手軽に商品の出品、購入ができるフリマサイトから、個人のスキルを売買するクラウドソーシング、遊休不動産や空きスペースを時間貸しするサービスなど、あらゆるものがマーケットプレイス上で取引されています。いったいどんな商品が売られているのでしょうか。また、それにまつわるトラブルとは?
※編集部注:
2017年7月5日に加筆修正しました。
2017年6月29日に加筆修正しました。
目次
- マーケットプレイスといえば――Amazonマーケットプレイスの仕組み
・Amazon以外の業者・個人でもAmazonで商品を販売できるのがAmazonマーケットプレイス - そもそもマーケットプレイスとは?
・実在する商品を扱うマーケットプレイス例6つ
・空間やスキルなどを扱うマーケットプレイス例5つ - 買い手と売り手のマッチングこそシェアリングエコノミーの鍵
- 安全に取引できる空間づくりに必要なこと
・各社のセキュリティ対策について
・マーケットプレイスにおける事件、気をつけるべきポイント - まとめ
1.マーケットプレイスといえば――Amazonマーケットプレイスの仕組み
マーケットプレイスという言葉を聞いて、真っ先に思い出されるのは「Amazonマーケットプレイス」だという方は多いでしょう。もっとも身近なマーケットプレイスと言っても過言ではないAmazonマーケットプレイスについて理解することで、マーケットプレイスとは何かも理解しやすくなるかと思います。ということで、まずはAmazonマーケットプレイスの仕組みを解説していきます。
Amazon以外の業者・個人でもAmazonで商品を販売できるのがAmazonマーケットプレイス
Amazonマーケットプレイスとは、自分が持っているモノ・商品を出品できる場所です。個人でも企業でも参加できます。出品者は販売したいアイテムを「新品」「再生品」「中古商品」「コレクター商品」の4つのカテゴリーから選んで出品します。出品時の登録料はかからず、アイテムが売れたときに手数料が請求される仕組みです。
Amazonというサイトの商品は、
- Amazonの販売・発送
- Amazon以外の企業・個人の販売でAmazonが発送
- Amazon以外の企業・個人の販売・発送
の3通りに分類できます。
①は、商品ページに「Amazon.co.jpが販売・発送します」と記載がある場合です。これは、販売から発送まで、すべてAmazonが管理していて、Amazonマーケットプレイスではありません。①で商品を購入したい場合は、そのまま画像の右側にある「カートに入れる」ボタンをクリックすれば、Amazonからの商品購入となります。
②と③がAmazon以外の第3者が販売する商品で、これがAmazonマーケットプレイスです。この部分の「新品の出品」「中古品の出品」「コレクター商品の出品」をクリックすると、それぞれの詳細な情報がわかります。
こちらは「中古品の出品」ページです。
②の発送に関しては、Amazonの発送ですので安心ですが、②の販売、③の販売・発送に関しては、様々な企業や個人が行うことになります。詳細や評価をしっかり読み、商品の状態、配送日時などを必ず確認し、トラブルに巻き込まれないように注意しなければなりません。
このように、AmazonマーケットプレイスにはAmazon以外の多くのプレーヤーが参加しているのです。
2.そもそもマーケットプレイスとは?
マーケットプレイス(e-マーケットプレイスとも呼ばれる)とは、買い手と売り手がインターネット上で自由に売買できる取引市場です。先述のAmazonマーケットプレイスは、AmazonというプラットフォームにAmazon以外の売り手が参入し、それらを買い手であるユーザーが購入することで成り立っていました。
マーケットプレイスは、今や企業対企業間の資材や部品の取引にとどまりません。過去には、マーケットプレイスでやり取りされる商品は、雑貨や本など実在する店舗にあるものが主流でしたが、現在はニーズに合わせてさまざまなものが市場に出品されるようになりました。
翻訳やプログラミングのスキルや時間、所有する遊休不動産、車両、スペースなどレンタル、あらゆるものがマーケットプレイスで取引されています。
マーケットプレイスは企業と個人だけでなく、個人同士での取引も可能です。PCサイトやスマートフォンのアプリで、商品登録から決済、発送手続き、商品提供もできる手軽さまでできる仕組みが整っています。より気軽に取引ができて、売り手と買い手を結びつけるマーケットプレイスが人気を上げ、売り上げ規模を伸ばしています。
マーケットプレイスの代表格はAmazonマーケットプレイスですが、ほかにも多くのマーケットプレイスが存在します。具体例を見てみることで、マーケットプレイスで売買されるものの幅広さを実感できるでしょう。
実在する商品を扱うマーケットプレイス
ebay
アメリカで有名なマーケットプレイスは、世界最大級のオークションサイトebayです。
日本では、Yahoo!オークションや楽天オークションに該当します。
Etsy
個人がバイヤーとして買い付けした商品を購入できるファッションのマーケットプレイスです。
空間やスキルなどを扱うマーケットプレイス
物の売買だけではなく、空間やスキルの売買、レンタルも行われているマーケットプレイスも存在します。
クラウドワークス
個人のスキルの取引市場として最大規模のクラウドワークスは、クラウドソーシングサービスです。
個人の隙間時間とスキルを単発の仕事の依頼とマッチングすることができます。
wowme
スマートフォンで配車ができるUberは、ドライバーは自分の時間と車両を使って運転し、ライダー(移動したい人)に移動を提供することができます。
軒先パーキング
駐車場や駐車スペースを持つオーナーが、短期的に駐車場を探しているドライバーのマッチングサイトです。目的地周辺の空きスペースを予約し、期間内に駐車することが可能です。
2. 買い手と売り手のマッチングこそシェアリングエコノミーの鍵
