Pocket

近年、拡がりを見せている「シェアリングエコノミー」。

その背景には、インターネットやスマートフォンなどのIT技術の普及により、SNSを通じて誰でも個人対個人でのやり取りが可能になったことが挙げられます。仲介者が存在しないため、気軽に安価なサービスを受けられるのです。

シェアリングエコノミーでは、モノに限らず、労働力などの「リソース」、民泊や駐車場などの「場所」、車などの「移動手段」でさえもサービスの対象になり得ます。

中でも最近注目を浴びているのが、米国の「Uber Technologies」です。

彼らは、一般的なタクシーの配車に加え、個人が空き時間と自家用車を使って他人を運ぶ「カーシェアリング」というシステムを構築し、世界中の都市に進出しています。また、今年に入り、新しい交通領域にも挑戦していくことを明らかにしています。

この「Uber Technologies」の具体的な取り組みについて見ていきましょう。

目次

  1. 急速に普及するライドシェアサービス最大手「Uber」
  2. 空飛ぶライドシェアサービス構想「Uber Elevate」
  3. まとめ

急速に普及するライドシェアサービス最大手「Uber」

「Uber Technologies」の2016年の時点での評価額は、6兆円を超えると言われています。「Uber Technologies」の代表的なサービスが「Uber(ウーバー)」です。

Uberは、スマートフォンにアプリをダウンロードし、利用者のクレジットカード情報を登録することで手軽にタクシーやハイヤーを呼ぶことのできる配車サービスです。一般的なタクシーに比べ、お客様のところへ到着するまでの時間が短かったり、降車時の決済の手間が省けたりと、利便性が高いことが好評価につながっています。
Uberでは、お客様が運転手を評価し、それと同時に運転手もお客様を評価する「相互評価」が取り入れられており、流しのタクシーより安全に利用できるというメリットもあります。海外で問題となっている「領収書を発行してもらえない」、「法外な料金を請求される」といった問題を、この相互評価によって回避しています。

また、車の持ち主にとっては、自分の空き時間を使って簡単にお小遣いが稼げる点もメリットと言えるでしょう。運転手の契約数は、アメリカだけでも約16万人と言われています。

営業許可がないと新規参入はできないとされていたタクシー業界で、このサービスはアメリカに留まらず、ヨーロッパでも急速に市場を拡げています。現在では、世界の70の国、地域、450都市以上で展開されていると言われています。

日本では、2013年11月より台数限定でのトライアルサービスを実施し、2014年8月より東京都内全域で本格的にタクシーの配車サービスを開始。全国的に広く普及してきています。一方で、自家用車による運送サービスは違法行為に当たるとして、国土交通省からサービスを中止するよう指導が入るなど、米国のようなビジネスモデル構築にはいくつかの課題が残ります。

空飛ぶライドシェアサービス構想「Uber Elevate」

Uberは、2016年10月、98ページに及ぶ白書を公開し、その中で「Uber Elevate」という新ライドシェア構想を発表しました。

「VTOL」(Vertical Take-Off and Landing:垂直離着陸機)と呼ばれる小型の電気航空機のネットワークを構築するという内容で、現代の移動手段である車を航空機に置き換える、という発想です。

VTOLを使うことにより長い滑走路を必要とせず、都市部など狭い場所でも発着陸ができること、また将来的には自家用車を所有するよりも安価になる、とメリットを提唱し、今後10年以内の実現を目指しているそうです。

また、VTOLを実用化するうえで考えられる課題として、法規制、バッテリー技術、安全性なども挙げられますが、これらもすべて解決できると見込んでいます。

このように、Uberの本当の狙いはタクシーの代行業務ではなく、「移動」に関するすべてを仕組み化し、便利で効率的な世の中にしていくことなのではないでしょうか。

その例として、現在開発が進められている「自動運転技術」が挙げられます。「自動運転車が実用化された暁には、Uberを全て自動運転車に置き換える」とUberのCEO、Kalanik氏が公言しており、タクシーや自動車を運転している「人」でさえも最新技術に置き換えられようとしていることが分かります。

コロンビア大学の分析によると、マンハッタンのタクシー需要は9,000台(現在の1.3万台の約2/3)の自動運転車でまかなうことができるようで、自動運転車に切り替えた場合の平均待ち時間は現在の5分から36秒に、費用は1/4程度になると予想されているそうです。自動運転技術が導入されることにより、Uberは今よりも便利に安価に移動手段を提供することができるようになりそうです。

まとめ

「ライドシェア」の分野で発展を遂げている、「Uber Technologies」。

そのサービス内容は利便性、安価な点を考慮すると、消費者の需要にも合っているのでしょう。しかし、各国の法規制の問題や、トラブルが起こった際の対応など、まだまだ課題も多く見られます。

地上の交通から空の交通へとサービスを拡げようとしているUber Technologies。彼らがどのように夢を形にしていくのか、まだまだ目が離せません。

Pocket