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シェアリングエコノミー市場に注目が集まる今、多くの企業がこの市場に乗り込もうと機を狙っています。そんな中で今回は、2018年3月に発表された大日本印刷のデジタルキーについて迫ります。

デジタルキーがシェアリングエコノミーと関わりが深い理由や、大日本印刷が開発したデジタルキーの特徴、またどんなビジネスモデルを前提としているサービスなのかを見ていきましょう。

目次

  1. デジタルキーとは
  2.  大日本印刷のサービスについて
    ・サービス概要について
    ・ビジネスモデルについて
  3. まとめ

1.デジタルキーとは

デジタルキーとは従来の鍵を使わないロックシステム全般を指します。以前からICカードや暗証番号を用いたロックシステムは利用されてきましたが、近年のスマートフォンの普及に伴い、スマートフォンを鍵の開閉に使うものが注目を集めています。

スウェーデンの自動車メーカーであるボルボは、2017年からスマートフォンでドアロックやエンジン始動を行う車を販売すると発表しました。キーを鍵穴に差し込む必要のないスマートエントリーシステムの普及は進んできていますが、鍵自体をなくした車の販売はこれが世界初となります。

有名ホテルチェーンのヒルトンでは、スマートフォンを使ったデジタルキーの導入を開始しています。ヒルトン・オナーズ・スマートフォン・アプリをダウンロードして、客室をはじめ館内施設にもアクセスできるようになっています。

こういったスマートフォンを使ったデジタルキーを導入する企業が増加している背景には、2025年には約3,350億ドル規模に成長すると言われるシェアリングエコノミーとの相性がよく、IoT技術の一つとして今後ニーズが高まると予測されていることがあります。

不特定多数のユーザーがモノをシェアする際に、従来の物理的鍵でセキュリティを管理するのには限界があります。

実際、このようなスマートフォンで開閉するデジタルキーは、すでに民泊やシェアサイクルで利用が進んでおり、今後ほかのサービスでも利用が増えていくと考えられます。

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2.大日本印刷のサービスについて

・サービス概要について

大日本印刷はスマートフォンで鍵の開け閉めができるデジタルキーのプラットフォームを開発しました。これをドアなどに鍵が必要なシェアリングエコノミー事業者に提供することで、事業者はデジタルキー導入時にシステム開発の負担を軽減することができます。

大日本印刷が開発したデジタルキープラットフォームは、デジタルキーにはパブリック認証局発行の電子証明書を使った公開鍵暗号方式を採用しているので、高度なセキュリティを保持しています。実は、大日本印刷はこれまでも金融機関向けのICカードの製造・発行や、サイバー攻撃に対するソリューションなどに注力してきており、情報セキュリティ事業においては実績があります。

このプラットフォームはスマートフォンアプリに組み込んで、デジタルキーと証明書の発行を行うシェアリングエコノミー用のロックシステムとして開発されています。しかしプラットフォームはカスタマイズできるので、オフィスや工場などのIoT機器の動作解除など幅広く利用できる凡庸性も強みです。

現在開発されているシステムを基本として、今後は自動車、宅配業者(宅配ボックスへの利用)、IoT機器等のメーカー、シェアリングエコノミー事業者など各業界向けに仕様変更を加え商用化し、2022年度に10億円の売り上げを目指すとしています。

・ビジネスモデルについて

具体的な利用ケースですが、まずは民泊やカーシェア・自転車シェアや宅配便用の宅配ボックスの施錠システムに使用する一時的なデジタルキーの発行が挙げられます。そのほかデジタルキーの一時的な発行を前提とした利用としては、不動産物件の内見などが考えられます。

長期にわたって利用するデジタルキーの発行については、自動車や住宅のデジタルキーの発行が挙げられます。その際に大日本印刷のシステムを利用すると、3つまでは無料発行でそれ以上の発行は有料というように、発行数の管理も可能になります。

また大日本印刷の決済システムやポイントサービスが利用できるDNPマルチペイメントサービスとの連動など、同社のほかの技術と組み合わせての利用も可能です。

シェアリングエコノミーの事業者は、デジタルキーのようなユーザーが安全に利用できる仕組み作りをすることをはじめ、多くの課題を乗り越えなくてないけません。そのため、今回の大日本印刷が開発したデジタルキーのように、技術力のある企業がシェアリングエコノミー事業者にソリューションを提供すると、両者が得意分野を生かし新しい市場に参入していけるようになります。

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3.まとめ

大日本印刷のように技術力のある企業は、シェアリングエコノミーのサービスを直接運用するのではなく、シェアリングエコノミーを運営するにあたって必要になる仕組みを開発するという切り口で、拡大が見込まれる新市場への参入を見出すことができるようです。

一方シェアリングエコノミー事業者は課題の解消に向けて、外部サービスを利用すると自社で開発する費用や時間が削減できると考えられます。今後も多くの企業が得意分野を生かし、シェアリングエコノミーを盛り上げていくことでしょう。

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