シェアリングエコノミーラボ (Sharing Economy Lab)

急成長するシェアリングエコノミーへの企業参画~事業別参入・提携企業まとめ

Colleagues Cooperation Ethnic Diverse Partnership Concept

日本国内において、シェアリングエコノミー市場は右肩上がりに成長しており、2021年には1,000万円を超える市場になると予測されています。空き家・マンションの空き部屋などの問題、少子高齢化、労働分配率の停滞、進まない消費など、さまざまな問題を抱える近年の日本にとって、シェアリングエコノミーはまさに時代に合った新ビジネスだといえるでしょう。

さまざまな分野の企業がこのビジネスへの関心を示しており、実際に参入・提携を進めている企業も多くあります。今回は、参入企業の事例を事業別にまとめ、その傾向や動きなどについてご紹介するとともに、今後の国内シェアリングエコノミーについて考えたいと思います。

※編集部注:

2018年10月2日に加筆修正しました。

目次

  1. シェアリングエコノミー市場に関わる企業の動向
  2. 事業別の企業参入まとめ
    • 民泊
    • ライドシェア
    • スキルシェア
    • フリマアプリ
    • その他
  3. 参入時に気をつけるべきポイント
  4. まとめ

1.シェアリングエコノミー市場に関わる企業の動向

近年のインターネット高速普及によって、シェアリングエコノミー市場は拡大し続けています。

株式会社矢野経済研究所による2017年度シェアリングエコノミー(共有経済)市場に関する調査では、2015年度に約400億円だった市場規模が、2016年度には503億円と1年で25%以上の成長を遂げています。2021年には1,070億円超に達すると予測され、今後数年の間に、右肩上がりの急成長を遂げると期待されています。

http://www.yano.co.jp/press/press.php/001763

住宅宿泊事業法(民泊新法)成立をはじめ、日本国内でもシェアリングエコノミーに関する法整備がようやく動き出しました。2017年6月の閣議では、日本経済を活性化させるための新成長戦略で、シェアリングエコノミーが重点施策として掲げられています。

こうした政府の動きや、新経済連盟のような経済団体によるシェアリングエコノミー推進への取り組みもあり、大手・中小に限らず、シェアリングビジネスへ関心を持つ企業が増え続けています。すでに参入・提携している企業も数多くあり、今後もさまざまな分野でシェアリングビジネスのさらなる活発化が予測されるでしょう。

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また、株式会社矢野経済研究所による2018年度シェアリングエコノミー(共有経済)市場に関する調査では、2017年の国内シェアリングエコノミー市場は売上高ベースで716億と前年度比32.8%増の高い伸び率となりました。これは2017年度時点の見込みより高い推移で市場が成長していることを物語っています。市場全体の年平均成長率は17.0%で、2020年には1,386億円まで達すると予測されています。

https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1988

最も市場規模が大きい乗り物のシェアエコサービスですが、その中でも急速に伸びているのは「サイクルシェア」です。

大手コンビニエンスストア・セブン-イレブンは、OpenStreet株式会社とソフトバンク株式会社が提供するHELLO CYCLINGと提携し、各所にあるコンビニの強みを生かして好きなところで借りて返せるサービスを開始。健康志向の高まりや行政からの後押しもあり、今後の市場規模も拡大する見込みです。

「駐車場シェア」の割合も堅調に広がっています。個人間で空いている駐車場を貸し借りできるakippaは個人宅などの空き駐車場を予約して駐車できるサービスです。都市部の既存スペースには限りがあり、Charippaなど駐輪場シェアという新サービスも登場しています。スペースのシェアリングエコノミーサービス市場の成長ペースは加速するものと予測します。

スペースのシェアエコである「民泊サービス」は、2018年6月からの法改正により無届施設の掲載をしない方向で進んでいるため、一時的に縮小すると考えられています。しかしながら、東京オリンピックやパラリンピックの開催や近年の訪日外国人客増加に伴い、将来的には民泊サービス市場は拡大すると予想されます。法整備されたことで、サービスを受ける側の安心感が高まると考えられており、利用者の増加が期待されています。シェアリングエコノミー市場は、少子高齢化を代表とする人口構造やサービスの多様化に後押しされ、今後も高い水準で成長が続くのではないでしょうか。

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2.事業別の企業参入まとめ

民泊

シェアリングエコノミーの中心的事業ともいえる「民泊」。住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立したことによって、大手企業も続々参入してきています。

楽天LIFULL STAY

https://www.rakuten-lifull-stay.co.jp/

大手IT企業の楽天と、不動産情報サイトでは最大級の物件数を誇るLIFULLが共同出資し設立された「楽天LIFULLSTAY」は、両社の強みを生かし、早くも民泊事業の代表的存在となりつつあります。

いくつかの国家戦略特区自治体ともすでに連携協定を締結し、空き家の利活用や観光推進などで地域活性化を目指します。

街中に古民家・一軒家・マンションなど多様な宿泊先をそろえ、設備やアメニティグッズ、付帯サービスも一貫したコンセプトで提供。将来的にはエリア内に案内所など基幹となる施設も設け、街そのものを一つの宿泊施設として運用していく予定だとのことです。民泊に不安を持つ人でも安心して利用できるため、国内需要も高まると期待されます。

