欧米を中心に広がりを見せる「シェアリングエコノミー」という新しい市場をご存知ですか? 日本では2016年1月、東京大田区で一般住宅の空き部屋等を宿泊所として提供する「民泊」が解禁され大きなニュースとなりました。本記事では、上記の「民泊」ビジネスも含め、この数年で大きなトレンドとなった「シェアリングエコノミー」について解説していきます。
※編集部注:
2019年3月25日に加筆修正しました。
2016年11月14日に加筆修正しました。
目次
- シェアリングエコノミーとは
- シェアリングエコノミー普及の背景
- シェアリングエコノミーの市場規模
- シェアリングエコノミーのサービス一覧
- 国内での利用に関して
- まとめ
1. シェアリングエコノミーとは
“インターネットを介して、使われていない資産を活用すること”が基本
そもそも「シェアリングエコノミー」とは何でしょうか? 空き部屋や空き家など、目に見えるものから料理やDIYの代行など目に見えないものまで、「個人が保有している遊休資産の貸出を仲介するサービス」を指します。また、こうしたサービスがインターネットを介して行われることも大きな特徴です。株式会社DeNAの原田氏は「使われていない資産、リソース(中略)を有効活用することで新しい価値を生むもの」と定義しています。
既存の経済形態では得られなかったメリット
シェアリングエコノミーが生活に取り入れられると、どのような変化が現れるのでしょうか。既存の経済形態では得られなかったメリットが、利用者にも企業にも発生すると考えられます。
まず利用者にとっては、企業の仲介が減少し中間マージンが抑えられ、これまでより低料金でサービスやモノを手にすることができるようになります。家事をご近所の方々に依頼できる「ANYTIMES」や、車の持ち主と借り主が共同管理という名目で自家用車をシェアできる「Anyca」は、企業のマージンを抑え、利用者同士にメリットが高い日本発のP2Pのシェアリングエコノミーです。
次に企業側のメリットに関して、とくに注目が集まっているのはクラウドソーシングというシェアリングエコノミーサービスです。一般に社外からスキルや資金を集めることを指します。たとえば新規のプロジェクトで、自社が保有していないフローやスキルが必要になったときや、一時的に人手が必要な業務が発生した際、外部のそのジャンルに卓越した人に業務を外注することで、自社で遂行するより短期間で高いクオリティの成果が見込めるというものです。
シェアリングエコノミーの発祥は、2008年にいわゆる「民泊」の仲介サービスを始めた米国のAirbnbといわれています。その後も車・ペットシッターと、続々と「個人間でのモノの貸し借り」を仲介するサービスが登場していきました。
2. シェアリングエコノミー普及の背景
ますます便利になるモバイル・タブレット端末が、普及を後押し
こうしたシェアリングエコノミー発足・普及の背景にはインターネットやスマートフォン・タブレット端末の普及などテクノロジーの発展があります。インターネットが整備され、端末によってそれを手軽に利用できるようになったことでシェアリングエコノミーは急速な成長を遂げていきました。ユーザー側でいえば、スマートフォン一つでいつでもどこでもシステムを利用できるようになり、サービスを受けやすくなったと言えます。
また、システムを提供する供給側にとってもサービスを提供しやすくなる追い風となりました。従来専用機や特別なシステムで管理されていたようなものが、全てスマートフォンひとつでアクセスできるようになったことで、システムを提供する供給側がユーザーや情報を管理しやすくなりました。これがシェアリングエコノミーを広げる要因になったといえます。
人にモノを貸すリスクに対応! “評価制度”で個人間の信頼感を高める
「見知らぬ人同士がモノを貸し借りする」というリスクはもちろんあります。そうした問題に対応したのが「評価制度」です。個人と個人の信頼関係構築がこのサービスにおいて非常に重要な要素ですが、多くのシェアリングエコノミーサービスでは信頼性を高めるためにユーザー同士のレビュー評価制度を導入しています。Facebookなど既存のSNSとの連携が必須であるケースも。米国では、ユーザーの信頼度をこれまでのオンライン活動履歴や既存サービスからスコア化するサービスも提供されています。
3. シェアリングエコノミーの市場規模
国内外で成長を続ける、可能性に満ちた領域
- 億ドル
拡大するシェアリングエコノミー市場
シェアリングエコノミーの世界市場規模の予想