あらゆるコンテンツやサービスを取り扱うようになったマーケットプレイスは、自分のいらないものを安価で提供するガレージセールから、自分のスキル、時間、所有物を適正な価格でそれを欲している人に提供できる市場へと成長しました。これほどまでに大きな市場となった鍵は、買い手と売り手のニーズのマッチングにあります。
例えば、フリマアプリとして有名なメルカリの買い手側の特徴は、値段交渉して即決で決済ができることです。一方で、売り手側のメリットは、出品手数料はなく、手早く商品をスマートフォンで出品できることです。早く入手したいと思っている買い手と、スムーズで簡単な出品をしたい売り手に対し、わずらわしさを排除した取引方法がメルカリの人気の理由とも言えます。
クラウドワークスは、個人事業主や在宅ワーカーや副業を希望する人たちが持つスキルを、適正な単価で単発の仕事の発注ができるという利便性があります。
発注側は、仕事内容と金額を指定し、応募してきたワーカーの、プロファイルにあるスキルや経験などを考慮し、発注します。クラウドワークスのサイト上で取引や、決済などのコミュニケーションがされています。企業に依頼すると、時間と金額が膨大になってしまう案件やタスクをワーカーに依頼することで、手早く安価に業務を完了させることができます。
Airbnbは所有している空きスペースや物件を宿泊先として提供するマッチングサービスです。貸切やオーナーとシェアなど、宿泊スタイルや料金を選ぶことができます。日本でも、オリンピックに向けてすでに宿泊施設不足が指摘されている中、空き部屋や古民家を利用できる契機となり法整備が進んでいます。
欲しいものを手軽な料金で安全に簡単に入手したいという買い手と、自身の持つ時間、スキル、所有物といったリソースをたくさんの人がいる市場で出品したいという売り手のニーズを安全にマッチングできる市場を提供することがマーケットプレイスの役割と言えます。
3. 安全に取引できる空間づくりに必要なこと
対面せず、商品も手にとらずに売買が成立するので、安全に取引ができる環境が整っていることは非常に重要です。商品の未到着や、個人情報の流出、商品説明、画像とは異なり商品の到着など、あらゆるトラブルに配慮しなければなりません。
例えば、認証プログラムにより、不正なアクセスを排除し、ユーザーの信頼性をあげる方法です。従来の本人認証は、アカウントIDとパスワードとなっています。それぞれのマーケットプレイスにセキュリティや利便性が高い認証プログラムが追加されています。
各社のセキュリティ対策について
認証プログラム「eBay Authenticate」を2017年に導入し、不正な取引を除外する対策を加えました。 認証ネットワーク事業者により提供され、売り手と買い手の双方に適用されます。
例えば、商品が買い手に出荷される前に認証事業者により審査され、検品に合格すると、その情報の更新を買い手は都度確認することができます。認証事業者の審査が入ることにより、不備のない商品が買い手に届くのです。売り手側に不備がある場合、売り手にはペナルティが課せられるため、より高い信用を提供する認証プログラムとなっています。
スマートフォンアプリで取引するフリマサービスメルカリでは、匿名配送ができる「らくらくメルカリ便」が2015年に登場しました。
個人情報流出のリスクがあるCtoCビジネスですが、二次元バーコードを使い、ヤマト運輸と提携したらくらくメルカリ便を使えば、売り手、買い手の名前や住所がわかることなく、商品の配送が可能になりました。
マーケットプレイスにおける事件、気をつけるべきポイント
2017年4月頃より、アマゾンマーケットプレイスで詐欺が横行しました。個人セラーのアカウントがのっとられ、1円など極端に安い価格で商品が出品されたり、商品が届かないなどのトラブルが続出したのです。
犯人や原因はまだ解明されていませんが、購入者の個人情報の入手、個人セラーのアカウントや利益ののっとり、ぼったくりが狙いであると言われています。
これはアマゾンの信頼性やビジネスモデルを逆手にとった犯罪で、取引実績のある個人セラーのアカウントを使い、極端に安い価格で販売し、クレームリターンを買い手が要求することで、犯罪者に買い手の個人情報が開示されてしまいます。
不正入手された買い手の個人情報を使い、個人セラーとして登録することで、無限ループにはまってしまうのです。また、オンラインショッピングではクーリングオフができないことが多いです。
商品の破損による返品や、サイズ違いによる交換など、実際に見ずに購入するので、返品・交換が発生しやすいオンラインショッピングですが、それぞれのマーケットプレイスの返品特約により、クーリングオフの可否が変わります。
注文フォーム最終確認画面の前に返品表示の義務付けがされており、取引条件に「返品不可」と明記していれば、返品に応じなくてもよいのです。
マーケットプレイス上では、売り手の商品説明に「ノンクレーム、ノンリターン」などが明記されている場合が多く、商品の破損、欠陥品、違う商品の誤発送など、売り手側の不備による返品交換しか受け付けていない場合があります。
買い手、売り手のリテラシーだけでは防ぎにくくなった、詐欺やトラブルが横行するようになりました。買い手側は、売り手が安心して取引できる人なのか、その実績やバックグラウンドを見極めることがより一層重要となりそうです。
マーケットプレイス最大手のアマゾンさえ、トラブルがあるのですから、大手やブランド名だけでは安心と言えなくなってしまいました。マーケットプレイス側は、買い手、売り手が安心してスムーズに取引ができる環境を整えなければなりません。
4. まとめ
買い手と売り手のニーズをマッチングさせるマーケットプレイスは、あらゆるニーズに対応し、今後も活発な市場の成長が期待できそうです。しかし、トラブルや詐欺もまだまだ横行しているため、マーケットプレイスが安全安心に配慮し、買い手売り手もリテラシーを高めていくことが今後の課題となりそうです。