シェアリングエコノミーラボ (Sharing Economy Lab)

中古車個人売買サービス「Ancar(アンカー)」が資金調達を実施 きめ細やかなサービスに隠された理由とは

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個人間取引の波は中古車売買の場にも及んでいます。「Ancar」は中古車を売る人と買う人をマッチングさせ、また既存の中古車売買のデメリットであった情報の不透明性を解消しました。さらに、整備工場の検索サービス「Repea」をローンチし、ユーザーが豊かなカーライフをサポートしています。また、設立の経緯には、整備工場の技術力を知らしめ、高品質なサービスが正当に評価されるようにとの目的もあります。Ancarは2018年10月に4億円の資金調達を実施しました。そして、この資金でユーザーの満足度を高めるべく更なるサービスの拡大をしていくとのことです。「Ancar」は中古車売買の際の選択肢の一つとして関心を集めています。

目次

  1. 「Ancar」とは
    ・サービス概要について
    ・設立の経緯について
    ・整備工場とのマッチングサービス「Repea(リペア)」について
  2. 4億の資金調達を実施
    ・資金調達の具体的な内容とは
    ・今後強化していく分野について
  3. まとめ

1.「Ancar」とは

サービス概要について

https://www.ancar.jp/

Ancar(アンカー)は、個人間で中古車の売買をすることができるサービスです。近年、メルカリをはじめとする個人間の売買を可能にするサービスやアプリが誕生し、CtoCの売買の機会が格段に増えました。しかし、そんな中でも中古車を個人間で売買する機会はなかなかありません。そんな状況を打破し、中古車を売る側と買う側の双方にメリットをもたらすべく登場したサービスがこのAncarです。

Ancarは実家が自動車整備工場を営んでおり、IT企業への勤務経験のある城一紘氏とIT企業の経営経験のある越島悠介氏の二人が設立したサービスです。この二人の経歴を生かし、Ancarは個人間取引のメリットである中間マージンや消費税がかからずコストを大幅に削減できるという強みを最大限に発揮しながら、既存の中古車売買のデメリットであった安全面への不安を、購入前に全国の整備工場へ中古車の点検を依頼できるようにすることで解消するなど、既存の中古車売買にはないさまざまなメリットを兼ね備えている点に注目が集まっています。それ以外にもカーシェアリングサービスとのコラボイベントを開催するなど、車の魅力をアピールする活動にも積極的に取り組んでおり、今後の成長が期待されます。

設立の経緯について

城氏によると、Ancarを設立したきっかけは、IT系の業務経験を経て家業を継ぐべく戻ってきた整備工場で感じたことにあります。業界自体の景気がよくないこと、整備士が社会的に評価されず待遇もよくなく、人の命を守る仕事であるにもかかわらず正当に評価されていないことなどに関して違和感を覚えたそうです。

さらに、既存の中古車売買の現場では、中古車を売る側と買う側の情報格差が大きく買う側が騙されてしまうケースもあるという問題点があり、ITを活用して情報の透明性を高めることができるのではないかと考えたこともきっかけの一つとして挙げています。

そこで故障や車検にも対応するサービスRepeaも展開し、利用者のニーズに応えています。そのほかにAncarは2018年2月から、既存のユーザーが友人や知人に紹介コードを共有すると双方に割引がなされる紹介キャンペーンをスタートし、新規顧客の獲得に努めています。このキャンペーンは紹介数に制限はなく、紹介すればするほどお得にAncarを利用できる点がユーザーにとって大きなメリットでしょう。

整備工場とのマッチングサービス「Repea(リペア)」について

Ancarは中古車の売買を効率化させることだけを目的にしているのではありません。中古車を買った後に発生するニーズである故障や車検にも対応し、より豊かなカーライフを提供すべくサービスを展開しています。

以前よりAncarは購入される前の中古車を法定12ヶ月分点検相当の点検を行い、その情報を開示することで、ユーザーが安心して中古車を買うことができるような仕組みを整えています。このためにAncarは整備工場との提携をかねてから進めており、東京・埼玉・千葉・神奈川エリアでは平均15分の運転で提携整備工場にたどり着くことができるほどのネットワークを築いています。このネットワークに新たな視点からドライバーがアクセスできる仕組みが「Repea」です。

Repeaではユーザーの最寄りの整備工場を検索できます。最大のポイントは整備工場の取扱業務や取扱メーカーを絞り込み検索できることです。一口に整備工場といっても、取扱業務やメーカーはさまざまで、それを事前に調べて比較することは容易ではありません。このサービスにより、ユーザーは整備工場の高い技術力を安価な値段で利用できるので、安全で楽しいカーライフの一助となるサービスとして注目を集めています。

 

2.4億の資金調達を実施

資金調達の具体的な内容とは

2018年10月、Ancarは第三者割当増資を実施し、総額4億円の資金調達を受けたことを発表しました。引受先はPR会社の株式会社ベクトル・ベンチャーキャピタルのAGキャピタルクロスベンチャーズの3社と複数の個人投資家であるとされています。

今後強化していく分野について

Ancarはこの資金調達によって得た資金で、さらにユーザーにとって便利なサービスを拡充していきたいと考えています。具体的には、中古車購入ユーザーに対してローンやリース機能を提案すること、クレジット決済を可能にすることなどAncarユーザーの利便性を高める機能の拡張や、Repeaに登録された整備工場とユーザーをAIによりマッチングする機能の拡充、さらには車の保管場所の確保や保有コストの問題など、車を所有するに当たって避けては通れないユーザーの悩みを解決する計画もあるそうです。

特に、車を所有することによって発生する問題は、Ancerユーザーのみならずすべてのドライバーの悩みですから、このソリューションが提案されればより多くの人がAncerに注目するきっかけになるかもしれません。

 

3.まとめ

メルカリの調査によると、商品を購入する際に新品であることを重視する傾向は近年低くなっており、特に若者では「中古でも構わない」とする価値観が優勢となりつつあります。この考えが今後、自動車や住宅など高額で長期間使用し、安全性が重視されるものにまで及ぶのかは注目に価するトレンドです。Ancar、そしてAncarが提供するサービスの広まりは、日本人の価値観の変化を象徴しているといえるのかもしれません。