シェアリングエコノミーラボ (Sharing Economy Lab)

代表的なライドシェアリングサービス「Uber」を徹底解説。使い方やビジネスモデル、業界への影響まで

ライドシェアリングサービス(以下、ライドシェアサービス)の最大手として、発祥の地であるアメリカをはじめ、今や世界中にその勢力を拡大し続けるUber。

その勢いはとどまる所を知らず、さらなる事業拡大のための資金調達にも次々に成功。2016年6月1日にはサウジアラビアの政府系ファンドから35億ドルを調達し、市場での評価額は625億ドルにもなると言われています。

本記事では洗練されたライドシェアサービスを提供するUberのビジネスモデルや競合について、また国内外における課題、Uber症候群と呼ばれる現象についてまとめました。

※編集部注:

2017年8月23日に加筆修正しました。

2017年5月3日に加筆修正しました。

目次

  1. ライドシェアリングサービスUberとは?今までにない革新的ビジネスモデル
  2. 日本国内でのUberのサービス展開
  3. ライドシェアサービスにおける課題
  4. 普及するUber型ビジネスモデル
  5. 既存産業の破壊「Uber症候群」
  6. まとめ

1.ライドシェアリングサービスUberとは?今までにない革新的ビジネスモデル

Uberとはなにか

Uberとは、スマホで車両の配車から乗車、決済までを行うサービスです。これらすべての手続きは、簡単なアプリ操作で完了します。日本ではUberで配車できるのはタクシーのみですが、米国などではタクシー以外の一般ドライバーが運転する車も配車可能です。

よりお得&効率的に車を使って移動したいユーザーと、空き時間に車を使って副収入を得たいドライバーをマッチングする、「移動のシェアリングエコノミー」に属するサービスです。

ライダー(乗車する人)のメリットは、近くにある車をすぐに、GPS機能を使って正確に配車でき、ドライバーへの目的地の指示や金銭授受が車内で発生せず、到着までスムーズにできます。 タクシー会社に電話して到着を待ち、ドライバーに行き先を説明しながら到着し、車内でお支払いといった過程が省略されるのです。

一方、ドライバーは、空いている時間やお小遣い稼ぎとして自分の車を使ってドライバーになることができます。 ドライバーは身分登録が必須です。ライダーとドライバーは乗車後に相互評価する仕組みになっており、ドライバーの運転マナー、接客態度および乗車側のマナーの向上につながっています。

Uberでは、車種によりエコノミー、プレミアム、アクセシビリティ(車いす対応・チャイルドシート付き車両)に分かれており、それぞれ料金が異なります。

また、UberPOOLという同じ方面へ移動するほかの乗客とライドシェアし、料金もシェアできるサービスもあります。

日本で利用できるのはタクシーの配車ができるUber TAXI、Uber TAXILUX、Uber専属ハイヤーを使うUber BLACK、バンです。参考までに、以下に料金を記載します。

Uber BLACK…Uber専属ハイヤー

バン…バン(大人数向け車両)

 

開始料金:103円 +毎分 67円 +1kmあたり 309円

最低料金:823円

キャンセル料:1,029円

Uber TAXI・Uber TAXILUX…タクシーの配車

メーター料金を支払います。

迎車料は配車されるタクシー会社により異なります。

(日本での利用料金。2017年4月現在)

UberTAXI、UBerLUXでは500 円の予約料金が発生。

現在の日本の法規制上、Uberのドライバーは、道路運送法の規定により、営業資格を持つドライバーの車両のみ利用が限られています。一般のドライバーが自家用車で、Uberに登録し、送迎行為をすることはできません。

関連記事:ライドシェアリングの基本からトラブル、法規制についてまとめ決定版

Uberのビジネスモデルの特徴

Uberのビジネスモデルの利点は、何と言ってもその手軽さでしょう。

スマホで簡単に車を手配でき、しかも従来のタクシーに比べておよそ3分の2程度の料金で済み、ドライバーの接客態度も良いとあれば、リピーターが増えるのも納得できます。

アメリカではUberに登録しているドライバーは売上の80%を収入として得ることができ、最高で年間9万ドルもの収入も可能だと言われています。比較してアメリカのタクシードライバーの多くは、4万6,500ドル以下の収入しか得られていないのだとか。

