信や、スマートフォン販売を行うアンカーと協働して災害時におけるポータブル電源の供給などのサービスが今後可能となりました。

2018年度に福岡市が採択したmirai@の実証実験プロジェクトの中には、九州電力と株式会社マッシュルームによる「スマートフォン制御型宅配ボックスによる再配達問題の解決」、ドレミング株式会社による「あらゆる人が金融サービスを受けることができるキャッシュレス社会の実現に向けた臨時手当決済サービス」などがあります。

さらに、2018年12月に採択が決まった第2期採択プロジェクトの中には、「シェア型電動キックボードによる域内移動効率化、ラストワンマイル問題の解決」があります。これは、既存のシェアバイクのように電動キックボードをシェアすることを新たな交通手段として利用できるかを検証するものです。

採択されたAnyPay株式会社とは

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https://mobility.anypay.jp/

mirai@で「シェア型電動キックボードによる域内移動効率化、ラストワンマイル問題の解決」の実証実験フルサポート事業が採択されたAnyPay株式会社は、2016年に設立されたばかりのスタートアップ企業で、オンライン決済サービスやブロックチェーン関連事業などで成果を挙げています。

今回の実証実験を行う交通手段である電動キックボードは、スペースを取らず手軽に乗ることができるので、街中の移動のみならず観光地やテーマパークでの移動手段としても期待できます。福岡市は日本五大都市の一つであり、ビジネスや観光の際の手段として、また日常のラストワンマイル(目的地までの最終移動区間)を移動する手段として、手軽に利用できる乗り物が求められる地域といえます。

今回採択された実験は電動キックボードを特定エリアに配備し、域内移動の活性化・効率化を図るとともに、ラストマイルを支える新たな交通インフラを目指し、利用ニーズ・料金体系などについて検証していく方針です。

 

2.アメリカで流行中の電動キックボードシェア

人気の理由

電動キックボードをシェアして日常の交通手段とすることは、アメリカではすでに一般的になりつつあります。

アメリカの電動キックボードシェアの現場では、キックボードにGPSを搭載しており、ユーザーはこれによってキックボードの位置を把握し、アプリでQRコードを読み込むことによって解錠し、利用しています。この仕組みにより、乗り捨てが可能であることも人気の理由の一つです。

そもそも、なぜアメリカで電動キックボードのシェアが人気を集めているかというと、UberやLyftの人気が高まってカーシェアが普及したことから交通渋滞が大きな社会問題となったことが背景として考えられています。たくさんの人が集まる駅や空港周辺はもちろんのこと、住宅街でも地元民以外の人が流入しやすくなって渋滞が起こりやすくなり、アメリカの交通渋滞は深刻化しています。

そんななかで、自動車とは別のレーンを通ることで渋滞を避けられ、手軽な料金(基本料金1ドル+1分あたり15セントの従量制)で利用できる電動キックボードシェアリングが注目を集めるのは自然な流れだったのかもしれません。都市部の交通渋滞は日本でも問題視されているので、今後日本でも電動キックボードが新たな交通手段の一つとして認知される可能性は高いのではないでしょうか。

今後解決すべき問題

電動キックボードの魅力として、渋滞に巻き込まれずにスムーズに移動できること、場所をとらないことから駐輪場が不要であることなどが挙げられます。

しかし、このメリットがゆえに、立ちはだかる問題があります。実際、現在アメリカでは電動キックボードが街中に放置されてしまい、美観や安全面を損ねるということが問題となっています。

また、交通事故のリスクも考えられます。キックボードを利用する人は自動車による渋滞を避けたいという気持ちと、利用時間が長くなるにつれて料金が上がるということから、少しでも早く目的地に着くためにスピードを出すことが多く、自ずと接触や転倒のリスクも高まると考えられます。

また、現在サンフランシスコ市では上記の問題からシェアリング電動キックボードを提供する3つの会社に対して交通局の認可が下りず、2018年には運営を中止するということもありました。

交通局はまず半年間で1250台の利用を許可し、軌道に乗ればその後の半年間で2500台に増やすという規制案を提案していますが、この台数ではニーズに追いついていないというのが実情で、早急な拡充が求められています。

 

3.電動キックボードシェアサービス3選

Bird

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https://www.bird.co/

Birdは2017年に誕生したばかりですが、急速に成長し、史上最速でユニコーン企業になったことが記憶に新しい新興巨大企業です。ローンチの際にはUber出身のCEOが近距離移動の交通手段のシェアを手がけるということで話題となりました。

2018年にはBird Zeroと呼ばれるカスタムメイドの電動キックボードをすることを発表しました。これは、従来のキックボードよりもバッテリー容量が60%大きく、安全性や耐久性にも優れています。シェアすることに重点を置いたオリジナルのキックボードで他者との差別化を図っています。

Lime-S

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https://www.li.me/

Lime-Sもまたアメリカのシェアリング電動キックボードを提供する会社です。2017年のサービススタートからわずか1年で全米と欧州70ヶ所にサービスを拡充し、ユニコーン企業の仲間入りを果たしました。2018年には「Respect The Ride(乗車について配慮しよう)」というキャンペーンを行うことを発表しました。この取り組みにはスクーターの改良、ヘルメット着用の広告キャンペーン、スクーターの乗り方レッスンなどが含まれており、300万ドル(約3億4200万円)を費やして行われる見込みです。

Spin

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https://www.spin.app/

Spinはもともとアメリカで電動自転車のシェアビジネスを行っていた会社ですが、近年は電動キックボードのサービスにも注力しています。全米の数都市ほか、5つの大学内でもサービスを展開していることが特徴です。

2018年にサンフランシスコ交通局がシェアリング電動キックボードの運営を中止させた際には、街からキックボードを撤去させられ、事業展開の許可が下りなかったことから、ここ最近は静かなスタートアップだと認識されていました。しかし、2018年11月にはフォード社がSpinを買収するというビッグニュースが報じられます。フォード社は自動運転時代の到来に備えて、モビリティ部門の戦略を補完するためにSpinを買収する意向と見られ、今後の動向が注目されます。

 

4.まとめ

モビリティシェアの手段としてはすでにカーシェアや自転車シェアが世界中に知られ、日本でも幾つかのサービスが普及しつつあります。そんな中、電動キックボードが選択肢に加わることによって、上記2つのサービスに不可欠な駐車場や駐輪場の問題を解消することができます。また、住宅地はもとより観光地やテーマパークなどで利用できることから、地元の利用者のみならず観光客にも利便性が感じられることもメリットです。

何より、モビリティシェアの選択肢が増えることにより、その時の状況に合わせて交通手段を選べるようになり、生活の質が向上することが考えられます。労働人口が減少する中で、運転手の雇用を必要としないモビリティシェアはますます拡大するでしょう。その中で、電動キックボードがどんな位置付けになるのか、期待が高まります。

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