2018年9月、大手総合警備ALSOKとも業務提携を行いました。不動産オーナーにとって大きな負担となる防災や防犯設備の設置や緊急時の駆けつけ対応手配などの他、民泊施設向けの防災・防犯機器の販売など、安全な空き家利活用に向けたサービスの開発に取り組んでいます。

また、2018年10月に京都府京都市にて導入される宿泊税の課税に先駆け、同社は全国初となる税の代行徴収にかかる協定を京都市と締結しました。民泊・宿泊サイトの運営と宿泊税代行徴収のほか、古民家を宿泊施設へ再利用するプロジェクトの推進など、行政とも連携しながら民泊サービスの充実を図っています。

京王電鉄

http://www.keio-kario.com/

京王電鉄は2017年2月、一棟丸ごとの民泊マンション「KARIO KAMATA」 をオープンしました。すでに民泊予約仲介サイトを運営する百戦錬磨と提携し、主に1週間以上などの中長期滞在者を対象とした利用を推進します。

一軒家などの民泊はどうしても交通の利便性が良くないことが多いですが、こちらは京急・JR蒲田駅からいずれも徒歩圏という立地で、ビジネス・観光ともに需要が期待されます。

部屋タイプも1Kから2DKメゾネットタイプと多様。すべての部屋が宿泊のためのものなので、シングルもファミリーも第2のわが家のようにのびのび過ごせるという、まさに旅人のための仮住まいアパートメントです。

2018年4月、大田区の民泊にかかる条例改正を受け、宿泊条件を2泊3日へ短縮しました。更に、宿泊客が滞在中自由に利用可能なスマートフォンを無料で貸し出す新サービス「Handy」を開始し、短期滞在者が利用しやすくなっています。

https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2017/nr180329_minpaku.pdf

そのほか、空きスペースの時間制レンタルサービスで注目されるスペースマーケットなど、民泊への参入企業は民泊新法成立に伴い増え続けており、民泊市場は今後もますますの急成長が期待されています。

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ライドシェア

税金や保険料、駐車場代など維持費の負担が大きい車は、購入するより「必要な時だけレンタカーやカーシェアリングで使う」という人も増えてきています。

NTTドコモ「dカ―シェア」

https://carshare.dmkt-sp.jp/portal/

NTTドコモは2017年11月より、カーシェアリングサービス「dカーシェア」を開始。企業とのカーシェア・個人とのカーシェア・レンタカー事業者のサービス利用という3つの利用形態に対応します。利用時は近隣の空いている車を専用アプリで検索・予約・決済できるという、通信会社の強みを活かしたサービスを展開しています。利用料金は15分220円からと格安。ドコモ端末ユーザーであれば、dポイントも付与され、たまったポイントを支払いに利用することも可能です。

NTTドコモはすでにサイクルシェアリング事業も展開していますが、今後はカーシェアリングにも参入、2018年4月には東北地方へもサービスを拡大しておりシェアリングエコノミーの発展に貢献します。

ホンダEveryGo(旧スムーズレンタカー)

https://everygo.honda.co.jp/

自動車販売業であるホンダが、あえてカーシェアリング事業に参入したのは「車のファンをつくるため」。車離れが進む中、車への関心を持ってもらうための入り口としてカーシェアリングを選んだということです。最高グレードの新車をレンタカーの6割程度というリーズナブルな料金で利用できることにより、その車の魅力に目覚めて実際に購入に至ったという人もいるとのこと。

このように、遊休資産を利活用というだけの目的でなく、本来の事業発展を喚起するために参入する企業もあるようです。

平日に短時間利用可能な15分200円という手軽で格安な料金プランを導入サービス提供エリアも順次拡大しており、自動車業界×シェアエコが活況しそうです。

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スキルシェア

経験や特技など、個人のスキルを必要とする人へ提供するための仲介に乗り出す企業も数多くあります。従来のオンライン上の業務委託だけでなく、家事代行や家具組み立てまで、プロフェッショナルでなく「少し得意」という程度のスキルでも、必要とする人のニーズとマッチングすればそれを仕事として活かすことができます。これにより、働き方の自由度を上げることにも貢献しています。

ランサーズ「pook」

https://www.lancers.co.jp/service/pook/

クラウドソーシングサービスで有名なランサーズでは、個人間スキルシェアリングサービス「pook」を開始。料理や掃除などの家事から、ネイルの施術や自転車のメンテナンスまで、プロほどではないにしても普通より得意とする人のスキルをリーズナブルに享受できるというシェアリングサービスです。

双方の本人確認やスキルレベルの審査など、個人間取引において想定されるトラブルを、同社がこれまで培ったノウハウで防止し、安心して取引できるように支援します。

ココナラ

https://coconala.com/

「みんなの得意を売り買い」というキャッチフレーズの「ココナラ」で扱うサービスは、かなりユニークです。ロゴやアイコン作成、イラストなどクリエイティブな特技も人気ですが、占いや悩み相談・片付けのコツなど、一見スキルとはいえないようなことであっても高いニーズがあります。カテゴリごとの出品者がランキングで表示され、実際の利用者からの評価もまとめられているなど、どのようなスキルを利用できるのかが分かりやすくなっています。全体的にカジュアルで親しみやすい印象のため、利用をためらいがちな個人間のスキルシェアサービスの中でも人気が高いと思われます。

