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全国住み放題サービス「ADDress」は、月額料金を支払えば全国の古民家や空き家に住める、住まいのサブスクリプションサービスです。ユーザーだけではなく、物件オーナーには家賃収入を、物件のある地域住人にはユーザーとの交流といったメリットを提供できる点が魅力です。ADDressには多くの企業がパートナーとして協力し、2019年よりサービスを開始します。このサービスは現在でもなお根強い新築信仰社会へのチャレンジという意思も込められており、ひいては現在問題視されている空き家問題の解決法としても期待されています。

目次

  1. 全国住み放題になるサービス「ADDress」とは
    ・サービス概要について
    ・利用のメリット
  2. 多くの企業がパートナーとして協力
  3. 今後の動向と展望
  4. まとめ

1.全国住み放題になるサービス「ADDress」とは

サービス概要について

シェアハウスのように住む場所をシェアする「コリビング(co-living)」という概念は、2000年代後半から日本に浸透しつつあります。事実、2006年にはシェアハウス運営会社が参画する一般社団法人日本シェアハウス連盟が、2010年には一般社団法人日本シェアハウス協会が設立され、事業としてのシェアハウスの運営が徐々に広まりました。国土交通省住宅局は同協会らと協力して、共同居住型賃貸住宅(シェアハウス)の運営管理ガイドブックを作成し、物件のオーナーや運営者に対して、適切な運営を行うよう情報提供しています。

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https://address.love/

2019年4月、そんな状況の中に新しいコリビングサービス「ADDress」が生まれます。ADDressの最大の特徴は、定額で全国複数の拠点にどこでも住み放題になることです。このサービスで住むことができるのは全国にある空き家や古民家、別荘などの使われていない物件です。水まわりやキッチンをリノベーションし。Wi-Fiやアメニティ、家具・家電を完備し、使いやすい施設を整えています。さらに、個室を用意してプライバシーを確保しながら、共有スペースでは他の会員や地域住人との交流を楽しめるようになっており、通常の旅行や休暇とは違った体験ができるのではないでしょうか。

ADDressを運営する株式会社アドレスによると、ADDress創業の狙いは多拠点住居という新しいライフスタイルを広めること、空き家という遊休資産を活用することによって、人口減少時代にも関わらず新築物を根強く信仰する社会への挑戦を行うことです。アドレス代表の佐別当隆志氏はクラウドソーシングなどの普及で、若い人が地方へ仕事を持ってくるというシチュエーションに触れ、「地方とシェアサービス、クラウドファウンディングなどとは、実は相性がいい」と考えています。

利用のメリット

ADDressは2019年4月から、サービス第一弾として首都圏から1〜2時間程度の場所にある5ヶ所以上の物件を利用することができます。料金を払えば居住拠点を予約し、住むことができるという点においてはシンプルなサブスクリプションサービスです。

ADDressは、ユーザー、オーナー、物件がある地域の住民のそれぞれに様々なメリットをもたらします。まず、ユーザーのメリットを見てみましょう。ユーザーは予約ができさえすれば全国の物件に住むことができます。長期的な滞在もできますので、クラウドワーカーやリモートワーカーであればワーケーションも可能です。ワーケーションとは、workとvacationを組み合わせた造語で、旅行先などで仕事をすることを指します。長期間の休暇が一般的な欧米で少しずつ一般的になってきた概念ですが、最近では大手航空会社のJALが導入を決めるなど日本でも注目を集めているライフスタイルです。ADDressなら今月は海の見える家で暮らす、来月は山あいの村で暮らすといった生活も叶えられます。

次に物件オーナーのメリットですが、オーナーは物件をADDressに提供することにより、定期的な家賃収入を得られます。このように、オーナーが遊休資産を活用できることは、空き家問題の解消にもつながります。2015年から空家等対策特別対策措置法が施行されたことにより、空き家には管理が大変で放置しておくと周りに迷惑がかかるという負のイメージが先行してしまい、管理や活用に頭を悩ませるオーナーは数多く存在します。ADDressへ物件を提供すれば、低コストで空き家を活用できることがポイントです。

最後に、地域住民へのメリットを見てみましょう。ADDressは、ユーザーと地域住民との交流を楽しめるという点をセールスポイントとして挙げています。地域住民にとっては、日本中の様々な地域からやってくるユーザーと触れ合い、それぞれが話題やスキルなどを提供しあうことによって新たな化学反応が生まれる可能性があります。代表の佐別当氏は、このことを「都市と地方とで人と人との交流を増やして、(中略)人口のシェアリング、『関係人口』を増やしたい」と述べています。

このように、このコリビングサービスはただ場所を借りるだけのサービスではなく、新たに交流という付加価値を見出したサービスと言えます。

 

2.多くの企業がパートナーとして協力

ADDressを運営するにあたり、多くの企業がパートナーとしてADDressに協力している点もまた、このサービスの魅力といえます。まずは、家具・アメニティ提供パートナーとして、松山油脂株式会社が自社ブランドのLEAF&BOTANICSをアメニティとして提供。Koala Sleep Japanコアラマットレスを寝具として、VUILD株式会社はテーブルや椅子を製作しています。

また、泊まり放題パートナーとして一般社団法人ハンモサーフィン協会が月に4万5000円で、NPO法人芸術家の村が運営するLittle Japanは月5万円で、それぞれの保有するスペースやゲストハウスに泊まり放題になります(Little Japanの泊まり放題は日〜木曜日の都心のゲストハウスのみ)。また「ハンモサーフィン×Little Japan」として、月に5万5,000円でハンモサーフィン・ゲストハウス・ADDressに泊まり放題となるプランも用意されています。

さらに、物件調達パートナーとして株式会社カチタスが自社の取り扱い中古物件を提供し、NPO法人離島経済新聞と東京R不動産をはじめとする全国のR不動産がADDress物件の開拓に協力します。地方自治体としては滋賀県大津市が琵琶湖畔の遊休企業保養所を活用することに協力すると発表しており、ANAホールディングスは空席などのリソースを活用して多拠点生活やシェアエコツーリズムを推進する実証実験を、ADDress内でモニターを募集して行うとのことです。

 

3.今後の動向と展望

ADDressでは2019年3月にクラウドファンディングを行って優先会員を募集し、見事目標額の200万円を達成しました。優先会員はADDressの初期メンバーとして4月からADDressを利用でき、またクラウドファンディングのリターンとしてワークショップやイベントに参加できます。

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https://www.makuake.com/project/address

また、2019年4月にADDressは首都圏や関西圏を中心に11の拠点をオープンしますが、5月以降にも栃木県日光市、宮崎県日南市などに続々と拠点を広げる予定です。

ADDressが目指しているのは、単なる地方居住が体験できるサービスではありません。すでにあげた空き家問題の解決はもちろんのこと、若者の地方への居住の受け皿として、また「住みたい場所で働く」という新しい価値観やライフスタイルを実現する手段として利用されることを期待されています

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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000040352.html

4.まとめ

インターネットの発達によって変わりつつある価値観は数多くあります。その中でもADDressが変えようとしているのは「新築の家を買い、住み続けなければならない」「働くためには会社のある首都圏に住まなければならない」という価値観です。全員がこの価値観から変わらなければいけないわけではありません。しかし、ADDressのようなサービスが選択肢として加わることにより「そうでない生き方でも充実した人生を送れるのではないか」とよりよい未来を選択できる可能性があることは、多くの人にとって嬉しいことではないでしょうか。

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