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2017年に入り民泊新法が成立しました。これによって、今まで法律上グレーゾーンになっていた部分にルールが定められることになり、民泊業界はさらに盛り上がりを見せています。ただし、新法の内容に対して好意的な意見だけではなく、民泊ホスト、関連事業者、仲介プラットフォーマー、自治体など、立場によって受け止め方が異なるようです。

どんなことが定められているのか、知っておくべき大切なポイントを見ていきしょう。

目次

  1. 民泊新法(住宅宿泊事業法)とは?・民泊新法は、いつ成立して、いつ施行されるのか
    ・なぜ民泊新法が作られたのか
    ・民泊新法が適用される条件
  2.  民泊新法(住宅宿泊事業法)の概要・民泊新法の対象者
    ・民泊新法の概要(1)住宅宿泊事業に係る届出制度の創設
    ・民泊新法の概要(2)住宅宿泊管理業に係る登録制度の創設
    ・民泊新法の概要(3)住宅宿泊仲介業に係る登録制度の創設
  3.  民泊新法(住宅宿泊事業法)に対する利害関係者の反応
  4.  まとめ

1.民泊新法(住宅宿泊事業法)とは?

民泊新法は、ホテルや旅館など、これまでも存在した旅館業法に基づく宿泊施設ではなく、住宅での宿泊事業を規定するための新しい法律です。

民泊新法は、いつ成立して、いつ施行されるの

政府は2018年1月の施行を目指していると言われています。法案自体は2015年ころから必要性が叫ばれるようになり、2017年3月10日に閣議決定、6月1日に衆院で可決、6月9に参院でも可決され、成立となりました。

なぜ民泊新法が作られたのか

近年、急激に訪日外国人観光客が増えて、人気の観光地や首都圏では宿泊施設の不足が見られるようになりました。ホテルや旅館など既存の宿泊施設だけでは、訪日外国人観光客のニーズに対応しきれなくなっていたのです。そこで台頭してきたのが「民泊」でした。

ところが日本には、宿泊施設が安全で快適な滞在を提供するための「旅館業法」があり、宿泊施設にはこの業法が適応されなくてはいけないという決まりがあります。しかし、一般の住宅で宿泊事業を行う民泊にとって、旅館業法の厳しい規定を満たすことは困難なものでした。

そのため無許可で民泊営業をする施設が続出し、トラブルも増加。しかしそれを規制する法律もないので、訴訟沙汰になっても明確な規定はなく、民泊という新たな宿泊形態に対応するために、現実的な法規制が求められていました。

民泊新法が適用される条件

住宅宿泊事業法案要綱によると、「新法で定められる民泊」とは、「旅館業以外の人が住宅に人を宿泊させる行為」で、「行為が年間180日を越えないもの」が民泊新法の適応条件とされています。

ここでの住宅とは、「家屋の中に台所、浴室、便所、洗面設備等の設備」があり、「実際に人の生活拠点として使われているところ」または「民泊利用の前後に人に貸し出ししている家屋」と定義されます。

 

2.民泊新法(住宅宿泊事業法)の概要

ここからは民泊新法の概要を見ていきましょう。

民泊新法の対象者

民泊新法が定義する対象者は下記の3者です。

・①住宅宿泊事業を運営する事業者
180日を超えない範囲で、住宅に人を宿泊させる事業者のこと。民泊のホストがこれにあたります。

・②住宅宿泊を管理する事業者(①から委託されて管理を行う事業者)
①から委託を受けて、住宅宿泊の維持管理をする事業者のこと。民泊代行業者がこれにあたります。

・③住宅宿泊を運営する人と宿泊したい人を仲介する事業者
届け出をして許可された住宅に泊まりたい人と、住宅宿泊事業を運営する人を仲介して、契約の媒介をする人。民泊プラットフォーム事業者がこれにあたります。

民泊新法の概要(1)住宅宿泊事業に係る届出制度の創設

 [1] 住宅宿泊事業を営もうとする場合、都道府県知事への届出が必要

民泊を営業する場合(民泊新法対象者の①に当たる事業者)は、都道府県知事または保健所設置市(政令市、中核市など)、特別区(東京23区)など、各地域の住宅宿泊事業の事務処理をするところの長に届出が必要です。

