シンガポールで、日系企業が運営するコワーキングスペース「CROSSCOOP SINGAPORE」の提供が開始されました。そこでは利用者同士が国籍や業種を超えたコミュニケーションを形成し、オープンイノベーションを推進することを目的に掲げています。
シンガポールは日本企業が海外進出する際の足がかりとしても人気で、コワーキングスペースではビジネス相談や会社設立などを日本語でサポートするということです。
この記事では、コワーキングスペースのサービス内容や運営会社の思い、利用のメリットなどを紹介します。
目次
- CROSSCOOP SINGAPOREについて
・サービス概要
・運営会社について - 利用のメリットとは
- 広がる働き方とシェアエコの関係
- まとめ
1.CROSSCOOP SINGAPOREについて
サービス概要
https://crosscoop.com/office/singapore
「CROSSCOOP SINGAPORE(クロスコープシンガポール)」は、利用者同士のコミュニケーション活性化を目的として、シンガポールに誕生したコワーキングスペースです。
利用者同士が国籍や業種を超えて情報交換や協業できるよう、マーケティングや商品開発、人材採用活動などにおけるオープンイノベーションを推進するとしています。
コワーキングスペース内は、5つのコンセプトに基づいてエリアが設計されています。
- 集中スペース(Focus)
誰からも邪魔されずに集中して執務やビデオ会議が出来る個別ブース- コラボレーションスペース(Collaboration)
利用者同士が簡単にミーティングや議論が出来るスペース。- 学習スペース(Learn)
情報をインプットするためにリラックスしながらブラウジングできるスペース。- 交流スペース(Socialize)
様々な人と出会い交流することを促進するスペース。- 活力回復スペース(Rejuvenate)
仕事のストレスや疲れを回復させて次の活力を養うスペース。
利用料は月額200シンガポールドルから。15シンガポールドルで1日だけの利用もできます。登記ができるバーチャルオフィスや、オプションでロッカーなども用意されており、短時間の利用はもちろん本格的な常駐事務所としてなど、幅広い用途での利用が可能です。
https://www.atpress.ne.jp/news/129085
また、受付業務に人型ロボットの「NAO」をサポートとして配置するという実証実験が話題にもなりました。このロボットを利用したことで、目標を上回る7.5%の受付業務の削減が達成できたということです。
運営会社について
運営会社のCROSSCOOP SINGAPORE PTE LTDは、2011年に日系企業向けのレンタルオフィスをオープンしています。
創業者の庄子氏によると、アジア地域への海外進出を考える日本企業は、まずシンガポールでビジネスを始めることが多いとしています。その理由として、シンガポールは外資規制がないため、会社設立が比較的スムーズに進むことや、経済状況の安定、港湾や空港が整備されている、優秀な人材が集まりやすいということを挙げています。
CROSSCOOP SINGAPOREではただ仕事の拠点となる場所を提供するだけでなく、アジアでのビジネス戦略のアドバイスや会社設立、人材採用、PR、投資スキームなど、あらゆるサポートを行っています。ときには病院や教育などの生活情報や、おすすめのレストランについて聞かれることもあるのだそうです。このようなホスピタリティを提供した結果、レンタルオフィスは2017年には稼働率95.0%という人気を獲得するまでに成長しました。
今回のコワーキングスペース開設はこうした実績を背景としたもので、日系企業の進出を支援するとともに、利用者間のオープンイノベーションを進めていきたい考えです。
2.利用のメリットとは
CROSSCOOP SINGAPOREでは日本語、英語、中国語、インドネシア語の対応ができるバイリンガルのスタッフが常駐しています。
そのため日本語でのコミュニケーションが可能で、オフィスサービスや翻訳サービス、会社設立サービスといったオプションサービスも利用できることが大きな特徴のひとつです。
またコワーキングスペースではプライバシーに配慮した個別ブースのほか、コラボレーションスペースで勉強会や交流イベントを開催し、コミュティとしての機能を高めたいとしています。
さらに役員にはシンガポール政府の商務官を経験した人材も名を連ねており、政府組織への紹介や顧客同士のコネクションができるといった付加価値を提供しています。
これまでに500社を超える日系企業の進出を支援してきており、外国語が不慣れな中で受けられる日本品質のサービスは、海外進出を始めたばかりの日系企業から多大な支持が寄せられています。
3.広がる働き方とシェアエコの関係
2018年、コワーキングスペースを運営するアメリカの企業WeWorkが日本にワークスペースを開設したことが話題となりました。
また、働き方改革で在宅勤務やリモートワークを採用する企業が増えたことや、クラウドソーシングの普及でフリーランスという働き方が注目されたことで、日本国内でもコワーキングスペースの利用は少しずつ広がりを見せています。
これらによって、かつてはオフィスを又貸しして働く場所を提供するだけだったコワーキングスペースは、勉強会や交流会を開催したりユーザー同士をゆるやかに繋げたりといった、コミュニティ的機能を提供する場へとシフトしています。
働き方改革とシェアリングエコノミーについては、以下の記事もあわせて参考にしてください。
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4.まとめ
働き方改革やシェアリングエコノミーの浸透は、これまでモノやスペースは所有するのが当たり前という価値観から、社会でシェアすることで効率化を促進し新たなバリューを生み出せるという考え方へ徐々に移り変わっているようです。
モノや場所を効率的に使うことができるシェアリングエコノミーは、人口減少や空洞化に悩む地方の過疎地からも注目を集めています。少子高齢化の進む日本において、こうしたシェアリングエコノミーを利用した柔軟な働き方は今後もますます広がっていくと考えられます。