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モノや場所、スキルを共有するシェアリングエコノミーは、カーシェアリングや民泊など新しいビジネスを生み出しました。

その波は飲食業界にも広がりを見せており、店舗の貸し出しやワインセラーのシェア、スタッフのマッチングなど、ユニークなサービスが登場しています。このようなシェアリングサービスによって、それまで飲食店が抱えていたさまざまな課題を解決に導くことが期待されています。

この記事では飲食店向けシェアリングビジネスの可能性について掘り下げるとともに、現在リリースされているシェアリングサービスの実例を見ていきます。

目次

  1. 飲食店×シェアリングエコノミーの可能性
    ・飲食店向けシェアサービスのメリット
    ・フードロスにも貢献
  2. 飲食店向けシェアサービスの実例
  3. まとめ

1.飲食店×シェアリングエコノミーの可能性

飲食店向けシェアサービスのメリット

消費者の節約志向の高まりを受け、飲食店の競合であるコンビニやテイクアウト店など中食の市場規模が拡大しています。それに加えて原価高騰や人件費の上昇、店舗家賃のコスト、少子化による人材不足など、飲食店を取り巻く状況は厳しいものと言えるでしょう。

飲食店向けシェアリングサービスは、そうした課題を解決するとともに収入をアップさせる手段として注目されていて、新しいサービスも続々リリースされています。

そもそも休業日やピーク後のアイドルタイムには、飲食店は売上を作ることができません。しかし、空間をシェアするサービスを利用して店舗やスペースを貸し出せば、一定の収入を得ることも可能になります。それだけでなく、店舗を知ってもらうきっかけとなり新規顧客の開拓につながるかもしれません。

また、ワインに合うメニューを提供しているのに保管場所の問題でワインを十分にそろえることが難しい場合には、ワインセラーをシェアできるサービスもあります。これにより、ワインのロスに悩む必要もなく、店舗の価値を高めることが可能になります。

人材不足に悩む飲食店向けには、人材をシェアするサービスが登場しています。配達人をシェアするUberEATSは有名ですが、即戦力のアルバイトを自動でマッチングするアプリは若い世代を中心に広がっています。

このように飲食店向けのシェアリングサービスは、これまで飲食店が悩まされていたさまざまな問題を、手間やコストをかけずに解決できるという大きなメリットがあります。

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フードロスにも貢献

まだ食べられるのに廃棄されてしまう、いわゆるフードロスの問題は世界的にも関心が高まっています。

農林水産省の発表した調査資料「食品ロス量(平成28年度推計値)の公表について」によると、我が国でのフードロスは年間643万トンにも及びます。これは国民1人当たりお茶腕約1杯分(約139g)の食べ物が毎日捨てられていることになり、農林水産省は削減のための取り組みを進めています。

とはいえ、顧客数を予想して仕入れを調整するのは容易なことではなく、急な予約のキャンセルも発生し得るため、飲食店にとってフードロスを防ぐことは簡単ではありません。

そこで、飲食店のフードロスを減らす有効な試みのひとつとして、食品のシェアリングサービスが注目を集めています。

その内容は、アプリやウェブサイトを通じてユーザーと店舗をつなぎ、賞味期限の近づいている商品や余ってしまった食品をテイクアウトできるというもの。店舗は食品の廃棄を減らすことができ、ユーザーは安い価格で商品を購入できるという、双方にメリットがあるシステムです。

フードロスについては2019年5月に「食品ロスの削減の推進に関する法律案(食品ロス削減法)」が成立し、フードロス削減月間の設置やフードバンク活動の支援、食品関連事業者の取り組みへの支援などを実施することが決まりました。

これによって、今後フードロスを減らすためのシェアリングサービスが活発に活用されていくかもしれません。

2.飲食店向けシェアサービスの実例

ecbo cloak

https://join-cloak.ecbo.io/owner

店舗の空いているスペースで荷物を預かって収入を得られるウェブサービスです。

スペースの広さに合わせて受け入れ可能な荷物の数を設定することができるため、狭いスペースでも導入できます。ウェブ上で手続きが完結するので店舗側のオペレーションも少なく、万一の場合の保険も用意されています。

登録料や会員費などは無料で、ユーザーが利用した料金から手数料が引かれる仕組みです。カフェや居酒屋などさまざまな業態の店舗が登録されており、荷物預かりを通してお店を訪れてもらうチャンスを増やすことができます。

WINE LIST

https://winelist.jp/

「あなたのお店のワインセラー」をコンセプトに、小規模飲食店のパートナーとしてワインの保管や販売、デリバリーを提供するサービスです。

顧客はWINE LISTの店頭でソムリエが選んだワインを購入できますが、大きな特徴は購入したワインをそのまま加盟店に持ち込むことができるという点。さらに取り扱っているワインは日本未入荷のものを多くそろえるなど、ここでしかないバリューを提供しています。

加盟店はWINE LISTから送客してもらえるだけでなく、ワインの保管スペースの確保が不要になり、在庫リスクの解消やソムリエの雇用を省けるなどのメリットがあります。

Reduce GO

https://reducego.jp/restaurants/

フードロスを減らすことを目的とした食品のシェアリングサービスです。

ユーザーは利用ごとに料金を払うのではなく、月額1980円の定額制になっています。そのため使えば使うほど得になり、出品した食品の受け渡し率が高いことが強みです。

店舗は登録料や月額費用は一切不要で、提供個数などに応じて月額料金の一部が還元されるシステムです。出品のノルマや料理ごとの値付けも不要で、出品にかかる手間はできるだけ少なくなっています。

売れ残ってしまいそうな商品はもちろん、食材の切れ端を利用したまかない料理など、状況に応じて柔軟に出品できることが特徴です。

Sync Up

https://sync-up.info/

Sync Upは、複数の店舗が抱えるスタッフのスキマ時間を活用できるアプリです。管理者がシフトの穴を登録すると他店舗を含めたアルバイトスタッフへ通知が送られ、シフトに入れる人がヘルプ枠に応募できるというものです。

これまでもコンビニやチェーン店では忙しい他店のヘルプに行くことはありましたが、アプリを使うことで店長の調整コストや連絡の手間を削減できるだけでなく、スタッフ側も予定が合えばピンポイントで働くことが可能になります。

飲食店の人手不足は深刻なものとなっていて、シフトが埋まらないことによる店長の長時間労働は社会問題にもなりました。Sync Upはそのような問題を解決するソリューションとして期待が寄せられています。

ここで挙げた以外にも、飲食店や食に関するシェアサービスは多数リリースされています。以下の記事もぜひ参考にしてください。

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3.まとめ

帝国データバンクの「外食関連業者の倒産動向調査」によると、2017年の飲食店の倒産件数は過去最多となっています。その要因としては競争激化による販売不振が大きなものですが、市場規模の縮小や人件費高騰による収益の悪化など、これからもますます厳しくなっていくことが予想されます。

しかしシェアリングサービスの出現によって、これまで廃棄するしかなかった食材で収入を得ることができたり、休んでいる間でもスペースの貸し出しで収益が発生したりと、新しいビジネスモデルが生まれました。

飲食店向けシェアリングビジネスは、フードロスを減らそうという政府主体の取り組みも後押しとなり、今後さらに盛り上がっていくのではないでしょうか。


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