Uber自体はライドシェアのマッチングにより20%の仲介料を受け取ります。カード決済で確実に収益を得ることができる点もスマートです。

Uberはどのように使うのか

http://www.soumu.go.jp/main_content/000377503.pdf

上の画像は実際のUberの画面です。基本的には1.配車→2.乗車→3.評価の3ステップのみで簡単に使えます。

1.配車

Uberのアプリを立ち上げ、GPS機能を使って自分の近くにある車両を指定します。行き先も指定します。

2.乗車

Uberアプリに表示されたナンバープレートや車の特徴、ドライバーを確認し、乗車します。すでに行き先は、ドライバーに伝わっているので、説明する必要がありません。

3.評価

清算は、スマホで登録したクレジットカードに請求されます。ドライバーとの金銭授受はありません。

シェアリングエコノミーの観点から見たUber

Uberは、登場当初、画期的なシェアリングエコノミーサービスとして有名になりました。個人の遊休資産となっている車(と労働力)を移動したい人とシェアすることで、新たな市場を生み出したのです。

Uberを使えば、ライダーは従来のタクシーと比べて、手軽に、より安く移動ができます。さらにUberPOOLでは、より多くの人と移動のシェアをすることで、経済的かつ環境にもやさしく移動でき、ハイヤーやバンなど様々な車両の選択肢があることで、あらゆる状況の移動ニーズに応えることができます。

ドライバーにとって、自分の遊休資産である空いている時間と車両を使って、収入を得ることができる気軽な副業としても魅力的です。

そして、ドライバーとライダーの相互評価システムにより、よりよいサービスを受けられ、悪質な利用者を避けることができます。これも、シェアリングエコノミーサービスを定着させるために重要な仕組みです。

2.日本国内でのUberのサービス展開

Uberの日本での展開

・2014年Uberが東京に上陸

Uberは、2009年にサンフランシスコで設立されました。今では、70カ国以上で利用されています。

日本では、2013年にトライアルサービスが始まり、2014年に本格的に東京都内で配車を開始しました。

日本で利用できるUberLUXやUberTAXIは、タクシー事業者として登録されている緑ナンバーの車両を持つドライバーがサービスを提供します。現在日本でサービス提供されているものは、全て事業資格を持つ緑ナンバーの車両です。

・みんなのUberと行政指導

2015年、Uberは福岡県で「みんなのUber」を実証実験として開始しました。これはUberXのようなライドシェアの仕組みを実験的に無料で提供する内容でした。しかし、1月ほどで国土交通省から行政指導が入り、中止となりました。「白タク行為」と認められたのが原因でした。

個人の自家用車で人を運送することは、道路運送法に規定されている「白タク行為」(認可を受けているタクシー事業者以外の自家用車で人を有償で運搬する行為)に抵触する可能性があるというのが、国土交通省の見解です。

UberXは、事業者資格を持たない一般の人が自身の自家用車、またはレンタカーを使ってサービスを提供します。UverXが普及している国もありますが、日本ではこの件で明確に白タク行為と認定されたこともあり、展開が進んでいません。

京都で「特例」のサービス開始

京都府は国家戦略特区として規制緩和が認められ、道路運送法第78条第2号に基づいて「ささえ合い交通」を開始しています。これはUberのアプリベースのICTを活用した自家用車での輸送サービスです。

これは京丹後市丹後町域で地域のタクシー事業者が廃業した2008年以降、利用が限定される市営デマンドバスが運行するのみで、公共交通空白地となっていたことに由来しています。

自動車免許返納後の高齢者や海外旅行者らの利用を見込んだサービスですが、高齢者についてはスマートフォンやタブレットの利用に課題が残る恐れがあります。

Uber以外のライドシェアサービスの展開

日本ではnottecoという中長距離移動をターゲットとしたライドシェアサービスが、2008年に開始されました。

nottecoは交通費を安く移動したい人と車移動にかかる実費を節約したいドライバーをつなげる相乗りマッチングプラットフォームで、notteco代表東祐氏のインタビューによると、競合はタクシーではなく、長距離バス寄りに当たるサービスです。

安さだけでなく、ドライバーと同乗者のコミュニケーションや出会いもnottecoを利用する魅力になっています。またユーザー数を拡大し、既存のサービスが対応しきれない出発/目的地など小規模なマーケットを取り込むことが今後のnottecoの展望です。

3.ライドシェアサービスにおける課題

ドライバー向けライドシェア保険と保険市場の拡大

アメリカではライドシェア市場が拡大しており、事業者は安全性を保障するため、稼働中のドライバーに対して保険を適用する仕組みをとっています。しかしながら、その保険だけでは不十分なケースが発生する場合もありました。

