個人間で取引できるマーケットプレイスに、新しい事業者が参入しています。日本初のプラットフォームやオリジナルのマーケットプレイスを作成できるサービスなど、今までなかったビジネスに注目が集まっています。日本でもシェアリングエコノミーの市場規模が拡大しつつある中で、これらの事業はどのような成長を見せていくか期待が高まります。
今回は、新たにローンチされたマーケットプレイスについて、プラットフォームの課題などに触れながらご紹介します。
目次
- シェアリングエコノミー市場の近年の動向
- 国内におけるシェアリングエコノミープラットフォーム参入の動き
- プラットフォーム事業者が必要な理由
- まとめ
1.シェアリングエコノミー市場の近年の動向
シェアリングエコノミー市場に関する調査によると、2015年度の国内市場規模は前年度比22.4%増の285億円となっており、順調に市場が拡大していることがわかりました。これは、訪日外国人客によるシェアリングエコノミーサービスの利用が拡大したことや、「日本再興戦略2016」の中で民泊サービスやカーシェアリングにも触れられているように、政府によるシェアリングエコノミー普及の後押しもあるためと見られています。
それでも中国などの海外に比べるとまだまだ市場規模は小さく、内閣府ではガイドラインを策定するなどして、シェアリングエコノミーのさらなる活用を目指しています。
2020年の東京オリンピックではさらに訪日外国人客の増加が見込まれるため、今後も民泊やカーシェアリング、駐車場シェアリングなどシェアリングエコノミーサービスへの需要は高まる見通しです。
また、育児や料理、家事などのスキルをシェアするオンラインマッチングサービスは女性や高齢者の労働参画を促し、働き方改革や地方創生などといった社会的な課題を解決する糸口として注目を集めています。
「日本再興戦略2016」や、シェアリングエコノミーについての詳しい解説は以下の記事を参照してください。
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2.国内におけるシェアリングエコノミープラットフォーム参入の動き
そんな中、シェアリングエコノミーのプラットフォームを構築できるという新たなビジネスも生まれています。シェアリングエコノミーは運営や作成においてもEコマースより複雑なため、今まで参入が難しい状態でした。そこで、シェアリングエコノミーのマーケットプレイスを簡単に展開できるサービスが始まっています。
みんなのシェアリング広場
「みんなのシェアリング広場」は、さまざまなジャンルのシェアリングエコノミーをマッチングすることができるプラットフォームです。日本初の本格的なプラットフォームとしてリリースされ、出品されている商品はシェアだけでなく購入も可能という点が特徴です。
個人や企業の持っている商品やスキルのシェアを通じて、従来の大量生産・大量消費社会から持続可能な社会へのシフトを目指します。
mekuma
「mekuma」は、低コストでオリジナルのマーケットプレイスを展開できるサービスです。月額使用料のみで運営でき、ゼロからのシステム開発も不要なため短時間でのリリースが可能です。思いついたアイディアを気軽に実現できるというのが特徴で、例えば「ベビーカー専門のフリマサイト」や「ヨガを教えたい人と習いたい人をマッチングするサイト」など、ニッチな業界や商材でのシェアリングサービスをスタートすることができます。
商品管理やチャットなど、運営にあたっての便利な機能も多数提供されており、専門的な知識がなくても簡単にサービス運営をすることができます。mekumaを利用することによって、これからシェアリングエコノミーを始めたい企業や個人、地方自治体などが、今後さまざまなマーケットプレイスを展開することも考えられます。
3.プラットフォーム事業者が必要な理由
そもそも、シェアリングエコノミーのサービスを運営するのになぜプラットフォーム事業者を介する必要があるのでしょうか。そこには、安全性の担保という課題が大きく関わってきます。
Amazonのマーケットプレイスやフリマアプリのメルカリのように買い手と売り手が自由に売買できる、いわゆるマーケットプレイスと呼ばれるサービスは、手軽に売買取引ができる反面、違法な商品の出品や購入した商品が届かないといったトラブルも相次いでいます。日本では個人間の売買は危険だというイメージも強く、このような安全性への不安は、日本でシェアリングエコノミーがなかなか普及しない原因の一つとも言われるほどです。
そのため、運営する事業者は出品されている商品のチェックや、利用者の本人確認の徹底、取引口座の照合など、トラブル対策や安全性の確保が求められています。これに加えて、決済システムの構築、サービス運用やユーザーのサポートなど、運営に多大な手間とコストがかかってしまうのが実情です。シェアリングエコノミーにとってプラットフォーム事業者が必要なものであるにも関わらず、運営の負担が大きいことから新規参入は容易ではありません。また、安全に取引できると証明できる手段がまだ少なく、システムや運用にも多くの課題があります。
このような状況の中で、シェアリングエコノミーのマーケットプレイスに低コストで参入できるサービスは、現在の日本のシェアリングエコノミー業界に風穴を開ける可能性も秘めています。
シェアリングエコノミーの安全性への課題やマーケットプレイスについて、詳しくは以下の記事を参照してください。
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4.まとめ
シェアリングエコノミーは中国などではすでに広く普及しており、日本も今後ますます市場が拡大すると見られています。まだ課題も多いマーケットプレイスですが、新しいプラットフォームが続々ローンチされていくことで新しい企業や自治体の参入も期待できます。社会的な需要も高まりを見せているので、国内での普及や健全な成長も期待できるのではないでしょうか。これからもマーケットプレイスやプラットフォームの動きには注目です。