 [2] 年間提供日数の上限は180日

180日を越えて民泊営業をすると旅館業法の対象となるので、その許可がない場合は罰則の対象になります。

 [3] 地域の実情を反映する仕組み(条例による住宅宿泊事業の実施の制限)を導入

住宅宿泊を始めたことによって、騒音などの生活環境の悪化を防ぐ必要があるときは、合理的な範囲で条例を設けて、営業日数を制限することができます。

 [4] 住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置(宿泊者の衛生の確保の措置等)を義務付け

衛生確保と宿泊人数の制限措置、防災対策とその表示、外国語での設備利用法や交通手段の説明の提供、宿泊者名簿の作成・備付け、騒音防止のための説明、近隣からの苦情への対応、公衆への標識の掲示等、業務上守るべき規定が示されています。

 [5] 家主不在型の住宅宿泊事業者に対し、住宅宿泊管理業者に住宅の管理を委託することを義務付け

ホストが不在の民泊物件は、民泊代行業者に管理を依頼することが義務付けられています。都道府県知事は違反を確認した場合、業務停止またが業務の廃止を命じることができます。

民泊新法の概要(2)住宅宿泊管理業に係る登録制度の創設

 [1] 住宅宿泊管理業を営もうとする場合、国土交通大臣の登録が必要

民泊代行業を運営する場合(民泊新法対象者の②に当たる事業者)は、国土交通大臣の登録が必要です。
 [2] 住宅宿泊管理業の適正な遂行のための措置(住宅宿泊事業者への契約内容の説明等)と(1)[4]の措置の代行を義務付け

民泊代行業者は、契約を結ぶとき、ホストに契約書の交付や書面での説明義務あること、誇大広告や事実でないことを告げたりや不都合なことを意図的に隠すことも禁止されています。

国土交通大臣は登録の取り消しまたは業務停止を請求できます。都道府県知事は違反を確認したとき、国土交通大臣に処分を要請できます。

民泊新法の概要(3)住宅宿泊仲介業に係る登録制度の創設

 [1] 住宅宿泊仲介業を営もうとする場合、観光庁長官の登録が必要

民泊仲介業を運営する場合(民泊新法対象者の③に当たる事業者)は、観光庁長官の登録が必要です。

  [2] 住宅宿泊仲介業の適正な遂行のための措置(宿泊者への契約内容の説明等)を義務付け

民泊プラットフォーム事業者は宿泊者に対して書面での説明義務あること、不当な斡旋や事実でないことを告げたり、不都合なことを意図的に隠すことも禁止されています。

観光庁長官は違反があれば、登録の取り消しまたは業務停止を請求できます。

 

参考:

観光庁報道発表 http://www.mlit.go.jp/kankocho/news06_000318.html

住宅宿泊事業法案要綱  http://www.mlit.go.jp/common/001175229.pdf

 

3.民泊新法(住宅宿泊事業法)に対する利害関係者の反応

民泊新法の成立を受けて、レオパレス21が民泊市場への参入を検討していることがわかりました。ただし同社は民泊を運営するのに必要な精算や開錠などに関わるITインフラを整備しつつ、参入時期を見極める模様。

というのも、ホスト不在型民泊は外部の民泊仲介業者に管理を依頼しなくてはならず、民泊営業できる日数にも上限があるため、現状では採算ベースに乗らない恐れがあるようです。

一方民泊プラットフォーム事業者の代表格Airbnbは歓迎ムード。3月の閣議決定に際して、今後の民泊の推進につながるものと、好意的なコメントを発表しています。

自治体によっては、成立したばかりの民泊新法にすでに否定的な姿勢を見せているところもあります。京都市長は自治体レベルで独自のルールを制定できるようにし、実効性のあるものにしてほしいとの要望を示しています。長野県軽井沢町では公式サイトで民泊施設の設置を禁止すると公表しています。

観光庁長官が自治体によって年間ゼロ泊とするところが出てきても、地域の実情がさまざまなので最終的には各自治体の判断となるという見解を示したとも言われています。

 

4.まとめ

近年急速に普及した日本での民泊利用。法整備を求める声多かった中、ついに民泊新法が成立しました。民泊自体には変わらず賛否両論ありますが、法律が設けられたことによって制度として明確になった部分が多く、新法施行に向けた準備など、各方面での動きは今後ますます活発化していくことが予想されます。すでに法改正を望む声もあるため、引き続きこの動向には注目していきましょう。

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