それに伴い、ライドシェア事業者の保険が適用されない、または適用に制限があるドライバーのオフタイムや、待機中の保険適用にスポットを当てた、ライドシェアドライバー用保険が誕生しています。

日本では東京海上日動火災保険株式会社と一般社団法人シェアリングエコノミー協会 がシェアリングエコノミー専用の賠償責任保険の販売を開始しました。シェアリングサービスの提供に伴う対人・対物事故が生じた際に負う法律上の賠償責任を補償するものです。

これは、民泊等のシェアリングサービスにも適応されます。

関連記事:シェアリングエコノミー向けの保険も誕生!進むリスク回避の動き

既存のプレーヤーとの対立

急速にシェアを伸ばしているUberに対して、業界内の既存プレーヤーからは反発の声も挙がっています。

日本国内ではUberはただのタクシー配車アプリですが、海外では一般のドライバーがタクシー運転手の仕事を奪う形になっているため、タクシー業界の団体がデモを行ったり、訴えたりした事例も多くあります。Uberは「配車サービス」という業態でサービスを提供しているため、通常のタクシーが遵守すべき要件や規制を免れている事実を問題視しているのです。

Airbnbに対してホテル業界が抗議の声を挙げているように、新しいサービスや仕組みの登場によってシェアを奪われそうになった既存業者が反発するという構図はいたるところで見られますが、Uberについても同様の状況があります。既存プレーヤーとの共存を模索するサービスもありますが、それが難しい場合、シェアリングエコノミーサービスが拡大していくにあたっての大きな壁となりえます。

日本国内での法規制という課題

日本ではUberやLyftなどのライドシェアは「旅客自動車運送事業」に該当するため、無許可では行ってはいけないという見方が主流です。この法律が何らかの形で整備されない限り、UberXの仕組みが日本で広がることはないでしょう。

シェアリングエコノミーサービスが世界的に広がるなかで遅れをとらないために、早急な法整備が求められます。

関連記事:ライドシェアリング事業は違法の「白タク行為」になるのか?

安全性、信頼性の問題

法整備の問題だけでなく、Uberをはじめとするシェアリングエコノミーのサービスは、まだまだ安全性や信頼性の面で不安視されることが多いようです。

Uber側からドライバーへは個人情報のチェックがあるものの、直接的に労務管理や車両管理をしているわけではないので、ドライバーに安全性の管理が委ねられます。もし、事故があった時、新しいサービスであるがゆえ、通常の保険が適用されない場合もあり、リスクが残ります。

ドライバー、ライダーの相互評価システムによって悪質なサービスを防いでいるものの、プロのドライバーではなく個人の車両、運転ということに抵抗を感じる人もいます。既存のタクシー送迎サービスを好む層も一定数いることは間違いありません。

日本国内では、まだ全国的にライドシェアリングが浸透しておらず、ドライバー・ライダー両者の心理的な障壁はまだまだ高いと言えます。

4.普及するUber型ビジネスモデル

本国アメリカの状況

現状のUberの最も強力なライバルは、2012年サンフランシスコ発のLyftというライドシェアサービスです。

Lyftは一般のドライバーが参入しやすく、Lyft Plusというサービスでは通常のLyftの費用より割高ですが、Uberよりも20%安い価格でSUVのプレミアムな車を配車してくれます。

2015年時点の売上規模はUberが圧倒し、2016年時点でLyftは時価総額55億ドルと言われ時価総額625億ドルとされるUberにはまだ程遠いと見えます。ただ、創業から数年で今の時価総額に至った成長率は、Uberをしのぐと考えられるでしょう。

Uberは高級志向であるのに対し、Lyftのブランディングはフレンドリーな接客が持ち味です。事業者としてもLyftの運営は、ドライバーの待遇を向上することが、最終的に乗客へのサービス向上につながると考えており、金銭的な支援などを行いドライバーの取り込みを進めています。

業界に強力なライバルが存在することで、より提供されるサービスの質、ドライバーへの待遇向上が期待できるのではないでしょうか。

世界各国でのUberの展開状況

中国でのUber

中国で展開していたUber Chinaは、中国内シェア9割の「滴滴出行」と2016年に合併し、買収されました。

2012年に設立された滴滴出行は、中国全土に拡大し、400都市以上をカバーしています。ドライバーの登録要件のハードルが低く、圧倒的な登録ドライバー数と、展開都市の多さで、ライダーからの支持を得ました。