日本でも広がりを見せているシェアリングエコノミーですが、その経済効果は非常に大きなものになると予想されています。英国大手コンサルファーム PwCによると、2013年に約150億ドルだった市場規模が、これから約20年後の2025年には、約3,350億ドルまで成長する見込みです。
日本でもAirbnbやUberといった米国発のサービスが上陸した他、日本発のシェアリングエコノミーサービスの提供も浸透してきています。
矢野経済研究所によると、国内のシェアリングエコノミーサービス市場は、2016年度から2022年度までに年平均成長率(CAGR)17.0%で推移し、1,386億1千万円に達すると予想されます。
カーシェアリングは、カーステーションや車両数の増加で市場規模が拡大を続けており、法人利用も増加しています。最近では自動車メーカーもカーシェアリングに参入しており、すでに各地にある販売・整備拠点を活かせることは大きなメリットとなりそうです。
シェアサイクルは、2017年に自転車活用推進法が施行され、地方自治体レベルでの導入が進むと推測されます。IoT化やキャッシュレス決済でより気軽に利用できるようになり、すでにメルカリやLINEが市場に参入してします。先行する海外市場の盛り上がりも追い風となりそうです。
民泊サービスは、訪日外国人による利用も多く、2020年には東京オリンピックを控えていることから法整備も進み、今後も利用者は増加すると予想されます。民泊最大手のAirbnbは日本で世界初のアライアンス組織「Airbnb Partners」を設立し、多くの自治体や企業との連携を進めています。
また、シェアリングエコノミーによる社会への影響について、これまでとは違う新しい人の働き方や移動方法を実現していると言えます。Uber Japanの高橋氏によると、Uberのドライバーは好きな時間だけ働くことができるため、7割のドライバーは副業で仕事をしているのだそうです。主婦や学生など、本来の生活の空き時間を有効活用している現状があります。
こうしたUberのシステムは、単にタクシーに替わるサービスというわけではなく、人の移動手段を変えています。他のシェアリングエコノミーの領域でも、単にサービスの置き換えではなく、全体のシステムを変えることになることを考えると、まだまだシェアリングエコノミーが拡大する可能性があるといえます。
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シェアリング事業の普及を支える「保険」の動きにも注目
シェアリングエコノミー市場の急成長にともない、事業者はユーザーが安心・安全にサービスを利用できるよう、さまざまな対策を講じる必要がでてきました。その一つに専用保険があります。
日本では2016年にシェアリングエコノミー協会が保険会社と提携し、同協会の会員向けにシェアリングエコノミー専用の賠償保険の販売を始めました。
東京海上日動火災保険や損害保険ジャパン日本興亜はシェアリングサービスのプラットフォーム事業者を対象に保険を提供しています。保険の補償範囲や契約形態 (年間契約や利用単位ごと)はそれぞれ異なり、事業のニーズに応じて各社の保険を選べるようになっています。
また三井住友海上火災保険では、シェアリングエコノミー事業者専用のサイバー攻撃の危険を補償する保険を同協会の会員向けに販売しています。こちらはサイバー攻撃があった際の損害賠償や各種対策費用を補償するだけでなく、リスク回避の対策提供と、万一被害が起きてしまった際、事態に対応できるスペシャリストの紹介も行う内容です。
こうした保険の存在は、新規事業者の参入を促進はもちろん、シェアリングエコノミーに興味はある一方でトラブルが心配という潜在ユーザー層の利用につながると考えられます。保険がセーフティネットとなることで、シェアリングエコノミーの普及がより促がされるといえます。
別記事の「シェアリングエコノミー向けの保険も誕生!進むリスク回避の動き」ではこうした保険についてまとめています。
4. シェアリングエコノミーのサービス一覧
ガイアックスが考えるシェアリングエコノミーの5領域
- モノのシェア(フリマ・レンタル等)
- 空間のシェア(ホームシェア・駐車場・会議室等)
- 移動のシェア(カーシェア・ライドシェア・シェアサイクル等)
- スキルのシェア(家事・介護・育児・知識等)
- お金のシェア(クラウドファウンディング等)
シェアリングエコノミー協会の理事である株式会社ガイアックスは、国内外における代表的なシェアリングサービスそれぞれ5つの領域に大きく分けて考えています。これからモノ、空間、移動、スキル、お金の5領域について、国内外の例を挙げながら深堀していきます。