2018年2月より個人間のみならずビジネス利用の増加を背景に、出品者・利用者ともに安心して取引ができるよう「PRO認定制度」を導入しています。

2018年8月には旅行会社の株式会社ウェブトラベルと業務提携を結び、旅行プランの相談のみならずチケットの手配も可能なサービスの提供を開始。ココナラで相談後に業者へ依頼する流れを断ち、ワンストップで具体的なサービスまで提供するための事情領域の拡大は今後も続きそうです。

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家事シェアサービス大手「ANYTIMES」が対面型店舗「BEARS」と提携。暮らしに寄り添う「安心」「安全」なサービス提供の拡大へ 

フリマアプリ

洋服や本など個人が所有するモノをシェアする、いわゆる中古品の売買においては、リサイクルショップ実店舗を利用する人が多くを占めています。しかし、フリーマーケットのように個人対個人での取引がスマホで手軽にできるフリマアプリの市場は、2016年度の経済産業省による調査では3,052億円にまで拡大しており、今後もさらなる発展が予想されています。

ラクマ

https://fril.jp/

フリマアプリの代名詞ともいえるメルカリに次いで、国内人気の高い「楽天フリル」と「ラクマ」は、2018年2月26日よりひとつに統合しました。メルカリは出品者に10%の販売手数料が課されるのに対し、新ラクマは販売価格の3.5%です。引き続きフリルIDの仕様可能で、手数料の改定もあります(詳細は下表参照)。旧ラクマアプリも使用可能ですが、2019年1月31日をもってサポートが終了します。

https://rakuma.rakuten.co.jp/info/announce/closed/

本人確認や偽装品補償・紛失補償などの安心安全のための取り組みも徹底されているため、利用者の満足度は高くなっているようです。今後も発展していくフリマアプリ市場において、安心して利用できるという点は大きなメリットとなるでしょう。

ノジマオンラインフリマ(株式会社ノジマ)

https://fleamarket.nojima.co.jp/

家電量販店大手のノジマも、2017年5月よりデジタル家電に特化したフリマアプリを開始。製品のバーコードを読み取ることによって、3分という速さで出品できるというのが魅力の一つです。また、ノジマの実店舗やカスタマーセンターにおいて、商品出品のサポートが受けられるのも大きなポイント。売上金はノジマオンラインポイントで受け取ることもできます。

このような専門分野に特化したフリマアプリも、今後増えていくことでしょう。

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その他

このように、空間シェアからライドシェア、スキルシェア、モノのシェアと、シェアリングエコノミーのサービス領域は幅広いです。空間シェアにおいては、民泊のほかにも、リクルートによる駐車場シェアリングへの参入、スキルシェアにおいては、H.I.S.の旅行者と現地ガイドのマッチングサービス開始など、実にさまざまな企業が、その強みを活かしてシェアリングビジネスへ参画しています。

少子高齢化に対する懸念や労働分配率の停滞によって、日本の将来に不安を抱える人が多くを占める現代。シェアリングエコノミーという世の中の流れに沿ったビジネスは、あらゆる企業にとって突破口となり得るかもしれません。

今後もシェアリングエコノミーへの参入・提携を検討する企業はますます増えていくのではないでしょうか。

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3.参入時に気をつけるべきポイント

シェアリングビジネス参入にあたり各事業別の法に従うことはもちろんですが、その他にも大きな課題があります。総務省調査データによると、民泊をはじめとしたシェアリングサービスの利用意向は、日本国内においてはきわめて低い傾向です。その原因として「トラブル時の対応に不安があるから」という意見が特に多くを占めています。

こうしたことから、シェアリングビジネスへの参入に当たって、提供者と利用者双方からみて安心して取引できるということは、もっとも大きな課題だといえるでしょう。

シェアリングエコノミー認証取得

シェアリングエコノミー協会によって制定されたシェアリングエコノミー認証制度。この制度の審査基準を満たすことで、想定されるトラブルに備えられると期待できます。この制度はシェアリングエコノミーの国際的な動きを注視しながら設計されており、そのルールに適合するか審査・認証するものです。

  • 本人確認
  • 相談窓口等の設置
  • 評価システム
  • サービス品質チェック
  • 保険
  • 情報セキュリティ

これらはシェアリングビジネス参画に当たり、とても重要なポイントとなってきますので、認証取得にかかわらず対策しておくべき項目です。詳細は以下の関連記事をご確認ください。

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まとめ

「余っている空間・時間・モノ」を「必要とする人」と共有するシェアリングエコノミーは、無駄が多い現代において実に効率的で建設的な方法です。いずれにおいても、シェアリングエコノミー市場の成長ぶりは著しく、今後もさらなる発展が見込まれています。個人対個人の取引は不安がつきものですが、企業が仲介することによって双方が安心して利活用できるとなれば、今後もますますの需要が見込まれるでしょう。