一方で、Uber Chinaは、高級路線を狙い、ドライバーに対して高級車や新車利用等の条件を課したためにドライバーを集めることができず、「滴滴出行」からシェアを奪うことはできませんでした。

関連記事:爆発的に成長する中国のシェアリングエコノミー市場!その背景と日本との違い

イギリスでのUber

イギリスは日本と違い、ドライバーが自家用車でライダーを有償で送迎することが法律で可能であるため、ライドシェアサービスの参入障壁が低くなっています。ただし、順風満帆というわけではありません。

イギリスでは2012年からサービスを展開していますが、2016年に雇用審判所から、Uberドライバーは、Uberの従業員であるという判決を下されました。Uberの従業員として、イギリスでの最低賃金、有給休暇の権利を有するということです。

Uber側は、ドライバーはあくまでも独立事業者であるという見解を持っており、控訴を検討しています。

また、行政や既存業界との軋轢を抱えがちなUberに対してイギリスで浸透しそうと目されているのが、配車アプリ「Karhoo」です。オープンプラットフォームのため、タクシー会社も自社システムとKarhooをつなげられます。タクシー会社と提携し、タクシー業界からは好意的な反応を得ているようです。

ヨーロッパでのUber

Uberは、ヨーロッパ各国でのサービス展開には苦戦しているようです。

2014年にはドイツのベルリンでUberが禁止されました。プロのドライバー資格を持たないドライバーが乗客を乗せて営業することによる事件や事故を防ぎ、かつ、公共交通機関を保護することが目的です。

同様に、フランスオランダでも営業許可を持たない素人のドライバーの Uber利用が禁止されました。

イタリアでは、不当競争を理由とし、Uberにイタリア国内での営業停止を言い渡しました。

それぞれの国では、ドライバーとライダーを事件事故から保護すること、タクシーなどの交通機関業界を不当な価格競争から保護することが目的としています。

関連記事:ライドシェアリングへの海外および日本での法規制について

5.既存産業の破壊「Uber症候群」

「Uber症候群」とは

「新しいビジネスモデルの競合が市場に参入することで、既存の企業が減衰する現象」を「Uber症候群」と言い表すようになりました。世界各国で展開されているUberによって、業界が変容していく過程を受けてできた言葉です。「ウーバライゼーション」とも呼ばれています。

アメリカでの事例ですが、2016年1月にサンフランシスコ最大のタクシー会社が、日本の民事再生法に該当する倒産の手続きをするニュースがありました。

事故による多額の賠償金や乗車率の低下、Uberなど配車アプリサービスとの競争激化が原因だったとされています。乗客を奪われただけでなく、ドライバーがUberやLyftに流れて運転手の確保が困難になったことも要因の一つにあったようです。

「UberやLyftでドライバーになりたいが、自動車を所有していない」という人のためのレンタルカーサービスも登場しています。Breezeというサービスでは、車のレンタルにかかる料金は約50ドル。タクシー会社から運転手が車を借りる場合、1日あたり約120ドルの料金であることを考えると、ドライバーにとって魅力的な数字でしょう。

このように、ウーバライゼーションで既存産業が圧迫される可能性があるのは、何も自動車交通業界に限った話ではありません。

UberのようにITを駆使して、サービス・アイテム・空間など様々なジャンルのモノを、ユーザーが必要な時にシェアできるビジネスモデルは、「シェアリングエコノミー」と呼ばれ、注目されています。シェアリングエコノミーは、購入・消費中心の経済活動を、共有へシフトさせているのが特徴です。

すでに知名度の高い民泊サービスAirbnbのほか、着ていない衣服を貸し出すStyle Lend、家事などの雑務代行サービスTaskRabbitなど、バラエティに富んだサービスがローンチされています。日本でも、次々とシェアリングエコノミーのビジネスモデルが生まれています。

今後IT効率化によって、新しいビジネスモデルに既存産業が侵食されていくかもしれません。

6. まとめ

UberやLyftに代表されるライドシェアサービスのように、スマホなどのITツールを仲介としてモノをシェアする動きは、市場経済を活性化させる良い契機になっています。

そのコストの低さと利便性からニーズも高く、今後シェアリングの流れはどんどん盛んになっていくことが予想されます。それによって時代と産業構造の変化も激しくなり、既存産業が淘汰され、今までになかった新しいビジネスモデルが発展してくるかもしれません。

 

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