モノのシェア
物物交換やリサイクルによって、余剰な物品を流通させる仕組みです。日本ではファッション系のサービス(衣服の貸し借りやフリーマーケット)が盛んな印象ですが、なかでも代表的なものがメルカリ。売りたい人と買いたい人を繋げる、ネット上のフリーマーケットとして人気を博しています。サービスの提供はスマートフォンアプリを使って行われており、スマートフォン一つで手軽に出品・購入することができるのが魅力です。
airClosetは月額制のファッションレンタルサービスです。プロのスタイリストがコーディネートした洋服が自宅に届き、返却期限はなく、クリーニングの必要もないため手軽に様々なファッションを楽しめます。月1回3着から始められ、借り放題のコースもあります。
https://www.cocooking.co.jp/food-sharing/
株式会社コークッキングが運営するTABETEは2018年に開始したばかりのフードシェアリングサービスです。飲食店で閉店時間や賞味期限などの理由で、そのままだと廃棄されてしまう食事を割安で購入することができ、食品廃棄を減らすことにも貢献できます。
建設機械や工具類のネットレンタルjukiesは、遊休資産の活用を目指して豊田通商株式会社が運営を開始したサービスです。日本全国に150以上の拠点があり、最短で翌日レンタルが可能です。
海外で代表的なサービスはYeardle。必要なモノを、Facebookの友だちなどネットワーク上の友人知人から借りられるか簡単にチェックできるサービスで、貸し借りの他にも「あげてしまってもいい」というモノも掲載することができます。
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空間のシェア
駐車場や会議室の他、民泊のように宿泊場所など、普段使っていない「場所」の貸し借りのサービスでは、シェアリングエコノミーの火付け役となったAirbnbが最も有名でしょう。空き部屋を宿泊所として提供することができ、全世界で利用者が増加しています。日本でも、最近では個人の利用だけではなくビジネス目的の利用も増加しています。
スペースのシェアリングサービスのスペースマーケットでは、1時間単位で空きスペースを借りることができ、会議やイベントなど様々な用途に利用可能です。最近では民泊事業にも参入しています。自治体や企業との連携も加速しつつあり、地域経済活性化への役割も期待されます。
ecbo cloak(エクボ クローク)は、店舗の空きスペースを活用した荷物預かりサービスです。スマートフォンでの予約、クレジットカード決済、多言語対応で訪日外国人の利便性向上も期待できます。駅構内はもちろん、カフェや美容院などの空きスペースも利用することができ、全国1000以上の拠点に導入されています。
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移動のシェア
移動のシェアサービスで最も有名なのは、ライドシェアサービスUberではないでしょうか
日本では配車できるのがタクシーのみですが、海外では一般のドライバーが運転する車も利用可能です。アプリで簡単に配車ができ、クレジットカード決済で直接金銭のやり取りの必要もありません。従来のタクシーよりも割安に利用できるのも魅力です。
相乗りマッチングサービスのnottecoはガソリン代や高速代を節約したいドライバーと、安く目的地に行きたい利用者を繋ぐサービスです。ユーザーが安心して利用できるよう、24時間体制で利用者のプロフィール、ドライブ情報の監視やパトロールを行っています。
自転車のシェアサービスでは2011年設立のコギコギが実績のあるサービスとして挙げられます。電動アシスト自転車を半日から借りられ。鍵の管理や支払いはスマートフォンのアプリで簡単に行うことができます。自転車シェアサービス導入には多額の費用がかかることから、実証実験支援サービスも開始しました。
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リソースのシェア
リソース領域では実に多様なサービスが数多く展開されています。ペットシッターから家事・育児代行、DIYの代行、技術の提供やちょっと何かを手伝うためサービス、更にはお金の貸し借りまで非常にバラエティ豊かです。
クラウドワークスは、仕事を依頼したいクライアントと、経験や実績を持った働き手とを繋ぎ、仕事の依頼件数は約239万件を誇る日本最大規模のクラウドソーシングサービスです。仕事の開始から終了まですべてインターネット上で完結するため、利用者は時間や場所の制約を受けずに仕事をすることができます。
