AirbnbやUberに代表されるシェアリングエコノミーの数々が世の中に芽生え、近年ますますその市場は拡大傾向にあります。そのことを証明するように、世界各地でシェアリングエコノミーに関連したフェスやイベントが開催され、大勢の人を集めています。国内外でシェアリングエコノミーが新しいビジネスの潮流となっている昨今、まだ日本ではあまり知られていない世界のシェアリングサービスに注目しました。
目次
- 世界で広がり続けるシェアリングエコノミー
- 世界で注目のシェアリングエコノミー
- まとめ
1.世界で広がり続けるシェアリングエコノミー
市場規模と今後の動向
世界におけるシェアリングエコノミーの市場は、その規模を拡大させています。PwCによれば、2013年に約150億ドルだった市場規模が、2025年には約3,350億ドルにまで成長するであろうと予測されています。
日本でも2020年の東京オリンピックを控え、宿泊施設不足の問題やインバウンド客への対応策として、シェアリングサービスの数々が解決策のひとつになるのでは、という声が上がっています。ですから今後、国内外でますますシェアリングビジネスが注目されていくことは、必至であると考えられます。
世界最大級のシェアリングエコノミーカンファレンス
2016年、フランスで世界最大級のシェアリングエコノミーカンファレンス「OuiSharefest2016」が開催されました。このイベントは世界中から著名人が集結し、最新のシェアリングエコノミーについてプレゼンテーションを行います。今年は「Sharable.net」のディレクターTom Llewellynや、著作「Mesh」の中で共有社会のつながりをMesh(網の目)と表現したLisa Ganskyなど、豪華な顔ぶれがプレゼンターを務めました。
「OuiShare」は、2012年1月に正式なプロジェクトとして発足。「OuiShare TV」というプログラムをYouTubeで配信するなど、シェアリングエコノミーをテーマに世界へ発信を続けています。2015年にパリで最初のOuiSharefestを開催以降、欧米や中東、北アフリカなどへ広がっています。
日本でも、こうしたシェアリングエコノミーに関連するイベントが始まっています。2016年9月19日には、福岡でフォーラムフェス「SHARING CITY FUKUOKA 2016」が行われました。福岡市は2011年より環境配慮型のスマートシティ実現を目指し、日本で初めてUberのライドシェア検証プログラムを実験導入するなど、新しい街づくりの取り組みが注目されています。イベントのメインを飾るトークセッションでは、シェアリングサービスに携わる20以上の企業・団体が集まりました。
フランスで人気のライドシェアリングのマッチングサービス「BlaBlaCar」。創業4年ほどで世界11か国にサービスを展開し、急成長を見せています。タクシー感覚のUberなどとは異なり、BlaBlaCarは中長距離移動を目的にしているため、旅行などの際に重宝されているようです。
利用方法は、サイトに利用日時・目的地を入力し、車に同乗させてくれるドライバーを探します。予約すると、ブッキングコードが発行されてドライバーと詳細を打ち合わせ、当日は待ち合わせ場所へ行くだけ。ライドシェアの金額はドライバーにより異なりますが、予約の際にクレジットカードかPaypalで支払います。
Velib
「Velib」は、パリの街全域に設置された無人ステーションで利用登録をし、クレジットカードで利用料を払えばすぐに使える、手軽な自転車シェアサービスです。2007年からパリ市が運営をスタート。
貸出・返却スポットのステーションは1,700カ所以上、23,000台もの自転車が用意されています。Velibの登録料は1日1.7ユーロ、7日で8ユーロ。最初の30分は無料で利用ができ、それ以降は30分ごとに1ユーロの使用料が加算されるシステムで、登録・支払いにはICチップ付きクレジットカードが必要です。
TaskRabbit
日常で何か人手が必要な時にネット経由で依頼できるのが、タスク型シェアサービスの「TaskRabbit」です。TaskRabbitは2008年にボストンから始まったスタートアップで、現在アメリカ18都市で利用が可能。国外ではロンドンにも進出しています。登録しているワーカー・通称「タスクラビット」たちは、25,000人以上とも言われています。
IBMのエンジニアだったリー・バスクは、ある時外出しようとした時に飼い犬のドッグフードを切らしていることに気付き、「誰かが代わりに買ってきてくれたらいいのに」と、ビジネスの立ち上げを思いついたとか。依頼できるタスクは、掃除や買い物、家具の組み立てなど多岐に渡ります。
Traveling Spoon
「Traveling Spoon」は、旅先で現地の人の家を訪問して、手料理を振る舞ってもらえる食のシェアリングサービスです。さらに、料理を教わったり、一緒に市場で食材を買う体験をしたりすることも可能。「旅行者に、本当の世界の食体験を」と2013年にローンチされたTraveling Spoonですが、現在、アジアを中心とした世界18カ国に料理をシェアしてくれるホストを抱えています。
日本にも、類似した「TADAKU (https://www.tadaku.com/)」というシェアリングサービスがあります。
TADAKUは、日本在住の外国人から母国料理を教わるもの。教室は先生の自宅で行われるので、日本に居ながら世界の文化・料理を学べる面白みがあります。
Shared Earth
「Shared Earth」は、空いている土地をシェアする人と、その土地で植物や農作物を育てたい人をマッチングするガーデンシェアを行っています。
このShared Earthは、「SUSTAINABLE AMERICA」という食と燃料の持続可能性問題に取り組む非営利団体が運営。ですから、単なる空き地の利用だけではなく、庭園や農地を増やして豊かな環境を目指そうという意識があります。自然に触れたい、家庭菜園をしたいと思う人たちに、このシェアリングは喜ばれているようです。
3. まとめ
海外では日本に先んじて、多様なシェアリングサービスが始まっています。シェアする側は余剰リソースやモノを活かすことができ、ユーザー側は低コストで必要な時に必要なモノや体験を得ることができるサービスの数々は、これからより活気づいていくことが予測されます。
日本でも東京オリンピックを目前に、より効率的にニーズを満たすシェアリングエコノミーのビジネスが誕生していくかもしれません。