シェアリングエコノミーのメリットといえば、「時間を有効活用できる」、「既存のサービスに比べ安価である」「普段できないことが経験できる」などなどです。
そんな斬新なシステムに過敏に反応しているのが、流行や起業に敏感な大学生です。
世界の大学では、日本のマーケットにはまだ登場していない便利なシェアリングエコノミーの数々が芽生えており、今後日本でもサービスの成長が見込めそうなものも見受けられます。
そんな中から、興味深い事例を3つご紹介します。
目次
- カナダの大学で取り組まれている傘のシェアリングサービス 「UmbraCity」
- 小銭いらずでシェア、レンタルできる自転車 「WhipBikes」ほか
- 大学生による大学生のための引っ越しサービス 「Bellhops」
- まとめ
1.カナダの大学で取り組まれている傘のシェアリングサービス「UmbraCity」
2013年夏にカナダ・バンクーバーのブリティッシュコロンビア大学で始まった、学生を対象に傘を無料で貸し出しする「UmbraCity」というユニークなシェアリングサービスがあります。バンクーバーはカナダの都市の中でも雨が多い街だそうで、突然雨が降り出すことは日常茶飯事。傘がなくて雨に濡れてしまったり、逆に雨が止んだ後も終日傘を持ち歩いたりといったわずらわしさへの解決策として、学生チームがUmbraCityをローンチしました。カーシェアリングサービスにヒントを得ており、ネット上の地図から傘を借りられるキオスクの場所を確認できるようになっています。
傘を使いたいと思ったら、UmbraCityのサイトかキオスクで登録して会員カードを発行してもらえば、学生なら誰でも利用できます。この際、メールアドレスと決済に使われるクレジットカードの情報を登録します。借りてから2日以内に返却すれば無料ですが、その後は延滞料金が課せられるそう。返却する場合はどの場所のキオスクでも可能で、専用の回収ボックスが用意されています。キオスクはブリティッシュコロンビア大学キャンパス内に5カ所(2015年12月時点)ですが、今後バンクーバー市内にも展開する予定だとか。
日本の駅周辺などでも傘をシェアするサービスは試みが進んでいますが、返却率が低く回収がスムーズにいっていない面もあるようです。例えば電車の各駅にシェアアンブレラコーナーを作り、48時間以内に返却すれば使用料金もかからないなどシステムに一工夫があれば、日本でも需要が高まるかもしれません。
2.小銭いらずでシェア、レンタルできる自転車 「WhipBikes」ほか
イギリスでは、2010年に若きアントプレナーたちによって「WhipBikes」という自転車シェアサービスが立ち上げられました。24歳のRobert Grisdale氏と23歳のJack Payne氏は、母校である英ニューキャッスル大学に自転車150台を設置、大学キャンパス内での移動に学生がシェアできるシステムを作りました。
このサービスは、公式サイトからあらかじめユーザー登録をして、入会金14.95英ポンドを払えばいつでも自転車が利用できるというもの。自転車には一台ごとに固有のナンバーが与えられ、ユーザーが自転車置き場から使いたい自転車のナンバーをテキスト送信すると、自転車のロックを解除するためのパスワードが送り返される仕組みになっていました。利用料は30分で50ペンス。この料金は自転車を借りる際の通話料で徴収されるため、ユーザーは小銭いらずで手軽にシェアすることができます。
日本でも最近、同様の自転車シェアサービスが始まっています。日本の場合は、自転車の盗難や放置自転車の問題が根強く、それを解消するべく全国の国立大学を中心に「COGOO」というサービスが展開されています。2016年8月現在では、横浜国立大学、千葉大学、京都大学、大阪大学、一橋大学、九州大学でサービスが導入されており、学生もPRに参加するなど取り組みに携わっているそう。
COGOOではスマホアプリでログインして使いたい自転車の暗証番号を入手、ロックを解除できるという方法をとっています。「WhipBikes」のシステムと似ていますが、アプリをプラットフォームにしている点が、より特徴的なシェアリングエコノミーのサービスに進化していると言えるでしょう。登録は無料で、決済はクレジットカードで行われますが、使用場所により料金は異なります。
3.大学生による大学生のための引っ越しサービス「Bellhops」
アメリカでは小規模の引越しに利用できる引越しのシェアリングサービス「Bellhops」が人気を呼んでいます。Bellhopsはビジネスを拡大し、今では国内33州83都市でサービスを展開しています。(2016年8月時点)。このビジネスの特徴は、「引越し作業を行うワーカー(ベルホップスと呼ばれる)がすべて大学生である」ということ。公式サイトによれば、平均の報酬は1時間あたり24ドルだそうです。
サービスを利用するにあたって、ユーザーは引越しをする都市、必要な人数、引越しにかかる時間をサイトから入力します。引越し予定日を予約すると、ユーザーのもとへ当日担当するベルホップスたちの写真やプロフィールが送られてきます。
燃料費や保険料が別途かかりますが、引越しに使うトラックもBellhops側で用意することが可能です。また、万が一引越し中にユーザーの家財道具を壊してしまうようなトラブルがあったとしても、保険がかけられているため安心です。そして引越しが完了すると、ユーザーはサイトの使い勝手やベルホップスの仕事ぶりなどについて評価ができるシステムになっています。
4.まとめ
大学のキャンパスという特徴的な環境に着目したり、大学生の自由な時間を活用したり、それぞれおもしろいシェアリングサービスの事例が見えました。今後もさまざまなアイディアやサービスが生まれていくことでしょう。
固定概念にとらわれない大学生だからこそ、新しい価値観を生み出し、世間に受け入れさせていくサービスを作れるのかもしれませんね。
今後も若いチカラから生まれてくるであろう、新たなサービスを取り上げていきたいと思います。