家事代行サービスcasyは24時間365日予約が可能、利用者とのマッチングをシステム化し無駄を省くことで、業界最安値水準の料金を実現しています。働く側にとっても、家事を副業とすること隙間時間を有効活用することができます。
海外で有名なスキルシェアサービスでは、DogVacayがあります。旅行などで家を空ける際にペットを預けたい人と、それを預かる人を結ぶサービスです。他にも夕食のシェアサービスfeastlyは夕食を作りたい人・食べたい人をマッチングし、見知らぬ人と食卓を共有することができます。
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お金のシェア
シェアリングエコノミーで今後さらなる普及が期待されるのが、金融サービスの分野です。
P2P融資またはソーシャルレンディングとも呼ばれるインターネットを介した金融サービスで、既存の金融機関には対応できなかった、中小企業や個人向けの融資を行います。
Makuake(マクアケ)は日本最大級のクラウドファンディングサービスで、アイディアを実現したい人はインターネット上でプレゼンを行い、賛同者からの支援を募ることができます。
株式会社サイバーエージェントのグループ会社でもあります。
Crowd Reality(クラウドリアルティ)は不動産に特化したサービスで、不動産を活用したい人と、それを投資として応援したい人を繋げるサービスです。少額の資金調達や投資のニーズにも対応しており、利用者にはマーケティングなどの事業運営に必要なサポートも行っています。
https://farm-sportsfunding.com/
特化型のクラウドファンディングには、他にもFARM Sports Funding(ファームスポーツファンディング)があります。スポーツ特化型クラウドファンディングで、資金調達が困難なアスリートが競技生活を続けられるようサポートできる仕組みです。1回のみの「都度支援」、月額固定の「マンスリーサポート」があります。
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シェアリングエコノミー普及の懸け橋へ 金融ビジネス分野に期待される今後の役割とは?
シェアリングエコノミーを代表する米国2大企業「Uber」「Airbnb」
上記では分野別にシェアリングエコノミーを紹介しましたが、この項では世界的に有名なシェアリング企業2社、UberとAirbnbについて説明します。
Uberはスマホをクリックするだけで既存のハイヤーやタクシーを呼べるだけでなく、一般のドライバーがライドシェアできるプラットフォームを作りました。
利便性、コスト、サービスの質がユーザーやドライバーから評価され、急速にシェアを拡大したため、既存のタクシー会社が衰退し、サンフランシスコでは実際に倒産する企業が出ました。そのため既存業界がシェアリングエコノミーの台頭によって侵食され縮小することを「ウーバライゼーション」と言うようになっています。
別記事の「ライドシェアリングサービスUberのビジネスモデルまとめ」もぜひご覧ください。
Airbnbは空き物件や空き部屋を旅行者に貸し出す「民泊」サービスで、貸主と借主の両方がAirbnbの利用料を支払う形で運営されています。貸し主には部屋を貸すまでの手厚いサポートを実施し、借り主には部屋の詳しい情報と吟味できる高品質な写真をプラットフォームで提供し、利用を拡大しています。
別記事の「民泊(airbnb)の基本ビジネスモデルや法規制を総まとめ」にも詳細がまとめられています。
両サービスは、現行法が想定していないIT技術の進化が可能にしたサービスのため、法律規制の想定外にあり、合法とも非合法とも言えないグレーゾーンに置かれています。
しかしUberもAirbnbも使用時間の少ない車や不動産物件といった遊休資材を活用し、環境にかかる負担も少なく低コストで必要としている人に提供するサービス。人口密集地域が抱える都市問題や、観光地が抱えるインフラの不足、過疎地域が抱える生活水準の維持など社会的に求められているサービスといえます。
くわえてシェアリングエコノミーは、消費・購買を絶えず促進してきたこれまでの経済の仕組みと異なるだけでなく、人と人がつながってメリットを生み出そうとするシステムなので、「コミュニティの創生」にもつながるのではないかと期待されています。
5.国内での利用に関して
PwCコンサルティング合同会社の調査によると、2018年の日本におけるシェアリングサービスの認知度は42.2%で、前年に比べ10%増えてはいるものの、まだ一般的に浸透しているとはいえない状況です。
https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/sharing-economy180907.html
カテゴリー別では「モノ」「移動手段」「場所・空間」の認知度が高く、「スキル」や「リソース」のシェアについてはまだ認知度が低いことがわかります。
https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/sharing-economy180907.html
海外ではシェアサービスといえばライドシェアや民泊がまず挙げられますが、日本では規制の問題などがあり、海外に比べて普及が進んでいないのも原因かもしれません。
認知度について世代間で大きな差は見られませんでしたが、利用経験と今後の利用意向は若年層ほど多いことがわかりました。特に10代から30代の関心が高く、若い世代ほどスマートフォンなどデジタルツールに慣れ親しんでおり、30代は子育てや介護に奔走する世代であることから、利用してみたいサービスは認知度が高い「モノ」「移動手段」以外に「家事・手伝い・シッターなどのスキルや労働力」が多いことがわかりました。
https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/sharing-economy180907.html
また、利用者としてシェアリングサービスを利用するメリットとしては、「金銭的な節約」を挙げる人が最も多く、「モノ」「移動手段」においてはサービスの多様化などのメリットよりも節約が大きな利用の動機となっています。
https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/sharing-economy180907.html
シェアリングエコノミーについて「今後日本でさらに普及する」と思う人は全体の3割で、「2年後に自分が利用者または提供者になっていると思う」と思う人は2割以下でした。利用の際に懸念されることとして「事故やトラブル時の対応」が最も多く、シェアリングサービスのさらなる浸透のためには、サービスの品質の担保や、信頼の確立が課題と考えられます。
https://www.pwc.com/jp/ja/press-room/sharing-economy180907.html
6.まとめ
「インターネットを介し、個人間で余剰なモノのやり取りをする」というシェアリングエコノミーですが、日本でもどんどん広がりを見せています。法整備の関係もありますが、国内におけるシェアリングエコノミーに秘められた可能性は非常に大きく、日本政府も今後の推進に意欲的です。
これまでにも様々な企業が様々な切り口から「シェア」できるもの、有効活用できるものを見つけ出しサービス化してきましたが、まだまだ実現に至っていない新たなサービスも今後登場するかもしれません。非常に多様な領域をカバーできるだけに、これからにも更に注目していきたいビジネスモデルと言えるでしょう。
シェアリングエコノミーの拡大は、既存事業者にとって脅威となるかもしれません。モノのシェアが進めば新品の購入機会が減少する可能性があり、ライドシェアや民泊が進展すればタクシー業界や宿泊業への影響が懸念されます。
しかし、ターゲットとする顧客層の違いや、両者の強みが異なることから、事業者同士の連携も進んでいます。
例えば、北九州市に本社のある第一交通産業は2017年に中国のライドシェア最大手の滴滴出行と提携、2019年3月にはUberとの連携も発表しています。ライドシェアサービス業者のアプリを利用し既存のタクシー業者の配車を行うことができれば、利用者数を増やすことができ、双方にとってメリットとなります。
金融分野では、大手金融機関とクラウドファンディングの提携例もあります。メガバンクの幅広い顧客基盤を活かし、希望する顧客にクラウドファンディングを紹介することで、新しい製品やサービスが世に出るきっかけになるかもしれません。
他にも、クラウドファンディングの調達実績に応じて、金融機関からの融資額を決定するという協調融資制度も始まっています。
このように、既存の業者と新しいサービス提供業者が双方の強みを活かせるような連携は今後ますます増えていくと考えられます。
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